テラーノベル
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🩷「……阿部は、なんでこの世界にいるの?」
低く問う。
💚「知人がね、組織に関わってて」
💚「気づいたら、俺もこっち側にいた」
少しだけ、苦笑する。
💚「佐久間は?」
🩷「……金のため」
短く、吐き捨てるように。
💚「ふ、らしいね」
💚「お互い、色々ありそうだ」
💚「……まあ、深くは聞かないけど」
それ以上は踏み込まない。
踏み込めない。
——しばらく、沈黙。
互いに顔は見ないまま、
壁にもたれかかる。
ほんの数メートルの距離。
それなのに——
遠い。
昔と同じ、声。
同じ、空気。
ふと、思い出す。
やんちゃしていた頃の、あの日々。
💚(……懐かしいな)
短いやり取り。
それだけで、胸の奥がざわつく。
🩷「……今日の戦いは、もう終わりだな」
ぽつりと呟く。
💚「……俺を、殺さないの?」
静かに問いかける声。
🩷「……」
🩷「……どうだろうね」
🩷「俺もまだ、人の心が残ってるらしい」
自嘲気味に笑う。
そのまま、ゆっくりと立ち上がる。
🩷「じゃあね」
振り返らずに、歩き出す。
闇の中へ——
そのまま、姿を消した。
💚「……」
一人、残される。
💚(こんな形で、再会するなんて)
小さく、息を吐いた。
夜の静けさだけが、戻ってくる。
──────────────
——阿部の所属する組織。
○○「佐久間大介、知ってるか?」
仲間の一人が、低い声で問いかける。
💚「……ああ」
何気ないふりで、頷く。
○○「昨日、仲間が何人もやられた」
💚「……らしいね」
淡々と返す。
感情は、表に出さない。
○○「阿部は、遭遇しなかったのか?」
💚「……残念ながら」
一瞬の間もなく、嘘をつく。
○○「あいつをやるには、最低でも三人は必要だ」
💚「……そうだな」
○○「阿部、お前の強さにかかってる」
○○「頼むぞ」
💚「……わかってる」
短く答えながら——
心の奥が、わずかに軋む。
──────────────
——佐久間の所属する組織。
○○「佐久間、昨日はよくやったな」
🩷「いや〜、みんな雑魚すぎてさ」
軽く笑いながら答える。
いつも通りの、軽い調子。
○○「だが、阿部を仕留められなかったのは惜しいな」
🩷「……阿部亮平、ね」
一瞬だけ、間が空く。
🩷「残念ながら、会わなかったよ」
さらりと、嘘を重ねる。
○○「お前なら倒せたはずだ」
○○「次は頼むぞ」
🩷「はーい」
いつもと変わらない声。
軽く手を振る。
けれど——
胸の奥に、引っかかる感覚。
──────────────
本来なら。
何も考えず、任務をこなせるはずだった。
誰を撃つかなんて、迷うこともなく。
それなのに——
────────撃てなかった
同じ夜を、思い出す。
同じ声を、思い出す。
二人とも——
気づかないふりをしながら、
確かに、心に何かを残していた。
つづく。
#だてなべ
夢花𓂃𓂂ꕤ*.゚
コメント
8件
また面白そうな予感がする… 楽しみです🥹
またこりゃスゴイの書いてますねぇ(゚o゚;; もう満腹です...😋笑