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コメント
14件
好きです。 読者にここまで語彙力を落とさせたひいちゃんに拍手を……👏 供給をどうもありがとう……わたくしの口角がずっと喜んでますの😊 shaさんの理解力はもちろん、emさんの理解力もすんばらしい……小説の書き方も表現力も語彙力もすんばらしい……これは、マーーーーヴェラァァァァァァアス!!と全力で言うしか気が済まないわね()
久しぶりにひいさんの作品読んだけど文章力めちゃめちゃ上がってません!? 元から高かったけどもそれ以上に!! shoさんが黄色じゃなくて琥珀色だったり、emさんが茶色じゃなくて亜麻色だったり、そこの色表記すこです! emさんのガバって爆弾落としての下りとか想像できる程にemさん過ぎて…ww めっちゃ物語に感情移入できて、ほんと良い作品でした!!
強さの秘訣。
⚠ワンクッション⚠(必読)
この話は実況者様のお名前をお借りした2.5次元創作です。
以下の文を必ず読んでからお進み下さい。
苦情等は受け付けません。
○ナチュラル軍パロ
○全てが捏造。実在する人物・団体とは一切関係ありません
○腐向けのものでもございません。
○関西弁に違和感があるかもしれませんがご了承ください
○本人の目に留まる可能性かまある行為は全て禁止
○誤字・脱字があればご報告いただけると幸いです
○誹謗中傷の意は一切ありません
○コメントしてくださる際は必ず伏字をお願いします
○以上のことを承知した方のみ、お進み下さい
正午になる数刻前頃。
シャオロンは、W国の有能書記長ことトントンに書類を提出しようと彼の部屋へ向かっていた。
自室から執務室へ行くための廊下で、静かな空間に響いた。
「シャオロン様ってなんか、あれだよな」
「あれって?」
「なんか関わりづらくね?」
「あー確かに。なんかわかるかも」
「表裏なさすぎて逆に怖い」
「ぶっちゃけあの人と隊との合同訓練めっちゃ気まずい」
「わかる」
「てか、シャオロン様の受け持つ隊の人、また1人死んだらしいぜ」
最後の言葉が、反響した。
そんな声を彼は聞いた。
それをシャオロンは、真正面から受け止めてしまった。
いつもは笑って流すことを、真正面から。
正面から受け止めて、心につっかえた。
放たれた言の葉の矢は、彼の心に少しの傷をつけた。
なんて事もありながら、お目当てである書記長トントンのいる執務室に到着した。
コンコンコン、とノックをして部屋へ入ると、
眼鏡をかけていつもよりいっそう濃く隈をつくる書記長と、
背もたれに体を預け、天を仰ぐ総統が。
いつも通りすぎる光景に、思わずふっと笑みを零した。
「書類終わったでー!」
そう、元気いっぱいに報告をする。
「……期限過ぎてんだよなぁ」
書類を受け取りながらお小言をもらすトントン。
ええやんか少しくらい。大先生はもっと遅いで。
なんて心で悪態をつく。
そんな小言を言いながらもトントンは、
「うん、ミス少ないで。よう頑張ったやん」と、きちんと褒めてくれた。
その言葉に踊らされて、いつもなら調子に乗る彼だが、今日は少し違った。
「良かったわ」
頬をかいて照れくさそうに笑う彼。
嬉しそうな表情とは裏腹に、声にはなんだか覇気がなかった。
シャオロンの覇気のない声に違和感を抱いたか、それとも驚いたのか
トントンは不思議そうな顔をして書類から目を離し、彼を見やった。
「…なんかあった?」
と、数秒の間を置いて、一言。
心配の色が滲んだ表情を向けるトントンに彼は、全然平気!と返した。
いつもの彼に戻ったと感じたが、未だ心配は拭いきれないのか不思議そうな顔をしながらも、
さよか、と投げ返した。
___シャオロンが爆撃を受けた。
宣戦布告を受け、A国との戦争が幕を開けたのは7日ほど前。
W国は、少々不利に陥っていた。
酷く疲弊している。
如何せん、敵国の兵数が多すぎるのだ。
W国は、兵の量も多く質も高い。
一人一人が自分の強みを最大限に活かし、バランスがとれている。
けれど、A国は違った。
兵士一人一人の質は低かれど、数が多すぎる。
