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#まじっく快斗 # 名探偵コナン
pr様_@
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#警察学校組
「――翔は今、江古田高校に通っているわ。如月、っていう私の実家の姓を名乗ってね」
有希子から告げられたその情報を頼りに、工藤新一は江古田高校の校門から少し離れた、夕暮れの街路樹の影に身を潜めていた。
母の言葉が、今も耳の奥でリフレインしている。
『あの子は新ちゃんと同じ双子の片割れ。新ちゃんと同じくらい、とっても頭が良い子なの。なのに、なんであの子が怪盗なんかに……っ。新ちゃん、翔を連れ戻して。お願い……!』
有希子はそう言い残し、翔の現在の写真や、彼がよく通る下校ルートのデータを新一に送ってくれた。母もまた、もう一人の息子が夜の闇に染まっていくのを、必死で止めたいと願っているのだ。
「……来たな」
新一の鋭い目が、校門から出てきた一人の少年を捉えた。 カバンを肩にかけ、気だるげに歩くその姿。お面をつけていなくてもわかる。鏡を見るまでもない、自分と完全に同じ骨格、同じ顔――双子の弟、工藤翔だ。 翔は一人で歩いていた。親友であるはずの黒羽快斗は、今夜のキッドとしての仕込みがあるのか、先に帰ったのだろう。新一にとっては、これ以上ない絶好の機会だった。 翔が人通りの少ない路地裏の角を曲がった瞬間、新一は音もなくその前に立ち塞がった。
「――待てよ、翔」
「……っ!?」
翔が息を呑み、足を止める。 目の前にいるのは、自分と全く同じ顔をした少年。昨夜、美術館の屋上で火花を散らした、実の兄であり高校生探偵の工藤新一。
翔の端正な顔が、一瞬だけ驚きに強張る。だがすぐに、彼はいつもの不敵なポーカーフェイスを取り繕った。
「……へえ。驚いたな。まさかこんなに早く、僕の居場所を突き止めるなんてさ。さすがは名探偵、工藤新一くん?」
「お前を調べたのは、探偵としての仕事じゃねえ。……兄貴としてだ」
新一は真っ直ぐに翔の目を見つめ、一歩、歩み寄った。その瞳には、容疑者を追い詰めるような冷徹さは一切なく、ただ純粋な、弟を想う必死さだけが宿っていた。
「母さんから全部聞いた。お前が俺の双子の弟だってことも、如月の姓を名乗ってることもな。……そして、昨夜の『怪盗CAT』がお前だってことも、全部だ」
「……母さんが、ね」
翔は苦笑し、視線をわずかに落とした。すべてを察したのだろう。
「なら、話は早い。僕を捕まえに来たの? 泥棒の片棒を担いだ犯罪者として、手錠でもかけるかい?」
「そんなわけねーだろ!」
新一は声を荒らげた。その表情は、ひどく痛ましげに歪んでいる。
「手錠をかけるために、わざわざ一人で来るかよ! 翔、頼むから……探偵側に寝返ってくれっ!!」
新一の口から飛び出したあまりにも必死な懇願に、今度こそ翔は目を見開いた。
「お前は俺と同じ工藤の血を引く人間だ。母さんも言ってたぞ、お前は俺と同じくらい、昔から頭が良かったって。そんな神様から貰った極上の頭脳を、なんであんなキッドのコソ泥を助けるためなんかに使ってやがるんだよ!」
新一は言葉を止めず、熱を帯びた声で訴え続ける。
「怪盗なんて、いつかは警察に捕まって終わる、後ろ暗い夜の幻だ。そんな場所に、お前のいるべき席はねえ! お前ほどの頭脳があるなら、夜の闇で泥棒を助けるんじゃなく、昼の光の中で、俺と一緒に事件の謎を解き明かす側に回るべきだろ!?」
「新一……」
「俺と一緒に来い、翔! 探偵側に寝返るんだ。お前がこっち側に来てくれたら、俺たちの知恵を合わせれば、どんな難事件だって、あの怪盗キッドだって絶対に捕まえられる! 母さんだって、お前が探偵として、俺の相棒として、胸を張って生きてくれることを心の底から願ってるんだ。頼む、翔。夜の世界から足を洗って、俺たちの元へ帰ってきてくれ……っ!!」
新一は息を切らしながら、何度も、何度も、長く、熱い言葉で「探偵側へ来い」と伝え続けた。その言葉のすべてに、弟を闇から救い出したいという、痛いほどの兄の情愛が詰まっていた。
路地裏に、重苦しい沈黙が降りる。
翔は黙って新一の言葉を受け止めていた。
怪盗CATとして快斗を助けるスリルや日常も、翔にとっては大切なものだ。しかし、彼の中にも、工藤の血――「探偵」としての鋭い知性と、真実を求める地(気質)が確かに流れている。兄の、そして母の、自分を想う必死な言葉が、翔の心の奥底にある探偵としての本能を、激しく揺さぶっていた。 じっと自分の手のひらを見つめた後、翔は小さく息を吐き、複雑な色を宿した瞳で新一を見つめ返した。
「……新一。君の気持ちは、痛いくらい伝わったよ。母さんのこともね。……でも、僕にも今まで過ごしてきた江古田での日常や、守りたいものがあるんだ。すぐに『はい、そうですか』って寝返るわけにはいかない」
翔は一呼吸置き、少しだけ柔らかい、だが真剣な声で続けた。
「……少し、考えさせてくれ」
その言葉を聞いた瞬間、新一の顔にわずかな希望の光が差した。完全に拒絶されたわけではない。翔の探偵としての血が、確かに揺らいでいる。 新一は深く頷くと、自分の感情を落ち着かせるように一歩下がった。
「……分かった。お前が工藤の頭脳で出す答えなら、俺は信じて待つ」
新一は翔の目を見据え、力強く言い放つ。
「来週、またここへ来る。それまでに、お前の本当の答えを出しておいてくれ」
夕闇が路地裏を包み込む中、新一はそう言い残すと、背を向けて足早に立ち去り、雑踏の中へと姿を消した。
一人残された翔は、兄が消えた方向をしばらく見つめていた。 カバンの中から、斜めに割れた猫のお面を取り出し、夕日にかざしてみる。
「……参ったな。お兄ちゃんがあんなに熱い探偵サマじゃ、僕のポーカーフェイスも形無しだよ……」
翔はぽつりと呟くと、お面をカバンに仕舞い直し、複雑な笑みを浮かべながら、ゆっくりと歩き出すのだった。
コメント
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寺島あおいです🤍 第3話、拝読しました……! 新一が「手錠をかけるために来たんじゃない」って必死に翔に向き合う姿、もう胸が熱くなりました。双子の弟を闇から救いたい一心で、兄として真正面からぶつかってくるのが、探偵とか怪盗とか抜きに、ただの兄弟の絆の話としてすごく響きます。翔が「考えさせてくれ」と一歩引いたのも、彼なりの誠実さが出てて良かった。来週の答え、楽しみです🌷