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月曜日。
照は朝から落ち着かなかった。
土曜日。
辰哉と会える約束の日。
けれど、本社で急な案件が入る可能性があると言われていた。
(頼むから入らないでくれ……)
珍しくそんなことを願っていた。
────────
昼過ぎ。
本社会議室。
プロジェクトメンバーが集まる。
責任者が資料を閉じた。
「土曜日の案件だが」
照の手が少しだけ止まる。
「先方と調整した結果」
「来週月曜日へ変更になった」
部屋の空気が少し和らぐ。
照も小さく息を吐いた。
「岩本さん?」
隣の社員が不思議そうに見る。
💛「……いや」
💛「助かった」
思わず本音が漏れた。
────────
夕方。
照は仕事が終わると、すぐに辰哉へ電話をかけた。
💜「もしもし?」
💛「土曜日」
💜「うん」
💛「帰れる」
一瞬の沈黙。
そのあと、電話越しに嬉しそうな笑い声が聞こえた。
💜「よかった」
💛「心配させたな」
💜「ちょっとだけ」
💛「ごめん」
💜「でも今は楽しみ」
その声だけで、照も自然と笑顔になった。
────────
土曜日。
午前十時。
新幹線がホームへ滑り込む。
辰哉は少し早く駅へ着いていた。
人混みの向こうから、見慣れた姿が歩いてくる。
スーツではなく、ラフな私服。
💜「照!」
照も辰哉を見つけて笑う。
💛「待った?」
💜「十五分くらい」
💛「早すぎ」
💜「早く会いたかったから」
照は照れたように笑った。
💛「俺も」
────────
駅を出て歩く。
久しぶりに隣を歩く感覚。
電話では毎日話していた。
でも。
隣にいる安心感は、やっぱり違った。
💜「ちゃんと寝てる?」
💛「その質問、毎日されてる」
💜「大事だから」
💛「辰哉は?」
💜「俺はちゃんと寝てる」
💛「嘘」
💜「なんで?」
💛「目の下」
💜「……また?」
二人で笑う。
ビデオ通話で話していたことと同じやり取りなのに、今日はずっと楽しかった。
────────
昼食を食べ終え、公園を歩いていると、辰哉が立ち止まる。
💜「ねぇ」
💛「ん?」
💜「今さらだけど」
💜「ちゃんと写真撮ろうよ」
照は少し驚いた。
💛「二人で?」
💜「うん」
💛「あんまり撮ったことなかったな」
付き合っていた頃も、写真は少なかった。
一緒にいる時間を大事にしすぎて、形に残すことを忘れていた。
辰哉がスマホを構える。
💜「はい、笑って」
💛「急だな」
カシャッ。
画面には少し照れくさそうに笑う二人が映っていた。
💜「いい感じ」
照も画面を覗き込む。
💛「自然だな」
💜「今の俺たちらしい」
辰哉はその写真をお気に入りに登録した。
「思い出」がまた一つ増えた。
────────
夕方。
帰りの新幹線まで、あと三十分。
駅の改札前で二人は立ち止まる。
前みたいな寂しさはある。
でも。
今回は違う。
終わりではなく、次に会う日が決まっている。
💛「来月も帰る」
💜「待ってる」
💛「無理しないでな」
💜「照も」
照が改札を通ろうとした、その時。
スマホが震えた。
本社の上司からのメッセージだった。
「月曜日の案件ですが、先方から岩本さん本人をご指名です。今後も継続して担当をお願いしたいと考えています。」
照は画面を見つめたまま、ゆっくり息を吐く。
嬉しい話のはずだった。
それなのに。
胸の奥に、小さな迷いが生まれ始めていた。
コメント
3件
来月会えないかもってことかな?ひー、ぜってぇ休み取れよ!!!
ほんとにひーくんこんぐらい忙しいんだろうな、
第25話、読み終えたわ…! 久々に会えた二人の自然な距離感がすごく良いね。電話じゃ伝わらない「隣にいる安心感」って言葉、めちゃくちゃ刺さった。 公園で写真撮るシーン、何気ないけど「今の俺たちらしい」って辰哉が言うのがグッと来たよ。 最後の上司のメッセージで照が迷うとこ…ここからどうなるんだろう。続きが気になりすぎる🔥