テラーノベル
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(どうしてこんなわたしになっちゃったんだろう?先生に話した通り、子供の頃は心に守られて幸せだった、幻聴が聞こえることもなかった、悩み知らずだったのに、今はもう悩みだらけ)莉瑠はもう2度と戻れない時間を思った。「お前は馬鹿だ、何も考えず子供の頃幸せをむさぼった、代償があることも知らずに、お前の幸せは代償の上に成り立っていたんだ、家族の幸せを犠牲にした、だからわたしはお前を苦しめることばかり言うのさ、自分だけが幸せだったんだ」莉瑠はもうどうすればいいのかわからなかった。「そんなにわたしが悪いの?なぜ、人間の人生はこんなに苦しいものなの?それはどこか人間が間違っているからよ、わたしは幸せになりたい」莉瑠は幸せを守ろうと一生懸命だっただけなのに。「もうお前に幸せなんかないんだ」莉瑠に幻聴は言う。「嫌よ、子供の頃の幸せを返して、返してよ、なんでお前の声に苦しめられなければいけないの?そんなことのほうがどうかしてる、わたしは子供の頃の自分に戻りたい、わたしの幸せを返してー」莉瑠は耐えられずに叫んだ。人間は必要以上に苦労をする。そんなことのほうがおかしいと思う。人間の複雑な感情から逃げて生きていた子供時代。幸せだったのに。「莉瑠さん、静かにしましょうか?」看護師が莉瑠の病室のドアをノックして入ってきた。「嘘よ、こんな生き方のほうが嘘よー」莉瑠は幻聴に叫び、看護師が精神安定剤を注射した。「ううっ」莉瑠は、美咲とのカウンセリングで他人と話せるようになっても、どうしてこんなことをされるのか?と思った。「今日は先生が用事で他の病院へ行っていますからカウンセリングはできませんので、おとなしくしていて下さい」看護師は莉瑠をベッドに寝かせると言った。莉瑠はみじめだった。子供の頃の心の力を取り戻せないまま、現在に至っていた。莉瑠はいつものように薬で強制的な眠りに落ちるのだった。
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