テラーノベル
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「小さな魔王と丸い悪魔」
🧣✕ショタ🌵
11 🌵視点
「おはようございます!」
「ららぁ~あぁあ!」
2人分の元気な挨拶が響き渡る。外は快晴、今日も気持ちのいい1日の始まりだ!
タンスから服を引っ張りだず。今日の服はこの暖かそうなセーターにしよう。配達人さんがくれたこの服は俺の体にぴったりだ。ズボンの裾がめくれてたみたいで、らっだぁが直してくれた。二人で掛け布団を持ってばたばたさせると綿ぼこりが朝日にきらめいて粉雪みたいだった。これで今日もふかふかの布団で寝られるぞ。
それから洗面台で二人で顔を洗う。らっだぁの顔ってどこまでかわからないからいつもベシャベシャになるんだよなぁ。顔を拭いたタオルをカゴに入れて、俺たちはキッチンに向かった。
「いただきまーす!」
「ららあぁあ~!」
完成した朝ごはんをテーブルに並べて、二人で両手を合わせて俺はナイフとフォークを手に取った。
今日の朝ごはんは分厚いフレンチトースト!昨日からぎゅうぎゅうに液を染み込ませておいたからプリンみたいにプルプルで、バゲットなのにとっても柔らかい。ナイフで簡単に切れちゃう。
「美味しいなぁ、うまく作れてよかったぜ」
「らぁ~!」
ハチミツをかけたら幸せすぎて思わずほっぺたを押さえちゃった。これがほっぺが落ちるってやつか。
らっだぁもニッコニコで頬張っている。らっだぁも美味しそうにしていると二倍嬉しくなっちゃうな。こいつこんなシンプルな顔なのに嫌いなもの食べてるときショボショボになるからちょっと面白い。
野菜も食べろ!ってうるさいから作ったキャベツのスープも今日は美味しくできた。おなかいっぱいで朝から幸せだった。
食器を片付けて、何をしようか悩んでしまった。昨日は塔から出るためのロープづくり作戦を思いついて、でもここにはそんなに長いものがなくて断念した。この前読んだ推理小説だとシーツを裂いてロープにしてたのに、それでもこの高さじゃ地面に届かないもんなぁ。
やっぱり落とし戸にロープキャノンっていうのを撃って、ロープで登る作戦がいいかな?登山の本に書いてあったんだ。設計図を書いたら配達人さん部品持ってきてくれるかな。
「なぁらっだぁ、ロープキャノン作戦ってどう思う?銛がついたロープを銃でばーん!って」
本を読みながら声をかけたけど、返事がなかった。顔を上げても部屋にらっだぁの姿はない。あれ?一緒にいたと思ったのに。
「らっだぁー?」
どこからも返事がない。俺はなんとなく気になって本を閉じて階段に向かった。
前もこんな事があったのをうっすら思い出した。らっだぁとはじめて会ったとき、友達になったと思ったとき。あのときらっだぁは鉄格子の隙間から外に落ちちゃったんだっけ。いなくなったかと思って怖くて泣いてしまったことを思い出した。
あのあと俺はしばらくらっだぁにべったりくっついて歩いてたっけ。そんなことを思い出しながら俺はリビングへの階段を降りていった。
分厚い木のドアを身体で押し開ける。まだほんのりフレンチトーストの甘い匂いが残っている。
その室内に、人影があった。
「だ、だれだ?!……って、配達人さん?!」
俺の声に驚いて窓辺でパンくずをついばんでいた小鳥が飛び去っていった。リビングの真ん中、俺とらっだぁのテーブルの横に立っているのはどこからどう見ても配達人さんだった。
「なんで、なんでここに?!」
塔の中に人がいるなんて信じられない。あんなに必死にここから出ようとしてたのに、どうしてここにいるんだろう?!驚いたあとに急に怖くなって俺は手をぎゅっと握りしめた。
「驚かしちゃってごめんね。今日は大事な話があって……」
配達人さんがなだめるように言ってきた。でもそこで俺はおかしなことに気づいた。
首に巻いているマフラー。いつもの赤い無地のマフラーじゃなくて赤いチェック模様の、やたら長いマフラー。
「お、お、お前っ、それどうしたんだ?!」
全身の毛が逆立った。あれはらっだぁにあげたマフラーだ!さっきから呼んでも出てこないし、どこにいるかわからないし、まさか、らっだぁになにかを……?!
「そんなに大事な人のものなの?」
俺が震えているのを見て配達人さんは薄ら笑う。いつもみたいに優しそうな顔なのに、正直怖かった。間近で見る大人の人はずっと背が高くて、俺なんか簡単に鷲掴みにされちゃうんだ。
でも俺は床を蹴った。勇気を出して飛びかかる。
「返せよ!おれの友達のなんだ!!」
俺の渾身の拳が配達人さんの体に当たる直前、急にその姿が消えて俺は青いポヨポヨに倒れ込んだ。
「はぇ?ら、らっだぁ?!」
「らっ!……俺だよ!」
聞き慣れた配達人さんの声だった。でも俺の前にいるのは大好きな青いまんまるで、だけど配達人さんは急に消えてて、え?どういうこと?
