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2021年4月。
また、季節は春になった。
新入社員が4人入ってきた。
同級生だった。ひとり女の子がいて、やっと歳が近い、と言うか同じ歳の女の子が入ってきて、とても嬉しかった。
新入社員とは直ぐに馴染んだ。
「あの人、私の同期」
私は、会社の喫煙所にたまたまいた、やまぴーを指さして、堀田さんに言った。
堀田 彩(ほった あや)。新入社員の女の子。
私自身、やまぴーと会うのも久しぶりだった。
多分、バーベキュー以来。
「やまぴー、なんか面白い事話して」
と、あたしは言った。
やまぴーは
「無茶振りやっし。急にやめてくださいよ?」
と言った。
堀田さんは隣でくすくすと笑った。
「あれ、て言うか今日社内?」
「そう」
「珍しくない?」
「暫くはね」
やまぴーは、そう言って電子タバコをズボンのポケットに入れた。
「ふーん、じゃあね〜」
私は手を振って、堀田さんとその場を後にした。
帰り道。
バス停でバスを待つ。
すると
「あ…」
そこに現れたのは、やまぴーだった。
「帰り?早いね」
事務の私はいつも定時で帰るので、誰かと同じ時間のバスに乗るのは珍しい事だった。
「たまにはね」
「そう言えば、横浜の、終わったんだっけ?」
「そうそう」
「大変だったね。1年くらいいたんだっけ」
「そんくらい」
「お疲れ様でした」
「バス、あと15分も来ないじゃん」
「あー、そうだね」
「ちょっとコンビニ言ってくるわ」
「え?なんで」
バス停を渡って、少し歩けばコンビニはある。
「タバコ」
「あーね」
そんなにタバコ吸いたいんかい。
とか思いながら、早くバス来ないかなとも思った。
5分くらいして、やまぴーは戻ってきた。
「タバコ、吸わないでよここで」
「吸わんわ」
そう言って、なにやら袋から出していた。
「ぷっちょ」
「…」
「あげる」
「…好きね」
前もそうだった。
前って言っても、2年前。
入社してすぐの時も、バスが一緒だった。
その時は、研修期間中で何回か同じ時間のバスに乗ったことがあった。
「前も食べてなかった?」
その時も貰った。
「美味しいだろ」
私は普段食べないものだった。
飴とかハイチュウとか、そういった物は一切取らないようにしている。
「…ありがと」
だけど、たまには良いやって、中学生?ぶりくらいに食べた。
「もう一個あげる」
「…ありがと」
そんないらないし。
やまぴーはそう言って、私の手にそれを乗せてくる。
私ももう1つ食べた。
「もう一個あげる」
「え!」
何だかんだ、5、6個貰った。
「バス来たね」
バスが来たので、バスに乗る。
「座れば?」
空いている椅子はひとつしか無かった。
「ありがとう」
「てか、呑み行こーぜ」
その言葉も、久しぶりに聞いた。
「いつ?」
「今からでもいいよ」
「はー?無理」
また急すぎることを。
「じゃあいつが良い」
私は携帯でスケジュールを確認した。
「うーん、まぁ、今週の金曜日とか?」
「明後日か」
「堀田さんも誘っていい?」
私はそう言った。
「堀田?あぁ良いよ」
「やった」
2人じゃないなら良かった。
「じゃあこっちは、大山さん誘うわ」
げ。
「良い?」
やまぴーがそう聞いてきた。
私と大山さんが付き合っていることは、くれぐれも秘密にしないと。
ここは冷静に。
「良いよ」
と私は答えた。
「じゃあ俺から連絡しとくわ」
「うん」
「ってかやば!俺ここで降りるんだけど!」
慌てて降りるボタンを押そうとしたやまぴーだったが、時すでに遅し。
やまぴーのマンションはバスの窓から通過して行ったのが見えた。
私はやまぴーの肩に手を置き一言。
「どんまい」
と言った。
返ってきた言葉は
「うざ」
だった。
「もしもし?」
「今どこ?」
「百均。やまぴーは??」
「もうすぐ会社出る!」
「早く来てよ!誰もいないんだけど」
「大山さんは?」
「知らなーい」
時刻は間もなく18時。今日は、前に誘われた呑み。
私だけ定時にあがり、ひとりは連絡がつき。
他2人はまだ。
「じゃあ俺、自転車だから一旦切るな」
「おけー!着いたら言ってねー!」
そう言って、私は電話を切った。
あれ、そういえばやまぴーって、自転車で会社行ってるんだけ?
この前はバスだったけど、、?
まあいいや。
すると大山さんからLINEが来た。
【もう駅?】
と。
それと同時にやまぴーからもLINEが来た。
【大山さんもう駅に着くってよ!】
と。
私はそれぞれに返事を返した。
すると大山さんから電話がかかって来た。
【今どこいる?】
【百均の近く!】
【そっち向かうね】
【ありがとう】
【音ちゃん早くバス乗っちゃうんだもん】
【えー?】
【俺も定時で上がったのに】
【そうだったの?】
違うバスに乗ってたんだ。
【あ、いたいた】
そう言って手を振りながら、近づいてきたのは大山さんだった。
「お疲れ様」
「お疲れ様、久しぶりだね」
最後に会ったのは3月の誕生日以来だった。
「もうすぐ山下も来るって」
「そっか、やまぴー今日に限って現場だったもんね」
最近はずっと社内だったのに。
逆に大山さんは今日、たまたま社内だったみたい。
「堀田さんも一緒だったんじゃない?」
「あーー、そうかも」
すると電話がかかって来た。
あ、やまぴーだ。
「やまぴーから電話かかってきたからちょっと出るね」
私はそう言って電話に出た。
「もしもし、着いたー?」
「着いた。まだ百均?」
「うん!百均の前にいる。大山さんにも会ったよ」
「まじ」
「うん」
「じゃあ向かうわ」
「はーい」
電話を切る。
「もう着いたってー」
「お」
大山さんの視線の先にいたのはやまぴーだった。
「お疲れ様」
私はそう言った。
「おつかれーい、先店入ってても良かったのに」
「あー、あたし達も今会ったばっかりだし」
「あれは?堀田さん」
「なんか今日、少し遅くなるんだって」
「残業?」
と、大山さんは言った。
「やまぴー何も聞いてないの?」
「喋ってないし」
「え?今日現場一緒だったんじゃないの?」
私はやまぴーに言った。
「一緒だったけど、今日の事については話してない」
「そうなんだ。じゃああたし場所連絡しとくね!」
「そうだな、じゃ。行きますか」
2人が良く行くお店があるらしい。
そこに連れていってもらった。
そして現在。