その男の子の影は、化け物の方へ突撃した。
手にはキラキラしてる何かを持っていた。
速くて見えなかったが、何かが斬れるような音がすると、化け物は急に倒れ込んだ。
そして化け物は灰のようになって消えていく。
「あ、あ……れ……?」
何があったのか分からない僕は、それを言うしか出来なかった。
僕は化け物の隣に居るさっきの男の子を見た。
外見は、僕と年がそんなに変わらないような感じだった。
なにより……。
「……。」
男の子が此方を向いた時、僕は驚いた。
まるでお人形のような、美しいみためをしていたからだ。
月のような明るい紫がかった銀髪。
翠色の瞳が宝石のようにあった。
全てが整っている見た目をしていた。
「……人間。」
「……!?」
突撃、男の子は僕を”人間“と呼んで話し始めた。
「なんで勝手に禁じられた森に入ってんだよ。看板見なかったのか?」
「禁じられた、森……?」
僕が疑問の気持ちで言うと、男の子はため息をついた。
「お前、知らないのか?この森は”災厄“が出るんだよ。此処居れば普通の人間は死ぬぞ。」
「え、死んじゃうの!?」
僕は驚きにそう言うと、逆に男の子に驚かれた。
「……なんで、知らねぇの?」
「だって此処、”初めて来た“んだから”!」
僕は事実は男の子に伝えると、男の子は瞳を丸くして僕を怪しげに思う目で見た。
「は?」
「ほ、本当の話だよ!森に入る前の草原も知らないし、それにそれに……!」
と、僕が言いかける前に、男の子は怪しげに思う目を変えずに言う。
「まぁいい。とりあえず森を出るぞ。此処で話しても、”災厄“に喰われるだけだ。」
先程から言う”災厄“というのは分からなかったが、さっきの化け物が出た地点で危ないんだと確信した僕は、大人しく男の子のあとをついて行った。
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草原の方へ出ると男の子は足を止めた。
「此処なら”災厄“は来ない。」
「う、うん。……所で、君が言う”災厄“って何?」
男の子は、驚くように瞳を丸くした。
「お前、本当に何も知らないんだな。”災厄“は、この世界___”Sorrow Earth(ソローアース)“の災い達の事だ。」
「ぇ……?」
僕は、急に分からない話をされて、混乱してしまった。
「この世界って……何?そろーあーすって何?待って、話に追い付けないよ……!」
それを言うと男の子は更に瞳を丸くした。
「……は?じゃあ……お前、何処から来た?」
「えっと……。」
相手になんて言えば良いのか分からなかった。
とりあえず僕は本当の事を話す事にした。
「あのね、信じられない話かもしれないけどね。僕、自然の中の道を歩いていたんだ。そして、雨が降ってきて、洞窟の中に入って、そうしたら、洞窟の奥の方から光が見えて、なんだろうって思って、その方へ行ったら、突然変な空間が出来てその中を落下して〜……、此処に来たんだ。」
その話を聞いて、男の子は顔を顰めた。
「嘘……だろ?」
「ぅ、嘘じゃないよ!?」
「……じゃあまさか、お前……”地球“から来たのか?」
「は?ぇ……多分、そういう事に、なると思う……けど……。」
僕がそう言うと、男の子は先程とは違って、嘘でしょ、って言ってるような驚きの顔をした。
「って事は……”超能力者“……なのか?地球って世界の、人間の……。」
ボソボソと何か言い出したが、僕の耳には届かなかった。
「……お前、名前は?」
突然名前を聞かれて僕は驚いた。
だが、直ぐに答えた。
「ミア。僕はミア・クロスロードって言うんだ。」
「ミアか。先程は紹介もせずにすまなかった。俺は、アレン。アレン・クォーツだ。」
そして男の子___アレンは、続いて言った。
「それともうひとつ聞いていいか?」
「うん、何?」
「……”超能力“を持ってる、とかないか?」
僕は少しギクッ!?としてしまった。
「どうして?」
「お前が森の中に入ってるのを見て、何してんだって思ってあとを追ってたら、お前から雷が出て急に足が速くなったり、急に止まってたりしてたから、人間にしては不自然な動きだなって思ってな。」
「……確かに不自然だよね。」
「……やけに他人事だな。」
僕は少し眉を下げて笑う。
「僕にも分からない。でも”僕の能力“だと思うよ。多分、早く逃げたいって思ったら、足から雷が生じたんだと思う。止まったのも、速すぎて息が出来なかったから止まれって思ったら、急に止まったんだよ。」
「……変わった能力だな。」
とは言ってるものの、アレンは後退りをしないのに驚きを覚えた。
「どうして、普通にそういう話を聞いていられるの?」
「は?どういうこと?」
「え、だって、僕の世界だとそんな話すると、皆ドン引きして離れるんだよ?」
「あー……。俺の世界は逆にそう言う奴が多いから、かな。」
「多いの?」
この世界、ソローアースは僕の知らない世界観があるのだろうか、と思った。
「うん。此処は、普通の人間と”能力者“って言う、能力を持った人間が半々くらい居るんだ。」
「へ!?そんな居るの!?」
「とりあえず最後まで話聞け。んで、俺も”能力者“。……だから、お前が言うようにドン引きする奴はそんな居ないって事さ。それに___。」
アレンは少し間を空けて僕の方を見た。
「お前みたいな”超能力者“が、この世界に来るのは”数百年に一回“って言われてるんだ。」
「ぇ、数百年に一回!?って事は僕みたいな人って今は居ないって事!?この世界に!?」
「そういう事だな。」
「え!?」
「……まぁ、驚いても仕方がないか。」
逆に、僕からするとそれは驚きしかなかった。
アレンは、歩き出す。
「ついて来い。」
「何処行くの?」
と言いながら僕は大人しくついて行く。
「俺の別荘。詳しい話を聞かせてほしい。」
「別荘……?え、う、うん。」
この後は、僕は不思議に思いながらアレンについて行くだけだった。
コメント
8件
アレン君だぁ!? ミア君、色々と大変だなぁ… 続きが楽しみです!
数百年に一度……超能力者…… アレン君との出逢い…… ここから物語が進んで行くのですね。 創作お疲れ様です。ぺこり
アレン君……!アレン君来た……っ!!! ミア君との会話が平凡で好きです! 続き楽しみにしてます! 頑張ってください!