「ごめんね、びっくりさせて。言うのが遅くなっちゃった。俺が、……俺も、らっだぁだよ」
俺の目の前で青いポヨポヨがまた配達人さんの姿になった。そしてぽかんとしてる俺の前に膝をついて、俺の右手を取った。
「この日を待ってました。お待ちしていました、我らが魔王よ」
「ま、おう?」
「あなたはさる高名な魔王の後継者。俺はあなたに仕え、あなたを守るためにここにいる。あなたは俺たち悪魔の希望、魔力の根源なんですよ」
そう言うとらっだぁは俺の右手の甲にうやうやしくキスをした。柔らかい唇が触れる感覚が夢みたい、これ絵本で見た王子様とお姫様のやつだ。
「いま、なんて……?」
「ぐちつぼは、俺たちの希望なんですよ」
「そうじゃなくて、その前に」
唇が震える。その前、なんて言ってた?俺が魔王?らっだぁが、悪魔?
「お、俺は……」
らっだぁが配達人さんだったことだけでも頭がパンクしそうなのに、そんなおごそかなこと言われて急にらっだぁが遠くなったように感じた。
悪魔ってあれだよな、魔法が使える不思議な生き物。魔王ってなんだっけ?本で読んだはずだけどどうしても思い出せない。おとぎ話よりも遠い話をされて俺は思わず涙が出そうになった。
「らっだぁ、俺……」
「な〜んてね、俺たち友達だもんね!」
ぽんっ、と目の前に青いまんまるが現れた。いつもの短い手が俺の手を握っている。マシュマロみたいな感触が嬉しくて俺はその手を伸びるくらい振り回した。
「な、なんだよっ!変なこと言うなよ、らっだぁが遠く行っちゃったかと思って、俺ッ」
「どこにもいかないよ、ぐちつぼを置いてなんていかないよ」
「魔王とか悪魔とか、なんなんだよ!」
「ごめんごめん、びっくりしたよね。そのへんの細かい話はまぁ、……また追々ね」
「ていうか、信じらんない!おまえ配達人さんだったんだな!?」
「へへ、実はね」
青いまんまるからずーっと配達人さんの声がしている。俺はちょっと恥ずかしくなった。二人が同一人物だって知らないでなんか恥ずかしい相談とかしちゃってた気がする。らっだぁを驚かせたいから、配達人さんを喜ばせたいから、協力してほしい……とか。
「……全部知ってたんだな。その、秘密にしてたこととか」
「うん、ドッキリの準備もかかる側もできたからね。嬉しかったよ」
「う〜〜っ、ずるい!」
「はは、一緒にクッキー作るの楽しかったよ!お花の折り紙もお手紙も、一生懸命書いてくれて泣いちゃったよ」
急に顔に熱が集まるのがわかった。ちらっと顔を見るとらっだぁはいつものニコニコ顔をもっとニコニコさせて笑ってた。
そうだよ、クッキーを喜んでくれたから、次は手紙を書いたんだ。花束のお礼に紙でお花を作ったんだ。他にもたくさん、らっだぁと一緒に作ったんだ。
配達人さんにも頼んだんだ。二人で遊ぶためのおもちゃをいっぱい、それにらっだぁと一緒に星が見たいから星座盤を。
それを、二人は……らっだぁは喜んでくれてたんだ。
「……知ってても笑ったり、喜んでくれたんだな」
「当たり前じゃない、ぐちつぼが俺のために考えてくれたんだから!なんだって嬉しかったよ」
青い手が俺の熱い頬をぷにぷにつつく。
俺にいろんな物を持ってきてくれた配達人さん。俺の横にいつもいてくれたらっだぁ。俺は二人に直接感謝してたんだ。
「ありがとな」
「ん?」
「俺のためにいっぱい持ってきてくれて。俺のこと、大事にしてくれて」
そう言ったららっだぁは驚いた顔をしていた。
「ふ、はは、ぐちつぼは友達だからね」
「……うん、うん、そうだな!!」
俺は握った手をブンブン振り回した。らっだぁは俺の友達で、配達人さんもらっだぁで、だから俺には友達が二人いるってこと?!
やさしい気持ちに包まれて、きっとこれが愛されるってことなんだな。俺は幸せな気持ちでいっぱいだった。
「でもなんで急に教えてくれたんだ?」
ふわふわしてた心が落ち着いてきて、俺はそれが気になった。らっだぁは真剣な顔で俺を見た。
「あのね、ぐちつぼさえよければここから出る方法があるよ」
ぽかんとした心にその言葉が落ちた。
ここから出る方法が、ある?ここ数日毎日探してたけど見つからなかったのに?
