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バーベキューも終わりに近づいていた。
さっきまでの騒がしさが嘘みたいに、少しずつ人が散っていく。
煙も薄れて、夜の空気が戻ってくる。
「……」
ジョン・ドウは、なんとなくその場に残っていた。
帰るタイミングが、分からない。
——いや。
(帰りたくない……かも)
そう思ってしまっている自分に気づく。
「……ジョン」
「っ!」
振り向く。
ジェーンが立っていた。
「片付け、手伝って」
「はい!!」
即答。
グリルの火は落とされ、辺りは静か。
さっきまでのカオスが嘘みたいだ。
二人で並んで、無言で片付ける。
金属の音だけが響く。
「……今日」
ジェーンがぽつり。
「はい」
「ちゃんとできてた」
「……ありがとうございます」
少し照れながら答える。
「最初はどうなるかと思ったけど」
「すみません……」
「別に責めてない」
短く否定。
少しだけ間。
「……楽しかった」
その一言。
胸に、じわっとくる。
「……俺もです」
自然に言葉が出る。
しばらく沈黙。
でも、嫌じゃない。
むしろ落ち着く。
「……ジョン」
「はい」
「なんで」
また、あの質問。
でも今度は少し違う。
「そこまで頑張れるの」
「……」
ジョンは少し考える。
でも。
もうごまかすのも、違う気がした。
「……ジェーンさんがいるから、です」
「……」
手が止まる。
「最初に会ったときから……」
少しずつ、言葉を選びながら。
「すごいなって思ってて」
「……」
「ちゃんとしてて、無駄なくて、かっこよくて」
言ってるうちに、止まらなくなる。
「もっと話したいって思ったし」
「……」
「一緒にいたいって思ったし」
そこで一瞬、言葉が詰まる。
(これ……もう……)
引き返せないライン。
でも。
「……好き、なんだと思います」
静かに、でもはっきり。
言ってしまった。
沈黙。
風の音だけ。
ジェーンは動かない。
表情も見えない。
(やばい……)
一気に不安が押し寄せる。
(言うつもりじゃなかったのに……)
「……ごめんなさい」
思わず出た言葉。
その瞬間。
「なんで謝るの」
ジェーンが静かに言う。
「え」
「別に、悪いことじゃない」
少しだけ顔を上げる。
ジェーンは、まっすぐ見ていた。
「……そういうの」
一瞬だけ、言葉を探すように間。
「慣れてないだけ」
「……」
「だから、すぐには返せない」
はっきりと。
ゆゆゆゆ
でも、拒絶ではない。
「……でも」
小さく続く。
「嫌じゃない」
その一言。
それだけで。
「……っ」
ジョンの肩の力が抜ける。
「……よかった……」
本音が漏れる。
ジェーンは少しだけ視線を逸らす。
「……あと」
「はい」
「逃げないで」
「え」
「ちゃんと、続けて」
——それは。
関係を、ってこと。
「……はい」
迷いなく頷く。
少し離れた場所。
「言ったな」
小声の
デュセッカー。
「言ったねぇ」
にやにやする
シェドレツキー。
「どうなると思う?」
「時間かかるが、成立する」
「だよねぇ」
満足げに頷く。
夜の静けさの中。
はっきりした答えはまだない。
でも。
確実に。
“終わり”じゃなくて、“続き”がある。
そんな距離に、二人は立っていた。