「……いきなりお道具使うなんて……」
弛緩した状態でフニャフニャと言うと、彼は悪戯っぽく笑って私の胸元にローターを押しつけてくる。
「宣言したほうが良かったか?」
「……そうじゃないけど……」
ベッドでの事は、口にしないほうがいい場合もある。
私にふざけ癖があるのを分かっている尊さんは、あえてそうしたのだと思っている。
(……好きでふざけてるんじゃなくて、照れ隠しなんだけど。……ふざけちゃうんだよね……)
心の中で思いながらも、私は初めてのお道具体験に、いまだお腹の奥をピクピクさせている。
「……でも、正直に感想を言うと、これ凄いですね。尊さんの手とは、また違った気持ちよさがあります」
「ローター未経験?」
「お道具未経験です」
「よし、沢山遊ばせてやる!」
「いいから!」
ローターの威力を知ってしまった私は、思わず声を上げてストップを掛ける。
すると尊さんは悪辣に笑って私の脚を抱え上げた。
「せっかくこんなにスケベな下着を着てるんだから、もっと善がってみせてくれよ」
「や……っ、んぅーっ!」
またローターを秘所に這わされ、私はビクンッと体を跳ねさせ、両手で枕を掴む。
「痛いか?」
気遣う尊さんに尋ねられ、私はとっさに首を横に振る。
「気持ちいいなら大丈夫だな」
けれどそれが仇となり、尊さんは秘唇に沿ってローターを動かし、さらにツンと尖った部分で淫芽をいじめてくる。
「やぁ……っ、それ……っ、達っちゃうからぁ……っ!」
「今日は何回でも達っていい日だから、思う存分達けよ」
「なんでぇっ!?」
よく分からない理屈を出され、私は快楽と混乱とで脚をバタつかせる。
「暴れんな」
尊さんは私の太腿を腕に挟んで押さえ、体をくねらせる私を見て愉悦の籠もった笑みを浮かべる。
「ほら、達け。道具使われて達っちまえ」
少し乱暴な言い方をされた瞬間、頭の中がフワッと心地よさに包まれ、私は全身を力ませて絶頂していた。
「――――はぁっ、……はぁっ、はぁっ、…………あぁっ…………」
全身に汗を浮かばせて荒くなった呼吸を繰り返していると、尊さんは優しく髪を撫でつけ、額にキスをしてきた。
「可愛いな」
立て続けに快楽を与えられてつらいほどなのに、とても愛しそうな顔でそんな事を言われると、文句を言えなくなる。
感じまくってドロドロにとろけてもいいんだと言われているみたいで、どんな姿を彼の前で晒そうが、すべて受け入れてくれると思ってしまう。
エッチしている最中だというのに、尊さんの無限の優しさを感じた私は、愛おしさのあまり涙を零してしまった。
「つらいか?」
尊さんは僅かな照明の中で目元に涙が滲んだのを察し、親指でそれを拭って尋ねてくる。
「……ううん。平気です」
「ん」
彼は大丈夫だと言うように、さらに私の頭を撫でた。
そのあと、ベッドサイドに置いてある、ファーの枷を手にした。
「これは? 恐いか?」
説明されなくても、それが何をするための物かは分かる。
「……痛い事しないなら、大丈夫です」
「誓って痛い事はしないよ」
そう言って尊さんは私に枷を着けるのだけれど、手首同士に着けると思いきや、右手首と右足首、左手首と左足首を縛めた。
「これはこれで……、恥ずかしい……」
両腕はベッドの上で伸ばしたまま、脚は膝を折った状態のまま。
かろうじて脚を開閉する事で尊厳を保てるけど、あまり閉じすぎると手に負担がかかる。
「本気でつらくなったら、いつでもちゃんと言えよ。……あ、セーフワード決めておくか。『いや』はつい言っちまうと思うから」
セーフワードという言葉も、存在は分かっている。
主にSMプレイをする時に、本当に行為をやめてほしい時に言う言葉だ。
「じゃあ……、危険そうなワードという事で、ハバネロにします」
それを聞き、尊さんはフハッと小さく笑った。
「OK、じゃあ、これも……」
彼がベッドサイドからもう一つ何かを手に取ったあと、視界が真っ暗になった。






