サイド レン
「ただいま」
ガチャリと扉が開いてトキさんが拠点へ戻ってきた。
「おかえりーー!!……っグェッ!!」
「落ち着け、お前は動物か」
走ってトキさんに飛びつこうとする団長さんの服をマオさんが引っ張って止める。
……苦しそうだな。
「どうだった?」
「大丈夫だと思うよ。気づいた様子もなかったし」
トキさんがそう言うならそうなんだろう。
よかった。これでユメのこと、少しでも分かるといいからな!
「……んで?いつ仕掛けるんだ??」
団長さんがオレの方を向いて、そう問いかける。
「あっ!えっと、先生の許可さえ取れらばいつでもいいです!」
オレはそう答えた。
「んじゃ、早いうちに行くか!」
「ルネは相変わらず、生徒会の方が忙しいみたいだがな……」
はあ、とマオさんが大きなため息を吐く。
「っあ、わ、わ私も、用事があって、しばらく……一緒に活動出来ないかも……」
タエさんが体を震わせながら控えめに手を挙げた。
……ん?タエさんが、用事?
「珍しいな、タエが用事なんて。なんかあったのか?」
マオさんはオレが疑問に思ったことをそのままタエさんに問いかける。
「あの…………チョットタイセツナ……」
目を回しながら、タエさんはそう答えた。その用事の内容が気になるんだけどな。
「私がタエに頼んだの!男子には言いにくい頼み事だから、なるべく聞かないで欲しいな!」
キリさんがそう言ってウインクする。
男子には言いにくい頼みって、一体なんなんだろう?オレも、他の人も首を傾げた。
サイド キリ
タエが用事なんて、珍しいな。
しかも、あんなに慌てているなんて……。
…………なるほど。
私はそこに“男”の影を感じとった。
完全に推測なんだけど、ここはちょっと助太刀してやりますか!
「私がタエに頼んだの!男子には言いにくい頼み事だから、なるべく聞かないで欲しいな!」
私はそう言ってタエにウインクした。
「あ、ありがとう……!」
タエが小声でほっとしたように言った。
「いいって!それよりもデート、楽しんできなよ!!」
さすがにデートではないと思うけど、からかう気持ちも含めて私はそう言った。
一瞬、意味がわからなかったのかタエは首を傾げると、すぐに顔を真っ赤にして「ち、違うもん!!!」と大声で叫んだ。
「あはは!冗談、冗談!」
タエってからかいがいがあるな〜。
ま、タエが用事なら、私たちもその分頑張りますか!
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