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#まじっく快斗 # 名探偵コナン
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昨夜の喧騒が嘘のように、江古田高校の教室には穏やかな朝の光が差し込んでいた。
しかし、黒羽快斗の頭の中は、お世辞にも穏やかとは言えなかった。
(声、口調、そしてお面の隙間から見えたあの輪郭……。間違えねえ、怪盗CATの正体は――)
快斗は、自分の前の席に座ってのんびりとスマホを眺めている幼馴染、如月翔の背中をじっと見つめた。
いつもの、少し猫背気味の気だるげな背中。だが昨夜、あの風を切るスケートボードの上で、自分を引っ張り上げてくれた頼もしい相棒の姿がどうしても重なってしまう。
「よお、翔。昨日の夜、何してたんだよ?」
快斗はわざといつも通りを装い、翔の肩を後ろから小突いた。
「ん? 家でテレビ見てゴロゴロしてただけだけど。それがどうかした?」
小首を傾げる翔の顔を、快斗は食い入るように見つめる。昨夜のCATは、顔の半分が隠れるように猫のお面を斜めにかぶっていただけだった。だからこそ、隠れていないもう半分の顔立ちが、あまりにも鮮明に記憶に残っている。
(……やっぱり似てる。昨日、美術館の屋上で対峙したあの高校生探偵――工藤新一に、顔のパーツが酷似してやがる。地声だってそのままだ。……まあ、世の中には自分に似た人間が3人いるって言うし、単なる他人の空似だろーけどさ)
快斗にとって工藤新一はただの「目障りな名探偵」であり、目の前の幼馴染の翔が、まさかその探偵の実の弟だとは夢にも思っていない。
「いや、なんでもねーよ。変な夢見てさ」
「ふーん? 寝不足は美容の敵だよ、快斗」
クスクスと笑う翔の完璧なポーカーフェイスに、快斗はそれ以上突っ込めず、内心で歯噛みするのだった。
――ところ変わって、帝丹高校の放課後。
「……なぁ、母さん。単刀直入に聞くけどさ」
誰もいない教室で、工藤新一はスマホを耳に当て、時差のある海外の母親――工藤有希子へと電話をかけていた。
「俺に……兄弟がいたりしないか?」
『あら、急に何言ってるのよ新ちゃん。貴方は昔から可愛い一人っ子でしょ?』
受話器の向こうの有希子は、いつもの調子でケラケラと笑い、明らかに話をはぐらかそうとしていた。だが、新一は一歩も引かない。
「嘘つくなよ。昨日の夜、怪盗キッドの現場にさ、俺に顔も声もそっくりな『怪盗CAT』って奴が現れたんだ。お面を斜めにかぶって顔半分を隠してたけど、ごまかせねえよ。俺が、そんな血縁の謎を見落とすはずがねえ」
新一がそこまで一気にまくしたてると、電話の向こうで、有希子が小さく息を呑む気配がした。長い沈黙のあと、諦めたような、ひどく寂しげな声が響く。
『……やっぱり、隠し通せなかったわね。ええ、そうよ新ちゃん。貴方には、双子の弟がいるわ』
有希子の口から語られた事実は、新一の予想を裏付けた。諸事情あって、今は有希子の実家の姓を名乗らせて(原作では如月ではありません)日本で暮らさせているのだという。
『あの子の名前は、翔。工藤、翔よ……』
その名を聞いた瞬間、新一の脳裏に昨夜の光景がフラッシュバックした。閃光弾を投げられる直前、激しい風の中で、斜めにかぶったお面の奥から不敵に笑いかけてきたあの少年の姿。
『ねえ、新ちゃん……』
有希子は、すがるような、泣き出しそうな声で続けた。
『翔はね、昔から新ちゃんと同じくらい、とっても頭が良い子だったの。なのに……なのに、なんであの子が怪盗なんかに……っ』
母親のその言葉が、新一の胸に深く突き刺さった。
犯罪者を絶対に許さない探偵としてのプライド。そして、ようやく存在を知った、自分と同じだけの優れた頭脳を持つはずの、実の弟への情。
(なんで工藤家の人間が、あんなコソ泥の片棒を担いでやがるんだ。……あの子は怪盗なんかじゃなく、俺と一緒に、探偵側として並び立つべき存在のはずだろ……!)
新一の心の中で、「翔を怪盗から探偵側に寝返らせたい」という執念にも似た強い気持ちが、激しく沸き上がった。
『新ちゃん。私、翔にまた笑って会いたいの。あの子を止めて、探偵側に連れ戻せるのは、お兄ちゃんの貴方しかいないわ。私も、貴方の計画に手を貸すから……!』
「ああ、任せとけよ母さん」
新一は拳を強く握りしめ、手元のノートに『工藤翔』の文字を強く書き殴った。
「待ってろよ、翔……。どこにいるかは知らねえが、必ず見つけ出して、こっち側に引っ張り戻してやる」
世界最高のステージで始まる、血を分けた兄弟の、あまりにも奇妙でスリリングな鬼ごっこ。有希子という強力な内通者(協力者)を得た新一の追跡が、今ここに幕を開けた。
コメント
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第2話、一気に核心に迫る展開でドキドキしました……! 快斗が翔の背中を見つめるシーン、幼馴染でありながら正体に気づきかけてる緊張感がたまりません。そして新一が有希子から双子の弟の存在を聞き出す場面、あの「なんで工藤家の人間が」という悔しさと執念が胸に刺さりました。翔を探偵側に戻そうと拳を握る新一と、平然と猫をかぶる翔。これからの兄弟対決が本当に楽しみです!