「ほ、本当か?!」
思ったより声がうわずった。身を乗り出したかららっだぁの青い顔が目の前いっぱいに広がった。
「うん、俺の予想があってれば、多分うまくいくはず」
「やった……やったぁ!!」
ポヨポヨの身体に飛びついて、柔らかい身体がぎゅーってなるくらい抱きしめた。しばらく抱きついてたら、らぁ~!!ってか細い悲鳴が聞こえて俺はやっと手を離した。
「じゃあどうするんだ?あの鉄格子をブチブチにする方法があるのか?毎日塩をつけると錆びて壊せるらしいぞ!あ、それとも壁に穴を開けるとか?どんな機械を使うんだ?バクダンってやつか?それか魔法か?!らっだぁ、魔法が使えたりするのか?悪魔って生まれつき魔法使えるよな?でも今までできなかったし、やっぱり悪魔なんかじゃなくて青いおもちの妖精なんだろー?」
「落ち着いて落ち着いて。あのね、前にさぁ……俺がやばかったときあったでしょ。あの、泣いてたとき」
興奮する俺をなだめてらっだぁはそんな事を言った。言われて俺は思い出す。俺が怖い夢を見たって言ったららっだぁが急にトイレに駆け込んで、へにょへにょになって出てきたときのこと。あのときは確か……。
「あのときのこと思い出して、もう一度キスできる?」
「き、キス?!」
「そう。俺に力が戻るよう願って」
らっだぁのまんまるな顔が目の前にある。そう、あのときは元気づけようとしてほっぺにキスしたんだ。絵本だと疲れたオオカミにキスをしたら元気になってたから。
でもなんでキスなんだろう?さっき俺の手の甲にしてくれたのもキスだった。キスってよっぽどトクベツなことなんだろうか。口をくっつけるだけなのに?
ふと別の絵本のことを思い出した。王子様は高い塔から救い出したお姫様と誓いのキスをして、永遠に結ばれていた。「永遠に結ばれる」って具体的になんなのかよくわかんないけど、きっとずっと一緒にいられるようになるってことなんだろう。キスにはそういう力があるんだ。だから俺はなぜかドキドキして、らっだぁも真剣な顔をしてるのかな。
俺はらっだぁの青い頬に手を当てる。これをすれば、これがうまく行けば、俺は外に出られるんだよな?
「これで、永遠に一緒だからな」
そのまま「ら」みたいな形の口にそっと口を押し当てた。首輪の赤い魔石がほんわり温かくなる。
らっだぁの力が戻りますように。そんなことをちょっと考えた瞬間、突風のような魔力の奔流が吹き荒れた。
「わぁああ?!」
体がふっとばされそうになったけど、二本の腕が俺を掴んで引き寄せた。抱きしめてくれる中、耳元でごうごうと嵐のような魔力が渦巻く音が聞こえる。体が持っていかれそうで必死に腕にしがみついていたら、だんだん音が小さくなってやがて嵐が収まった。どれくらい経っただろう、俺はようやく目を開けた。
「ら、っだぁ?」
目の前にいたのは配達……ううん、らっだぁ。でもその額からおとぎ話の鬼みたいな二本の角が生えていた。照明を遮る黒い影の正体は背中から生えたコウモリみたいな二枚の大きな翼。身長よりも大きくて、鋭い鉤爪もついててとっても強そう。目は宇宙の闇より真っ黒で、少し怖い。
「ありがとうね、俺を思ってくれて」
でも俺を見てにっこり笑った途端、目はいつもの青空色に戻った。
「うまく、行ったんだな?」
「うん、大成功。口は……ちょっと驚いたけどね。他の人にはこういう……いや、次やることがあったらほっぺにしようね」
「なんでだ?口にキスすると永遠に結ばれるんだろ?」
「え!?なんでそんなこと……いやまぁそういうこともあるんだけど、……うーん難しいな」
らっだぁはすごく困って考え込んでる。口はダメなのか?力が戻ったみたいなのに。何がいけなかったんだろう。本で調べたらわかるかな。
らっだぁは翼をバタバタさせて伸びをしている。腰からは鱗のついた太い尻尾も生えていた。先端は矢印みたいなカギ型になってる。ツノ、翼、矢印みたいな尻尾、ぜんぶ魔導書によく描いてある悪魔そっくりだった。よく見たら耳も尖ってて、絶対に人間じゃない。
「その、羽とかしっぽとか……本物なのか?」
「本物だよ。これが俺の本当の姿。触ってみる?」
かがんでくれたから顔に恐る恐る手を伸ばした。ほっぺたは柔らかくて、おでこの上のツノはちょっとあったかくてすごく硬い。背中の翼に手をかけたらそのまま体がぐいんと持ち上がった。最初はびっくりしたけどらっだぁが軽く翼を動かすたびに身体が上下するのが面白くて俺は何度も翼に飛びついた。
背中に回ったら目の前で太い尻尾がゆらゆら揺れている。ここだけ見たらドラゴンみたい。気になって引っ張ってみたら、らーーーっ?!ってでっかい悲鳴を上げた。こんなゴツゴツの鱗なのに痛覚あるんだ!
