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月曜日。
本社。
照は朝一番で案件の打ち合わせに参加していた。
先方との話し合いは順調に進む。
会議が終わると、取引先の担当者が笑顔で手を差し出した。
「岩本さん」
「ぜひ、この案件が終わったあともお願いしたいです」
💛「ありがとうございます」
「本社に残っていただけるなら安心なんですが」
照は一瞬だけ言葉を失う。
💛「……その件は、まだ何とも」
担当者は笑顔のまま頷いた。
「失礼しました。でも、それくらい信頼しています」
────────
午後。
照は会議室へ呼ばれた。
部長と本社の役員が待っている。
「岩本」
「単刀直入に言う」
照は静かに頷く。
「本社に正式異動しないか」
部屋が静まり返る。
「半年じゃなく、今後は本社の中核メンバーとして働いてほしい」
照は書類を見つめた。
待遇も昇進も申し分ない。
誰もが目指すような話だった。
「返事は急がなくていい」
「一週間考えてくれ」
💛「……分かりました」
────────
夜。
照はいつものように辰哉と電話を繋ぐ。
💜「お疲れさま」
💛「お疲れ」
少しだけ間が空く。
辰哉はすぐに気付いた。
💜「何かあった?」
照は苦笑する。
💛「隠せないな」
💜「顔見えなくても分かる」
照は今日あったことを全部話した。
本社から正式異動の話が出たこと。
返事を一週間待ってもらっていること。
電話の向こうが静かになる。
💛「……辰哉?」
💜「聞いてる」
少しだけ声が震えていた。
💜「すごいじゃん」
💛「嬉しくないのか?」
💜「嬉しいよ」
💜「照が頑張ってきた結果だもん」
そう答えながらも、胸は苦しかった。
もし本社に残れば。
「半年後に戻る」
その約束はなくなるかもしれない。
────────
照はゆっくり口を開く。
💛「俺」
💛「まだ返事してない」
💜「うん」
💛「辰哉は」
💛「どうしてほしい?」
辰哉はすぐには答えなかった。
窓の外を見つめる。
照の夢を応援したい。
でも。
隣にいてほしい。
その二つの気持ちがぶつかる。
数十秒後。
辰哉は静かに笑った。
💜「俺のために断るのはなし」
照は目を閉じる。
💜「でも」
💜「照が本当にやりたいことなら」
💜「俺は応援する」
💛「……」
💜「その代わり」
💜「ちゃんと自分で決めて」
💜「後悔しない方を選んで」
照は胸が熱くなった。
この人は、昔からそうだった。
自分のことより、相手を優先してしまう。
だからこそ。
今度は照が、自分で答えを出さなければならなかった。
電話を切ったあと。
照は机の上に置かれた「正式異動」の書類と、スマホの待ち受けに映る辰哉との写真を交互に見つめる。
人生を変える選択まで、あと一週間。
コメント
2件
おい社長なんちゅう提案しとんねん! 2人を悩ませただろうが!
え、まさかの本社異動の打診…!照が築いてきた信頼がちゃんと評価されてる証拠だけど、このタイミングで「戻る約束」が揺らぐのが切ないですね。辰哉が「俺のために断るのはなし」って言いながら声震わせるところ、自分の欲望より相手の未来を優先する優しさが滲んでてグッときました。一生懸命な二人だからこそ、この一週間の決断がどう転ぶか、続きが気になります。