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青色、ピンク色、紫色の花を咲かす紫陽花。
今日は雨がしとしとと降っている。
雨がよく降る時期、梅雨の時期が来た。
俺は外に出ている。
梅雨の時期になると思い出す。
亡くなった彼女のことを……。
あの時も梅雨の時期で雨空だった。
あの時、1本の電話が掛かってきた。
知人からだ。
他愛もない話かと思ったが、どうやら違うらしいが様子がおかしい。
とても焦っていたので、俺は落ち着くよう言った。
すると知人は信じられないことを言った。
彼女が誰かに襲われたみたいだ……と………。
知人が第一発見者だそうだ。
彼女を見つけ、警察と俺に連絡してくれた。
俺は急いで、その場所に向かった。
到着すると知人とその側に横たわっている彼女がいた。
喉を斬り付けられ、腹部も刺されている。
俺は悲しみに覆われた。
そんな俺は彼女の亡骸をただ抱きしめることしかできなかった……。
あれから数年経つが、未だに犯人は捕まっておらず手掛かりすらない。
俺はあの時、彼女を抱きしめているうちに悲しみだけでなく復讐も芽生えた。
今でもこの気持ちをずっとずっと抱えている。
そんなことを考えていたら電話が掛かってきた。
知人からだ。
「もしもし。俺だ。どうした? 」
「もしもし。急に電話してごめん。……お前に黙ってたことあった。あの時からずっと後悔に苛まれてた。俺……行くよ。お前にはもう会えないのは悲しいけど、今までありがとう。さようなら」
「待て!どういうことだ! 」
俺がそう言い終わらない間に知人は電話を切った。
何が起きたのか分からず俺が混乱していると警察から電話が掛かってきた。
彼女を殺した犯人が自首をしに来たと。
そして犯人は電話をしてきた『知人』だった。
動機は俺と仲良くなる機会を彼女に奪われたから。
俺は真実を知って、また悲しみに覆われた。
味方だと思ってた知人が犯人とは思いもしなかった。
だが、同時に復讐の心が更に大きくなった。
こんなことしても彼女は還ってこない。
そんなの分かっている。
だけど……俺は許せない。
復讐の鬼になろうがどうだってよくなる。
けど……俺の中にまだ少し残っている温かい心が引き止める。
今日はしとしとと薄汚れたものも流してくれそうな雨が降っている。
俺の心にも雨よ降ってくれ。
この復讐をこの悲しい思いを全て流してくれ……。