「あ゛~翼を取り戻すのウン十年ぶり」
俺を背中に乗せたまま、らっだぁがしみじみ呟いている。
「え、そんな年なのか?本当はおじいさんなのか?」
「あ?!悪魔は年とらないんですー」
なぜからっだぁはプンプンしている。そういえばミョウレイの人に年齢のことを聞くのはタブーなんだっけ?よくわかんないけどらっだぁってミョウレイってやつなのかな。
「本当に、悪魔なんだ」
あの強大な魔力と、魔導書そっくりな姿。なんで俺がキスしたらこうなったのかだけがわからないけど、半信半疑だったけど信じざるを得なかった。キスってすごい力があるんだな、だかららっだぁは止めたがったのかな。
「そうだよ、魔王様が……いや、色々あって魔力が尽きてあの姿だったけど。でもこれで、俺は飛べるよ」
らっだぁが軽く羽ばたくだけで部屋の中に突風が吹き荒れる。俺が描いた壁の絵やテーブルの上のおそろいのランチョンマットが飛んでらっだぁは慌てて翼を閉じる。
飛べる、と聞いて俺はすぐに気がついた。
「あ、そっか、落とし戸!?」
「そういうこと!この力があればひとっ飛びだよ。どこにでも連れて行ってあげる」
───空を飛ぶ、という選択肢は俺にはなかった。
あの小鳥たちみたいに空を飛べたら。塔の天井を抜けて屋上に出られたら。俺は自由だ。
本当に、ここから出られるんだ。
「……つぼ、ぐちつぼ?!」
急に足の力が抜けてへたりこんだ俺のことをらっだぁが慌てて支えてくれた。
外の世界への切符は目の前にある。もう、すぐ目の前に。
「そと、行けるんだ」
「そうだよ」
「いつでも、今すぐでも行けるんだ」
「うん、でもその前に準備しないとね」
「じゅんび……」
「お引越し、ってわかるかな?これから俺たちは出ていくんだよ。この塔とお別れするんだよ」
「おわかれ……」
「そう。だから準備しよう、持っていくものを決めなきゃ」
心がふわっと持ち上がって、足が地面につかない。頭がぼーっとする。目を何回もぱちぱちさせる俺のことをらっだぁは根気よくじっと見ていた。
「怖くなっちゃった?」
「…………」
「まだやめておこうか?」
「ううん……行く。今日行く」
言葉を絞り出す。胸がなぜかじくじく痛む。
俺はらっだぁに抱きついた。人間の、二本の長い腕が俺の背中をぎゅってしてくれてる。しばらくそうしてた。あったかい腕に包まれてると痛みがだんだん溶けてきて、その熱で外へのあこがれに火がついた。小さな炎はどんどん強く胸を焦がしはじめる。
「準備、しなきゃな!」
「うん、手伝うよ」
顔を上げて俺は元気に笑った。らっだぁも青いまんまるのときと同じように笑って俺に手を差し出した。
*
それから俺は部屋にあった古いトランクを引っ張り出してきた。こないだ踏み台にしたけど壊れてなくて本当に良かった。作りは頑丈で、外は埃っぽくても中はきれいだったから選んだ服をそこに入れる。
きれいに畳まれたいろんな服が収まっていく。配達人……らっだぁにもらった服だけじゃなくて、元々この塔にあった服を一着だけ入れた。ちょっと袖の長い黒い服。もしこれがぴったりになったら俺が成長してるってわかる証の服。今日こそは、ってたまにこの服を着てたのが懐かしいな。
「着ていくのはここにかけておくからね」
コートのハンガーを棚に引っ掛けて、らっだぁが言う。あのまんまるならっだぁは俺と同じくらいの目線だったけど、このらっだぁはとっても背が高い。だから少しかがんで話しかけてくれる。
らっだぁの羽と尻尾は今は邪魔にならないように小さくなっている。でもさっき見たよりも本当はもっと恐ろしい姿にもなれる、って言ってた。それでも正体はあの柔らかいポヨポヨの丸い悪魔なんだよな。もしすごい化け物に変わったって俺はらっだぁのこと怖がれそうにないや。
「あとは……おもちゃ、持っていきたいな」
「うんうん」
「それに本も」
「いいね、どれにする?」
らっだぁと二人でおもちゃを入れた箱を部屋の真ん中にだしてきた。改めて見るとゲームからぬいぐるみまで、たくさんの玩具が箱パンパンに詰まっている。
「どうやってたんだ?一人二役って」
「え?ぐちつぼに気づかれないかハラハラしてたよ。手伝ってくれる人もいたからね」
「そうなのか?!」
「うん、ここを出たらお礼しに行かないとね。あとはもう俺が一生走り回ってた」
「だからたまにハァハァしながら荷物を持ってきてくれたんだ」
「うそ、バレてた?」
「重たいもの持ってるからかなって思ってたぞ。でもどうやって塔を出入りしてたんだ?」
「鉄格子すり抜けたり、供物箱のところからヌルっと」
「えー!?いいなぁ」
そんなことを言い合いながら持っていくものを選ぶ。トランプは、いろんな遊び方ができるから持っていこう。初めてもらったすごろくは……このきれいなガラスのコマとサイコロだけ袋に入れた。星座盤は絶対に持っていかなきゃ。これをもらったときは頭の上いっぱいの星空が見えるかもなんて思いもしなかったな。
本を選ぶのはとっても大変だった。外に出たら本物の草花や動物たちがいるんだ。だから図鑑を全部持っていきたい!