ただ目の前の敵に、群がっているだけだ。
そのためか、数多のW国の兵士たちの体力がじわじわと、確実に削られていた。
幹部という立場の者さえ、疲弊している。
そろそろ、情報部の藍色の男も後方支援で戦場に現れるだろう。
疲弊している。 それは、琥珀の男も同じで。
一瞬の判断を誤った。 指示を出すのが遅れてしまった。
コロン、と枯れた地面と雑草の上に楕円のものが落とされた。
1つではなく、十数個。
彼の受け持つ隊の兵と対戦していた敵兵がほぼ一斉に、
手榴弾をこちらに投げた。
大量の爆弾を身につけ持った自爆兵も。
何かが落ちただけならばよかった。
目の前から、死角から人が現れた。
それを見て、琥珀の男は反射で声を張り上げた。
戦場に声を響かせた。
「自爆兵や!!早く逃げろ!!!」
そんな声も虚しく掻き消される。
張り上げた声は、連鎖して響く爆発音で聞こえなくなり、
彼らに向かってきた敵兵から、落とされた手榴弾からどれだけ離れても、
厚い壁や防げるものがない限り、爆風がとんでくる。
爆発の熱風に混ざって、土埃や小石がその場の者たちに飛んでくる訳で。
咄嗟に腕で防御し身を守る。
急所辺りに怪我がないように。
閉じかかった視界の隅に、数人の人間が見えた。
それは、紛れもない、自国の兵たち。
自分の隊の兵士で、部下で。
咄嗟に走り出したくても風に押され、それを許されることはなかった。
もう誰も、死なせたくないのに。
色褪せぬ後悔を抱いて、体を強く熱風に押される。
もはや今の彼になせる術などなかった。
遠い遠い森に弾き飛ばされ大木に体を打ちつけられた。
背中に激しい痛みが走る。
これほどの攻撃を受け、無傷でいられるはずなどなく。
彼の胸部の骨が何本も折れて呼吸もままならなければ、
体の様々なところに火傷を負った。
腕も足も腹も大火傷で皮膚がただれている。
ドロドロとした血液のようなものは、火傷以外にも無数の傷からも。
頭からはダラダラと血が流れでていた。
脳が揺れ、今にも消えかかりそうな視界の中、そんな自分の体を見た。
気持ちの悪さが込み上げる。
それを薙ぐように、耳に付けた機械から天の声が聞こえた。
熱風を吸い込んだせいで、喉が焼けた。
加えて、折れた腕は動かせないため薄らと聞こえる声に応答すらできない。
そんな彼は為す術なく、暗闇へ身を沈めた。
__ガサッ。
これはいったい、いつの記憶なのだろうか___
かつて、守りたい人がいた。
自分を守ってくれて大切にしてくれた両親。
食事時にはたくさん話し沢山食べ、日中には両親や友人と遊ぶ。
そんな、充実した日々。
軍隊なんかとは無縁の日常。
ずっと一緒だと、ずっとこんな日が続くと、そう思って疑わなかった。
それなのに、現実とはあまりにも無情なもので。
幸せは長く、続かなかった。
A国軍が、琥珀の少年らの住むS国へ攻め込んできた。
それはとても唐突に、宣戦布告も何もなく。
酷く、卑怯だと感じた。
彼らは逃げた。
幼い少年は父に抱えられ、母も一緒に遠くまで走った。
走って、走って、走って走って。
──生々しい音が響いた。
ビチャッ…と、水っぽい何かが地面に飛び散る音。
辺りから何度も、その音を聞いた。
やがて母は倒れた。
父も少年を庇うように、隠すように覆いかぶさった。
時折、父から苦しそうな声が聞こえた。
幼い少年は、訳が分からなかった。
頭の中は、なんで、どうして、なんでと覚束ない。
けれど、一つだけは理解することができた。
否、理解したくなくても理解してしまったのだ。
大切な人が、死んだ。
それも、生涯で一番身近にいるであろう家族を。
時間が経つにつれ、父の声が鼓膜を震わすこともなくなって、
少年を庇うそれは、温もりなんざなくなって金属のように冷たくなった。
大好きな父は、今や力なく胸を上下させず、口から血を垂らすのみだった。
少年のいる地面には、真っ赤な血が流れているだろう。
自分を覆い被さる重いそれを退かし、見つめる。
少年は放心していた。
途端、強い風が吹き体が飛ばされた。
少年が見つめていたそれら諸共、遠くへ遠くへ飛ばされた。
