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メタトンと一緒に遺跡から出ると、雪の降る森に着いた。
しばらく、2人で森を歩いていると、
「なんか、匂うッス…」
「変な匂いッサ!」
向こうの方から、声が聞こえた。
声の方を向くと、斧を持ったイヌのようなモンスターが2匹、こちらに駆けてくるのが見えた。
も、もしかして、ニンゲンの私を捕まえようとしてる…?
「大丈夫。ボクにしっかりくっついていて」
メタトンは私にそうささやくと、胸をポンと叩いた。
「う、うん。分かった!」
私はメタトンにしがみついた。
メタトンの体は、ほのかに温かくて、かすかにモーターの駆動音が聞こえる。鉄とオイルの匂いが鼻をくすぐった。
「やあ、ロイヤル・ガードのお二人さん。見ての通り、ここにいるのはボク1人だよ」
メタトンは堂々とした様子でそう言った。
「…鉄とオイルの匂いの他に、何か違う匂いが混ざってるッス」
「怪しいッサ!」
そう言って、ロイヤル・ガード達はあたりを嗅ぎ回った。
み、見つかっちゃう…!
「大丈夫だって。もっとボクにくっついて!」
メタトンの言う通り、もっとメタトンに密着した。
ロイヤル・ガード達は、しばらくあたりを嗅ぎ回った後、
「鉄とオイルの匂いしかしなくなったッス」
「変な匂いは、気のせいだったみたいッサ」
そう言って、どこかに行ってしまった。
はあ、助かった…。
「こねこちゃんったら、ずいぶん情熱的なんだね」
メタトンに言われて気がついた。私はメタトンにぴったり密着したままだったのだ。
「ご、ごめん!」
私は、急いでメタトンから離れた。
「HAHAHA、冗談だよ!…キミ、顔が真っ赤だね」
「うう…」
赤くなった顔を見られないように、私はメタトンから顔を背けた。
メタトンの角ばった体を思い出すと、胸がドキドキする。
…違うってば、これはただの吊り橋効果っ!