「流石に入らないよそれは」
ハードカバーの図鑑を次から次に入れようとして苦戦してる俺をらっだぁがやんわり止めた。
「でも外の生き物調べたい!本物がどんな感じなのか見てみたいんだよ」
「うーん、でもぐちつぼは全部覚えちゃってるでしょ?ここに書いてあることなんて全部さぁ」
積み重なった図鑑を指さされて俺は口ごもる。そうだぜ、俺はすごいんだ!見たことのない世界を広げていくのが面白くて、図鑑のカバーが擦り切れるくらい何度も何度も読んだ。知識だけなら頭の中にぜんぶ詰まってる自信がある。
「だからさ、ぐちつぼの頭の中と答え合わせしようよ。お外で、お花とか鳥がいくつわかるかなゲームしよう?」
らっだぁに提案されて俺はぱあっと笑顔になった。なにそれ、絶対に面白い!
「いいぜ、受けて立つぜ!」
「だよね?それでどうしてもわかんなかったら、新しい図鑑買いに行こう」
「そうだな、まあ俺なら絶対わかるからそんなのいらないけどな!」
俺は胸を張って図鑑をトランクから出した。らっだぁは絶対そんなに詳しくないから答え合わせなんてできないだろう。だから俺が全部当てて、正解を教えてやらないとな!
窓辺に積み重ねた本を崩していたら、いつだったか書庫から持ってきた魔導書が下の方から出てきた。ちがうや、これ魔導書かと思ったら歴史書だったんだっけ。読んだはずだけど異国語だったせいであんまり覚えてないや。
ペラペラめくると何枚かの悪魔の絵の中に、今のらっだぁによく似た悪魔のスケッチがあった。悪魔はみんなツノとかが生えてるらしいけど、それにしても鬼みたいなツノとかよく似てる。
じゃあその横の、ツノも翼もないけど尻尾の先にお花がついてて、俺みたいなメガネをかけたこの人は……?
「それ持っていく?」
「え?!も、持ってかないぜ!」
らっだぁに声をかけられて、俺は慌てて本を閉じた。こんなふうに毎回本を読み始めたら準備が終わるのに何年かかるかわからない。
俺はその本を棚の奥に戻した。外の世界にはもっといろんな最新の本がある。読書の楽しみはその時まで取っておこう。
「そういえばらっだぁってさ、本当はなんて名前なんだ?」
まだ解き終わってない数学の問題集をトランクに詰めながら聞いてみた。
「ん?どういうこと?」
「だって俺が決めたじゃん、らっ!だけしか言わないから”らっだぁ”って」
くもつばこの前に落ちていた、もとい寝てたらっだぁを見つけたときのことを思い出す。大きなぬいぐるみかと思ったら動いて、喋ったときの感動は今でも思い出せる。あの日から俺は一人じゃなくなったんだ。
らっだぁは少し恥ずかしそうに頬をかいている。
「ああ……それね、実は大正解」
「え!?本当にらっだぁって名前なのか!?」
「そうそう、当てられてびっくりしちゃったよ」
「なーんだよかったぜ、本名がすげぇかっこよかったらどうしようかと思った」
「え?ダサいって言ってる?間接的に」
「言ってない言ってない!!」
不満げな顔で見られて俺は慌てて首を振った。なんだよっ揚げ足取るのがうまいな!!
「……どこかで聞いたことがあったのかもね」
俺がドキドキしてたららっだぁは遠くの方を見て、そんなことをつぶやいた。
トランクの底が見えなくなってくるにつれて棚やタンスの中が空いてきて、思い出も一緒に詰め込んでるみたいだった。
この塔の中で生活した時間、もう何年かもわからないほど長い時間が解きほぐされて、トランクの中に収まっていく。このトランクは小さくまとまった俺の人生みたいだった。
どれを置いていっても後悔するし、持っていったら絶対に嬉しくなる。でもどうやったって全ては持っていけない。それでも選ばなきゃいけない。
本やおもちゃを手にとってはまた置いて、別のを出しては入れてみる。そんなことを繰り返す俺のことをらっだぁはずっと見ててくれた。
*
いつの間にか日が傾いて、夜が迫っていた。人間にバレないように夜に出発するよ、ってらっだぁは言ってた。冒険小説で読んだぞ、これが”夜逃げ”ってやつか!
