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「ニッポンから来たヤツはどうしてるんだい?」




残暑が残る午後、ハオは柵にもたれて吐き捨てる様にリーファンに言った、ハオは父の陶芸の弟子で、リーファンと父がこの土地へ良い土を探しに来た時からの親友だ



40歳は過ぎていると思うが年齢不詳で、ハオより三倍太っている奥さんと4人の子供がいる、リーファンも彼の家族ととても仲良しだ、そんないつもは陽気なハオが何やら今日は不機嫌そうだ




「都会的で、はすっぱな男、リーファン、アイツには気をつけたほうがいいよ、世間ずれしているし、年齢だって君と父親ほども離れてるだろ」




ハオが草笛を口に含んで柵にもたれかかって言う



「それ、どういう意味?ああいう人間って?」



不機嫌なハオに彼の隣で同じように草笛を口に含んでいるリーファンが笑いながら、やりかえす




「アイツはこの辺には合わないさ、ああいう人間は自分のいるべき場所をわきまえてほしいね」




ハオが自分の身を案じてくれていると知ると心が温まるが、きっと親友のハオは隆二を何か誤解しているのだ、リーファンは二人が大好きだから仲良くして欲しかった



「父も彼を気に入ってるわ」



それがなによりの物差しだ、人間嫌いの父と実祭上手くやっている隆二は素敵だと素直に思う、きっと純粋な心の持ち主なんだ



ハオは、信じられないと言いたそうに口もとを引きつらせた



「そりゃぁ、お師匠さんにとってアイツは、陶器を沢山買ってくれた羽振りの良い客だよ、でもお師匠さんは女の子じゃないからね」



リーファンは目を丸くし、顔を上気させてハオを見た



「女の子にとって彼が「危険」って言いたいの?」



リーファンは可笑しくなった、隆二はそんな危険な存在ではないし、暴力的でもないし、ましてやあんなにお金持ちなのにここから何かを盗む様な泥棒とでもハオは言いたいのだろうか



隆二は微笑ましいほど紳士でいつもリーファンに優しい、それに父も彼を信頼している、なのに、どうしてハオは隆二を嫌うのだろう?・・・人を見た目で判断するなんてハオらしくもないと思った




「まぁ、(疑わしきは罰せず)だな」


「疑わしいってなんのこと?」




リーファンがますます不機嫌になるハオに聞き返した



「とにかく心配なんだよ、車の修理なんか待たなくてもアイツはここを出て行こうと思えばいつでも出て行けるはずだ、ここに留まっている理由は何だと思う?」



「純粋に車の修理を待ってるんだと思うけど?」




ハオはやれやれと首をすくめて立ちあがったが、自分のトラックの所まで行くと、もう一度リーファンを振り返った



「俺の言ったこと忘れるなよ、それから靴を履いた方がいいよ、あとスカートじゃなくズボンもね」


「私は素足が好きなのよ、知ってるでしょ」






ハオが帰ると、リーファンは森を抜けて家に向かう途中、自然に笑みが浮かんできた



フフッ

「変なハオ・・・今日はきっと機嫌が悪かったのね」




ウーロンがいつもの森のパトロールから戻って来て、リーファンの横に並んだ




自由って素敵だ、都会の様な規則に縛られた生活から逃れて、こんなにのびのび生活できる、父は声をかけなければ食事の時間すら忘れている



だからいつでも好きなことが出来るし、どこへでも行ける、平和でのどかな生活だ、リーファンはこの生活を愛していたが、都会の大学に通って色んな事を学んでいる自分を想像するとワクワクした



庭の入口にもう何年も実をつけていない桃の木があった、その低い枝に、昔ハオが作ってくれたブランコが下がっていた



腰かけの部分の赤いペンキはすっかり剥げてしまっているが、ロープはまだしっかりしていて、大人が乗っても大丈夫そうだ



リーファンはフラリと腰をかけ、前後に漕ぎ始めた、ほてった顔を風が撫でて気持ちが良い、もうハオに言われたことを忘れていた、森の隊長のウーロンはまたどこかへパトロールへ行ってしまった




目を閉じて、ブランコの揺れるままに身をまかせていたら、突然、足音がしたので、頭をのけぞらせて後ろを見た



隆二の姿が逆さまに映ると、リーファンの瞳がパッと輝いた、隆二は動いているブランコのロープをつかんで、途中で止め、リーファンの顔の上にかがみこんだ



「ちょっと町まで行ってきたんだ、いやぁ君は学校に行くのにあのバス停まで毎日歩いているの?すごいなぁ」




ハハハと彼は爽やかに笑った、リーファンの心の中にとろけるような甘い感覚が全身に広がっていく、彼女は軽い身ごなしでブランコから地面に降りたった



「バス停すぐわかった?」



隆二はちょっとの間よそよそしい顔で彼女をながめていたが、やがて笑顔にかえった



「すごく良い肉があったから買ってきたんだ、今夜はバーベキューだ!僕が腕を振るうよ」




古い紙に包まれた大きな牛肉の塊を見て リーファンは笑った、やっぱり彼は良い人だ、きっとハオは何か勘違いをしているのだ







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