僕は愛馬。生きていた頃、牧場にいた人間や親から愛されずに死んだ。餌も、愛も十分に与えられなかった。
君だったら耐えられるかい?
必死に生きようとしたけど、ダメだった。
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「あ、あの。なんで僕はここにいるんですか?あとここってどこ…」
死んだ後、僕はなぜかへんなところにいた。へんなところといっても、なんか、天から光がさしてくるような、すごく清々しくて、周りにいる人たちも普通じゃない。紳士的な感じだ。
と、上から光が差し込み、見上げると、背の高い1人金髪の女性がいた。髪は長い。
「ああ、新しくここに来たのですね…」
「え、えっと、ここはなんなんですか?」
「ここは天国です。あなたは、死んだのです」
「えっ」
一瞬言葉が詰まった。なんで?なんで死んだの?
でも、もう死んだ理由はなんとなくわかっていた。
「その頭の上にある印からして、あなたは『愛』に関することで死んでしまったと思います」
「印?」
「えぇ、上を見上げてごらんなさい」
そう言われ、頭の上を見てみると、ピンクのハートが浮いていた。透けている感じできれいだなと見とれていた。
「あっ、そうそう。あなたには、これからの道があります」
「え?死んだのに?」
「はい。こちらで説明させていただきますね。どちらか選ぶのです」
深刻な表情で言われ、息をのんだ。
「まず1つ目の選択肢は、霊として現世にいとどまる。つまり、何かしら生きていた時にやり残したことがあれば、これを選んだ方がいいと思います。2つ目の選択肢は、もう現世へ戻らず、天国で豊かに暮らしていくか…です」
「…そんなの、もう決まってます。僕は、もうあっちの世界へは戻りません。だから、天国で暮らしたいです」
「わかりました。ハッキリと決められるのはいいことですね」
天国への門が開いた。
「ちょっと待ってください。あなたの名前は、これから『愛馬』にしてください。自分の死んだわけを聞かれたら、必ず答えるようにしてください。それでは」
愛馬に向かって手を振ってくれた。愛馬も振り返した。
これから、新たな生活が待っているんだ。もうなにも恐れることはない…
天国へ、入国していった。
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