俺たちは二人で最後のご飯を作った。何にするか悩んで、らっだぁみたいにまんまるなパンケーキにした。
「よしっ、らっだぁできた!」
「ええ、これ俺?俺ってこんなだっけ」
丸いパンケーキに生地で手足を付けたららっだぁは苦い顔をしている。たしかにちょっと足が長すぎたかも。
「ほら、見本だよ」
俺の横でらっだぁが青いまんまるに戻る。それを見ながら俺は二枚目の生地をフライパンに流し込む。
「ありがとな、もっと足短いんだなー」
「らぁ?!……まぁ、いいよ!」
なんかちょっとプリプリしてるらっだぁを見ながら俺はパンケーキを何枚も焼き上げた。目玉焼きにソーセージも添えたらエネルギーたっぷりだ!
お風呂にも入って、ほかほかの身体で着るのはパジャマじゃなくて外に着ていくための服。いつもなら眠くなっちゃうのに今日は全然眠くならなかった。
「あと準備することは……」
「うーん。服は?」
「入れた!」
「遊ぶものは?」
「いっぱい入れたぜ!」
「本は?選べた?」
「う~っ、がんばって選んだ!!」
貴重な本と、まだ読み終わってない本を優先したけど本当に大変だった。外の世界には本屋さんだけじゃなくて「としょかん」ってものがあるらしい。そこにいけばきっといっぱい本を読めるから我慢した。
「じゃあ、いつでも行けるね」
「……うん」
らっだぁに言われて、俺はなぜか口ごもってしまった。
目の前のトランクはもうほとんど隙間がないくらい俺の思い出がいっぱい詰まってる。そのトランクを閉めようとして、どうしても手が動かなかった。
本当にこれだけでいいのかな?なにか忘れてないかな。なにかが足りないような気がする。
「なぁ、ここを出たら外って広いんだよな」
「そうだね、すごい広いよ」
「どこに行くとしても時間かかるよな」
「大丈夫だよ、俺が抱えて飛んでいくから」
「そうじゃなくって……」
モヤモヤの答えがうまく言葉にならない。ここから外に出て、らっだぁが俺を抱えて飛んでくれて、それでどこまでも行けるのに?
「……わかった、お弁当作ろう!」
「えぇ?」
「だってすごい広いんだろ?らっだぁお腹空いちゃうだろ!」
もしかしたら変なことを言ったのかもしれない。らっだぁはきょとんとしてから大声で笑ってる。でも旅に出るときはお弁当を持っていくって本に書いてあった。
「ふははっ、そうだね。旅に出るんだからお弁当はないと困っちゃうね」
「だろ?俺が作るから、らっだぁは出発の準備しててくれよ」
俺はぴょんと立ち上がってキッチンへの階段を駆け下りた。
違和感の正体がわかった。トランクに入ってるのは俺のものばっかりで、らっだぁにあげられるものがない。外ってどんな感じなのかわからないけどお腹がへったらとっても悲しくなる。外がどれだけ広くたって、お弁当があれば安心だ!
洗ったフライパンを出してきた。もう使わないと思った包丁で、残っちゃってたパンを切り分ける。ライ麦の入った茶色いパン、麦のつぶつぶが香ばしくて美味しいんだよな。
残りのベーコンを贅沢な厚さに2枚に切って、フライパンの中へ。じゅうじゅう焼けるいい音と、脂の焦げるいい匂い!
オーブンで軽く焼いたパンの表面にバターをたっぷり塗るとまたたく間に溶けていく。胡椒をちょっとかけて、焼けたベーコンを油ごとパンの上に乗せた。
片方にはハチミツをたっぷり、もう片方はハチミツなし。きらきら輝く脂と金色の蜜をもう一枚のパンで蓋をすれば、サンドイッチの完成だ!残ったパンとベーコンを全部使ったからとっても大きくなっちゃった。これでお腹いっぱいになれるぞ。
1つずつ紙ナプキンで包んで、さらに布でくるんでバスケットの中に入れた。隙間に宝石みたいに真っ赤なリンゴを2つ。動かないようにバスケットをしっかりベルトで閉じて、最後に残ったトランクの隙間に収めた。
あの時と同じ。誰かと、らっだぁとはじめてご飯を食べたときのメニューだった。
本当に、これで全部。
手のひらにじんわりと汗がにじむ。らっだぁに見守られながら俺はトランクを閉めた。
かちゃん、鍵の閉まる音。外側のベルトにらっだぁのくれた新しい地図を丸めて差し込んだ。
「これは持っていかないの?」
らっだぁに言われて俺は振り返った。クローゼットに貼ってある古い地図が目に入る。
星とか鳥とかいろんな絵が描いてある。その真ん中で手を繋いでるのは俺とらっだぁ。俺が泣きながら二人を描いたあとにらっだぁが腕伸ばして手をくっつけてくれたんだ。あの日から俺たちは手を繋ぎあってきたんだな。
周りに描いてあるのはいっぱいの夢。二人でやりたい未来の夢。
ううん、違う。全部叶ったんだ。
「……大丈夫!だって、もう叶ったからな」
これはここに置いていこう。俺の、俺たちのいた塔を守ってもらおう。
ここには俺たちがいた。もし誰かがこれを見つけたらきっとびっくりするだろうな。
小さな子供と不思議な青いまんまるが、ここで二人で暮らしてたんだ。これはその証拠だ。俺たちの生きた証だ。
俺一人じゃ持ち上がらないくらい重たいトランクの持ち手をらっだぁが自分の太い尻尾に引っ掛けた。カギになってるところにちょうど引っかかるし、あんなに重たかったのに軽々持ち上げてる。いいなぁ尻尾、便利そう。
塔の中の明かりはらっだぁが全部消してくれた。鎧戸も閉めて真っ暗な部屋の中、今はいつも書庫に行くのに使っていたオイルランプだけが部屋の真ん中で優しく灯っている。
