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松下一成
第2章 影の力
三メートルはある巨大な魔物。
肌は灰色。
筋肉は岩みたいに固そうだった。
宇海は固まる。
「……いや無理無理無理」
魔物が宇海を見つめる。
「グォォォ!!」
地面が揺れるほどの咆哮。
そして――
ドシン!!
宇海に向かって走ってきた。
「うわあああ!!」
宇海は後ろに下がる。
でも、足がもつれる。
「やばっ……!」
転びそうになったその瞬間。
影が動いた。
宇海の足元から黒い影の手が何本も伸びる。
ズドン!!
魔物の体を掴んだ。
「え……?」
宇海は驚く。
影の手は魔物を空中に持ち上げた。
魔物は暴れる。
「グォォ!!」
しかし――
動けない。
宇海の頭の中にまた声が響く。
《影魔法 Lv2 に上昇》
「え、勝手にレベル上がるの?」
宇海は戸惑う。
そして恐る恐る言った。
「えっと……その……」
「倒せ」
影の手が一斉に締め上げた。
ドゴォン!!
魔物は地面に叩きつけられる。
静寂。
宇海はしばらく動けなかった。
「……勝った?」
そのとき。
頭の中にまた声。
《巨大オーガを討伐》
《レベル5に上昇》
《新スキル獲得:影収納》
「ゲームみたいだ……」
宇海は空を見上げる。
異世界。
魔法。
レベル。
完全にゲームの世界だった。
「……帰れるのかな」
小さくつぶやく。
そのときだった。
森の奥から声が聞こえた。
「おーい!!」
宇海は振り向く。
そこには――
金髪の女騎士が立っていた。
剣を持ち、鎧を着ている。
その後ろには――
耳の長いエルフの少女。
二人は驚いた顔で宇海を見ていた。
「え……?」
女騎士が言う。
「今のオーガ……君が倒したの?」
宇海は焦る。
「い、いや、その……」
コミュ障発動。
言葉が出ない。
エルフの少女が小さく笑った。
「この人、すごく強そうだけど……」
「めちゃくちゃ陰キャっぽい」
宇海
「……」
図星だった。
こうして――
陰キャ少年 宇海の異世界生活は
少しずつ動き出す。
続く