飛ばされたその先で、強く背中を打ち付けた。
脳が揺れ、ものが何重にも見える視界の中、
皮膚がただれ、真っ赤なベトベトしたものだけが、鮮明にはっきりと見えた。
それに気持ち悪くなり、少年は思わず胃の中のものを吐き出した。
両親と食べたであろう最後の食事を惜しみもせず。
否、惜しむ暇などなかったが。
あたりは吐瀉物と、肉塊とそれから流れる赤黒い血と、少年の頭から伝う真っ赤な血。
少年は酷く疲弊した。
やがて、意識を飛ばした。
まるで、酷く悲しい現実から目を背けるように。
__ああ、幼き日に見せつけられた現実だ。
琥珀の彼が目を覚ましたのは、先程見た荒々しい戦場とは違う、
真っ白なほとんど何も無い部屋。
真っ白なカーテンに囲われていた。
体を動かすことは叶わず、首すらも左右に回すのに一苦労だった。
酸素を求め、口から大きく息を吸うと、
薬品の匂いがすると同時に喉に違和感を覚えせき込んだ。
と同時に、体を駆け巡る酷い痛み。
酸欠で頭を調節殴られているかのような痛み。
いたい、くるしい。
慌てた様子で駆け寄ってきた、藍白色の和服と白衣を着た雑面をつける軍医の彼。
彼は琥珀色を落ち着かせ、酸素マスクを再度取りつけた。
琥珀色は酸素不足かは分からないが、眠気が酷くとても疲れた様子だ。
「おはよう、シャオロン」
そう話しかける彼。
うつらうつらとする琥珀色は、藍白色をぼんやりと捉えた。
「戦争は終わったよ、俺たちの勝利で」
その言葉は琥珀色を安心させるには十分のものだった。
言葉では言い表し難いほど、頬を緩めた。
藍白色の彼は続けて言葉を連ねる。
「エミさんが見つけてなかったら、死んでたで」
感謝しんとな、と。
仮にも軍医である彼が、患者に言っていい言葉なのか。
苦笑いをした。
気ほどの言葉を頭で反復し、ふと疑問が生まれた。
何故、非戦闘員の彼が自分を見つけたのか。
非戦闘員なのだ。戦場には出てこないはずなのに。
ならば尚更、なぜ?と疑問が強くなる。
「たまたまなんやって。森の方から爆弾で援護しようと歩いてたら、爆発音がして歩いてる先でシャオロンを見つけたらしいよ」
藍白色の彼は、琥珀色の「なぜ、エーミールが?」という疑問を、
心を読んだかのように答えてくれた。
ああ、そうなのか、と琥珀はただ朧気な思考を懸命に巡らせ納得した。
思考がはっきりとしていたら、信じ難い理由ではあるが、事実なので仕方がないだろう。
声が出せない以前に、声帯を震わす気力すらない琥珀色は、
あとで感謝を伝えよう、そう決意し微睡みへ船を漕いだ。
A国との戦が幕を上げてから七日。
W国の戦力は、今までないと言っても過言では無いほど削られていた。
前線で戦っている幹部らによると、質は低かれど数が多すぎるとのこと。
非戦闘員で、戦略や侵攻方法を考える彼には、出る幕がなかった。
こう言うのもなんだが、書類と戦況確認以外できることがなかった。
戦況確認は、夜の時間帯に一部の兵から戦況を聞くだけ。
そんなエーミールだが、書類と戦況確認以外にも、爆弾作りをしていた。
昔に作っていた広範囲、高威力の爆弾を大量に。
あまり大きなものでもないため、量産も向いている。
少しでも、戦力になりたい、全然の彼らに休む間をあげたいが故だった。
最高権力者である総統グルッペンに、エーミールは話を持ちかけた。
「自分も戦場に出させてくれ」
という旨の話を。
高威力の爆弾をぶち込んで戦況をひっくり返したい、と理由も付け加えれば、
荒々しいことが大好きな五歳児な総統が、
ダメだなんて言うはずなく、トントン拍子で話は進んだ。
大量の爆弾を抱え、護衛に兵をひとり連れて戦場あたりの森へ向かった。
執務室を出る前、グルッペンからは『死ぬな』とだけ。
何だかんだで生命力が強い彼、そう簡単に死ぬはずなどないのだが。
秘密のミッションに少しのポンはご愛嬌。
おそらく、確証は無いがエーミールなら多からずW国を有利にさせる。
加えて、エーミールは不名誉ながら影が薄いのだ。
そう易々とは見つからないはずである。
ちょっくら爆弾をお見舞いするだけ。
なんとも簡単で楽で、愉快なことだろう。