外に行くためのコートを着た俺と、大きな翼と尻尾に戻ったらっだぁの影が壁にゆらゆら映し出される。
「首が寒そうだね」
そういうとらっだぁはいつもつけていた赤いマフラーを手の中にぽんっ、と出して俺の首に巻いてくれた。柔らかい生地が首に触れるとすぐに冷たい金属の首輪ごとあったかくなってきた。
「ごめんね、俺のお古で。外で新しいの買おうね」
「……いい、これがいい!」
「え?いいの?それずっとつけてたやつで……」
「首あっためると体中あったかくなるんだぞ、首にはあったかいの感じる神経がいっぱい通ってるんだぜ!」
俺は早口で誤魔化した。らっだぁの匂いがする。ほわほわして、抱っこされてるみたいで落ち着いた。だからずっとこれがいいって思ったなんて、なんか恥ずかしくて言えなかった。
準備はできた。らっだぁが床に膝をついて俺をまっすぐ見た。
「本当に、いい?」
その言葉で胸の中にたくさんの感情が溢れ出してきた。じわりと目が熱くなる。俺が手を広げるとらっだぁは無言で青いまんまるに変わって、俺を抱きしめてくれた。
涙が出そうなのは外に出るのが怖いからじゃない。ここが、ここで暮らした日々が。二人の日々だけじゃなくて、一人ぼっちの日々も。
それまで生で食べてたけどはじめて料理の仕方を覚えた日も、盛大に黒焦げにして失敗したことも。俺の手が届くように家具の全部に踏み台を作って、星を眺めながら寝たいから重たいベッドを毎日押してちょっとずつ窓まで動かしたことも。
俺はここで生きていた。この塔は俺の全てで、ここで精一杯生きていたんだ。
その日々も本当に大切だった。
らっだぁの柔らかい身体に顔をうずめて、俺は小さく鼻を鳴らしていた。背中と頭をぽんぽん撫でられてもっとぎゅっと抱きついた。ぎゅーっとしてると心臓の音が一つになって、俺の輪郭がらっだぁのポヨポヨの身体に溶けちゃいそうだった。
溶けたついでに俺の気持ちも伝わってるといいな。涙の理由も伝わってるといいな。
「……行こう。ここから出よう!」
顔を上げる。らっだぁもうなずいて、するりと人間の姿になった。
改めてトランクをしっかり尻尾に引っ掛けて、俺を軽々抱き上げた。らっだぁの顔の横に俺の顔がある。目と目があった。俺は深くうなずく。
「行くよ」
大きな翼が開かれる。羽ばたきと同時に身体が強く上に引っ張られた。
らっだぁが天井に右手を伸ばす。青い光が落とし戸どころか轟音とともに天井に穴を開けた。バラバラと木の破片が降り注ぎ、俺は思わず目を閉じた。らっだぁが腕で俺のことを庇ってくれている。俺も胸にしがみついて、身体を縮めた。
天井がバリバリ壊れる音が止まり、身体がまたふわりと持ち上がる。急にすごく静かになって、ひんやり冷たい空気が足を撫でた。
「目、開けてごらん」
らっだぁの声で俺は恐る恐る目を開けた。冷えた空気が顔にぶつかる。ひゅうひゅうと風が耳元をかすめていく。
目の前に広がっていたのは、
「そと、だ…!!」
さえぎるものなんてなにもなくて、首をぐるぐる回してみても360度ぜんぶの場所に外がある。高い高い塔のてっぺんからは世界のすべてじゃないかってくらいぜんぶが見えた。
夜の闇に溶けそうなくらい黒い木々はどこまでも続いていて、その奥の雪化粧の山が月明かりでぼんやり白く輝いている。山じゃない方の森の向こうでたくさんの何かがきらきら光っている。あれが街?家の光なのかな?そのきらきらの上の空にもっと優しいきらきらがいっぱい光ってる。いつも見てきた、狭い窓から見てきた、あの光が。
心臓の音が激しく聞こえる。緊張して全身が震える。夢が、すぐそこにある。
見上げた頭の上には───
───俺はしばらく無言で星空を見上げていた。
視界のぜんぶが星でいっぱいで、そのまま空に吸い込まれそう。星がちらちら揺れるのは冬のせいなのか、目がうるんでるからなのかわかんない。
黒い紙の上にお砂糖をばら撒いたみたいな星空は、星座盤に書いてあったよりももっといっぱいの星たちでひしめきあっていた。
口から漏れた白い息がふわふわ空に登っていって、淡く流れる冬の天の川に溶けていく。
ふとらっだぁを見たら、夜空の色に染まる目にきらきらの星がたくさん映っていた。だから俺の目もきっとこんなふうにきらきらなんだ。息を吸うたびに星くずが流れ込んで、体ごと星の海に飛び込んだみたい。
溺れそうな星たちの中に、不意に見慣れた星の並びを見つけた。
「……あ、あれシリウス!あっちがベテルギウスで、だからあれが、プロキオン……!!」
俺は興奮しながら指を差す。冬の大三角形。らっだぁに見せたかった星。
あれだけ夢に見ていた頭の上いっぱいの星空が、首を少し上げるだけですぐに見れる。俺はこの日の星を焼き付けるように夜空を見つめ続けた。
「見れたね、星」
「うん、見れたッ、見れた……!!」
腕の中でモゾモゾ動いてそこらじゅうを見ようとする俺のことを、らっだぁは無言で抱き上げていてくれた。
「じゃあ、まず何から見に行く?」
落ち着いてきた俺の耳にらっだぁの優しい声が聞こえた。
「う、う、海!海が見たい!!」
テンションがバカ上がりしてびっくりするくらい声が詰まった。そうだ、俺たちの旅は始まったばっかりなんだ!まだまだ見たいものがたくさんある!
