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「おい、入れ替わるぞ……」
「へっ?」
「活動限界が来た。おまえから貰うものをもらわなきゃ、俺は動けない。とりあえず足にくっついてるズボンと下着を脱いでから、さっさと入れ替われ」
吐き出すように告げるなり、つらそうに顔を歪ませた番人が躰の上に倒れ込んできた。体温が低いのに、しっとりと汗ばんだ肌を直に感じて、危機感に迫られる。
片腕で番人の華奢な躰を支えながら起き上がり、空いた手で指摘されたものを脱ぎ捨てた。
「番人さま、大丈夫ですか?」
顔を覗き込んで声をかけたが、目がうつろな状態で焦点が合っていなかった。
(とにかく僕が早いとこイって、番人さまを楽にしてあげなければ!)
静かに横たえさせてから、番人の両膝の間に自分の躰を割り込ませる。焦りながらも自身が感じるように、腰を前後に動かしてみた。
「んっ……ぁ」
荒い呼吸を繰り返す、番人の色っぽい唇から甘い声が漏れるのを聞き、自分が感じさせていることを実感させられたのだが――。
「くそっ、早くイきたいのに……」
無駄に焦れば焦る分だけ快感が遠のくせいで、下半身の熱が次第に冷めていき、みるみるうちに萎んでいく。
「……敦士、俺の両肩を掴め」
「へっ? あ、はいっ!」
目を閉じたままなされた指示に、慌てて返事をした。言われたとおりに番人の肩を掴む。自分よりも厚さのない体形をてのひらに感じて、手荒に扱ったら壊れるんじゃないかという不安に駆られた。
「腰を動かしてみろ。そうすれば、俺の躰が逃げない。さっきよりも強い刺激が、得られる、だろ」
ちょっとだけ両腕に力を入れながら、床に番人の躰を押さえつけた。そのまま腰を前後に動かしてみたら、番人が告げたように気持ちよさを体感できた。
「ありがとうございます。このまま続ければ、なんとかイけそうです」
「そりゃ良かった。もっと気持ちよくしてやるから、俺にキスしろ」
眉間に深い皺を寄せたまま、うっすらと瞳を開けた番人に導かれるように、敦士は唇を重ねる。触れた唇からしっとりした番人の唇の柔らかさを感じたそのとき、舌がにゅっと差し込まれた。
自分に快感を与えようとする動きに合わせて、ねっとりと舌を絡ませた。すると番人の中にある敦士のモノをうまい具合に締めつけてきたため、ぞくぞくするような気持ちよさを直に感じた。
そのお蔭で、萎えていたモノがみるみるうちに張りつめていき、イキたくてたまらなくなる。
自身が感じている間に早くイかなくてはと考え、唇を外して激しく腰を動かした。肌と肌がぶつかる音と、擦り合わされる部分からの水音がだだっ広い空間で、やけに響いて耳に聞こえる。
「ん、ふ、あぁ……も、い、イくぅっ!」
興奮する材料が揃えられる中で、気持ちよさに顔を歪ませた敦士が思いっきり達した。人の躰ではじめてイった感覚は、自分のすべてが蕩けてしまいそうな気分だった。
快感に身を震わせながら組み敷いている番人を見ると、躰全体がボワッと青白く光輝いた。それは眩い光ではなく、とても淡くて儚い光だった。
「番人さま?」
「あ……っは…ぁ、んっ」
敦士がイったあとだというのに、番人は自ら腰を振り続ける。
さっきまでは目を閉じて、つらそうな表情をありありと浮かべていたのに、今は恍惚な表情を浮かべながら口を半ば開いた状態で、敦士を見つめていた。
「まだ……まだ足りない。もっとイってくれ。んぅっ!」
「ええっ! イったばかりで、すぐには無理かと……」
「じゃあっ、どうすれば、おまえは気持ちいいんだ? 教えて、くれよ」
プラチナブロンドの長い髪を乱しながら、訊ねられた言葉に導かれるように、目の前にある美麗な顔に向かって自分の顔を寄せる。
「まずはキスから。番人さまの唇は、とても気持ちがいいので」
敦士の言葉を聞き、番人は腰の動きを止めてふっと笑いかけた。
「そのあとは、どう、する?」
顔を寄せた敦士の首に両腕を絡ませるなり、小首をちょっとだけ傾げて意味ありげに瞳を細めた。番人の発する声や、ひとつひとつの仕草がどれも色っぽく感じるせいで、胸が苦しいくらいに高鳴る。
同性相手に妙な気持ちになっていることは、敦士としては異質な感覚だったが、夢の中でのことだからと無理やり納得させた。それよりも自分が頼りにされていることに、心をシフトチェンジさせる。
「それは、どうすれば番人さまは感じますか?」
「考えてみたら童貞のおまえに、男の抱き方がわかるわけがなかったか。しょうがない、手取り足取り教えてやるよ」
番人は首に回していた左手を移動させて、敦士の頬をすりりと撫でた。触れられた手の動きがくすぐったくて、首を竦めながら躰を縮こませてやり過ごす。
「おいおい、逃げるなよ。甘え上手で初心なおまえに、この俺が流されてやるんだ。もっと積極的になれ」
言いながら、番人は両足を敦士の腰に巻きつけて、中にあるモノをぎゅっと締めつけて刺激した。彼にいろいろ教わりながら、夢の中で何度も絶頂し、誰かと触れ合う行為に心地よさを感じながら、ふと目が覚めた。