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第25話:鏡の座標
都市を離れ、外縁区をさらに越えた先。
そこは国家の修正網から外れた“未定義地帯”だった。
灰色の砂が吹き荒れ、崩れかけた塔や錆びた鉄鋼の橋脚が点在する荒野。
かつて文明の痕跡だったものは、いまや風に削られた残骸に過ぎなかった。
クオンは墨染めの外套を纏い、灰色の瞳を細めて荒野を歩いていた。
額の第三の眼が淡く光り、空間に歪んだ像を浮かび上がらせていた。
その背後には新たな仲間、フォージャーの青年ユリクがいた。
赤茶の長い髪を後ろで束ね、紫の瞳を険しく光らせる。
墨染めのコートの下には複数のカプセル装置が下げられており、彼の職業を示していた。
「ここが……師匠が残した“鏡の座標”か。」
クオンは低く呟き、掌に映し出された古い記録を見つめた。
そこにはライラの姿──緑のコートを纏った女性の後ろ姿があり、砂に数字のような模様を刻んでいた。
「この模様……暗黒物質の揺らぎを利用した座標指定だな。」
ユリクが紫の瞳を細め、カプセルを開いて解析装置を展開する。
小さな光球が浮かび上がり、模様を読み取っていった。
突如、荒野全体が淡く揺らいだ。
空の一部が裂け、そこに映し出されたのは“もう一つの都市”。
上下が逆さに重なり合い、人々の影だけが動いている奇妙な光景。
クオンの第三の眼にだけ鮮明に映る──鏡の世界の入口だった。
「やっぱり……師匠はこれを示していた。」
灰色の瞳が強く光る。
ユリクは顔を歪める。
「……だが、ここは国家にとって最大のタブーだ。座標を掴んだ瞬間、必ず追っ手が来る。」
その言葉を裏付けるように、遠方から灰色の装甲車と国家の監視機が迫ってきた。
先頭に立つのはラディウス。
灰色の髪を刈り上げ、緑の瞳を冷たく輝かせ、濃墨のマントを翻していた。
「クオン……ついにタブーに触れたな。」
荒野に吹き荒れる風の中、クオンは外套を広げ、第三の眼を輝かせた。
「師匠の残した答えはここにある。
俺はこの座標を追う。それが、命を守る正義だ。」
国家の追撃と、鏡の世界の入口。
クオンとユリクの旅は、ついに禁忌の座標へと踏み込もうとしていた。