「いいねぇ、じゃあまず海に行こうか。あとは?」
「お花!生えてるお花!!いぬ、ねこ!ペンギン!!」
「ペンギンかぁ~~、いいよ、絶対見せてあげる」
「お店に行きたい!お買い物!!本屋さん、お菓子屋さん!!あ、アイス屋さん!」
らっだぁの首にしがみついて次々に夢を叫ぶ。違う、夢じゃないんだ。叶うんだから!
「ああ、アイス屋さんいいね、じゃあ海に行ってアイス食べようか」
「でも冬だから寒いかな……」
「ふふ、冬に食べるアイスが一番贅沢で美味しいんだよ。だって外は寒いのにぬくぬくしながら冷たいアイス食べるんだよ?」
「え、そんなことしていいのか!?」
「いいんだよ、自由なんだから」
自由、という言葉が胸に転がり落ちた。
そうだ、もう、俺は自由なんだ。
「海までどれくらいかかるんだ?」
「うーん、今からだとちょうど夜明けくらいになるかも」
「じゃあ海でお弁当食べような!」
「そうだね、朝からデザートがアイスなんて最高だよ」
らっだぁは俺を抱え直し、大きな翼を広げる。トランクもしっかり尻尾に引っ掛ける。
「じゃあ、行くよ」
らっだぁの足が塔から離れた。身体が浮き上がり、あっという間に空へと舞い上がっていく。
みるみるうちに離れていく塔は屋上に穴が空いていて、まるで割れた卵のようだった。
ふとあの夢を思い出した。あたたかい殻が割れて冷たい外の世界に引きずり出される夢。
でも今は違う。これからは自由しかないんだ。
俺は今また生まれたんだ。
遠くの地平線が薄っすらと明るくなっている。白む空が夜を追いやっていく。
尻尾にカバンを下げて、子供を抱えた悪魔が悠々と空を飛んでいる。誰かが見たらきっとびっくりするだろうな。もしかしたら記録されて歴史の本とかに書かれちゃうかも。
「……あ!」
淡いすみれ色に染まり始めた夜明けの空を、転がり落ちるように一筋の星の光が駆け下りた。
何度も願い事を聞いてくれた大きな流れ星に、俺は微笑んで新しい願いをかけた。
「ん?なんか言った?」
「へへっ、ナイショ!」
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ここまでお付き合いいただきありがとうございました。小さな魔王と丸い悪魔のお話は、これにて閉幕です。
まずは素晴らしい設定を貸してくださったうつつ様に心から感謝申し上げます。もう本当に最高でした。ちび🌵魔王を守るまんまる🧣という設定があまりにも最高で…素晴らしい世界観を本当にありがとうございました。
読者の皆様も波乱が万丈している話を長いことお付き合いいただきありがとうございます。
そしてぜひ冬の夜空を見上げてみてください。
書きたいことは書ききって、本編への心残りはほぼないのですが、本編に出さなかった設定と、この先の展開とひとまずの終わりをまとめたものをカーテンコールとして別で上げさせてください。
本当にありがとうございました。
コメント
12件

完結おめでとうございます! 荷造りとお弁当のところで、これまでの暮らしてきた歴史と、🧣との幸せな生活とに対する感慨みたいなものでじんわり泣きそうだったのに🌵が泣いたのでそのまま泣いちゃいました。塔の天井を突き破るところと、ついに🌵が空を見上げるってところの描写もめちゃくちゃ好きです! 他にもいっぱ好きです!! 本当に素晴らしい作品をありがとうございます😭 長文失礼しました🙇♀️

本当に素晴らしい小説でした!

最高で素晴らしいお話をありがとうございました😭。とっても明るいハッピーエンドをみさせていただきありがとうございます😭❤️。