一般兵と共に、バイクで森に入り少し山のようになったところの穴にバイクを隠して停める。
ヒソヒソと、標高の低い山を道なりに登った。
戦場は、この場から徒歩では少し遠い。
だが、高台から爆弾を投げれば、こちらに被害は及ばず敵兵を殺せるはずだ。
____と、思っていたのも束の間。
彼が手にした爆弾の導火線に火をつけようとした時、
とんでもない爆発音が聞こえた。
一度響けば連鎖するように、何度も何度も。
大きな爆発音が、鼓膜を揺らした。
一般兵と顔を見合せ、何事かと思いインカムの電源をつけると、
天の声を持つ紅梅色の彼が珍しく焦って声を荒らげていた。
「シャオロン、大丈夫かシャオロン」と。
紅梅色の男だけでなく、若竹色と勿忘草色の男も。
かなりの非常事態の様子だ。
自分たちに今は関係ないと切り捨て、今度こそ導火線に火をつけた。
生憎、エーミールには腕力がないため遠くまで投げられない。
共に連れてきた一般兵に爆弾を渡し、エーミールは黙々と着火した。
けれども、先程のことが気になり思考に耽っていると、
手からコロリと、爆弾を落としてしまった。
最悪なことに、落とした方向は斜面でかなり下の方まで取りに行かなければならない。
またいつものミスか、と肩を落とした。
爆弾を投げ込むのは一般兵に任せ、エーミールは爆弾を探しに行った。
地面に転がる爆弾を拾い上げる。
知らぬ間に誤爆されては、自分たちの命が危うい。
ひとまず、爆弾が拾えてよかったと安心した途端、
ゆらりと、鉄臭い臭いがした。
まさかと思い、インカムをつけ臭いがする方向へ急ぎ足へ向かう。
インカムの向こうでは、
紅梅色の男が 「手の空いてる何人かはB地点でシャオロンを捜索をしてくれ」と。
どうやらまだ見つかっていない。
エーミールの予想と勘が正しければ、この先に琥珀色の彼がいるかもしれない。
そんな確証のない目処は、エーミールの歩みを早くした。
走って、走って。
少し開けた場所で、上がる呼吸を整える。
前後左右を見渡すと、血溜まりが見えた。
__いた。
大木に持たれるように座っている。
太陽のような笑顔を持った、琥珀色の彼が、シャオロンが。
ボロボロの姿で、そこにいた。
彼の体は、至る所に擦り傷や、赤黒く変色した肌。
本来長袖だった彼の服は、ダラりと溶けてしまっている。
頭からは血がとめどなく流れて、 血を吐いて気絶をしていた。
直視し難いその光景に、エーミールは顔を顰めた。
仲間のこんな姿を見ても平常心でいられるほど、薄情ではない。
怪我が少ない首元から脈を図る。
トク……トク……と弱い心音が手に伝わった。
彼の心音とは裏腹に、うるさくなり続ける自分の心臓。
爆弾を側に置いて、胸を抑える。
落ち着け、落ち着け、と自分に言い聞かせて。
インカムのマイクをつけ、放った。
「あーあー、こちらエーミール。B地点から少し外れた森の近くでシャオロンさんを発見。脈は確認できますが、両腕、腹から足にかけての火傷、擦り傷、打撲、頭部からの出血と、おそらく骨折、意識不明の重症です。繰り返します───」
こんな所で、冷静さを欠いてはいけない。
早く彼を助けなければ。
医療班の誰か……、否、これほどの傷は医療班のものでは無理だ。
どれだけ功績を積んでいても、最適な処置ができそうにない。
神の手を持つとされる軍医、しんぺい神が治療しなければ、
後に後遺症が残ってしまうかもしれない。
数秒の間に考え、結論を出す。
「しんぺい神さんは早急に、こちらまでお願いします。位置情報を送るのでロボロさんはナビをお願いします」
そう機械越しに話しかけると、
「「了解」」
短くも頼りがいのある、二つの返事。
連れてきた一般兵には申し訳ないが、しばらくここで軍医の彼を待つとしよう。
A国との戦争に勝利し戦いの幕が閉じた。
戦場にいた皆が休み、一部は後処理におわれている中、
後者の一人である亜麻色の彼、エーミールは事ある毎(食事、書類提出etc)に医務室に通っていた。
戦争が終わって、4週間と少しが経っても尚、目覚めることはなかった。
あの日からずっと、眠り続けている。
全身を包帯でぐるぐる巻きにされた、痛々しい姿で。
ある日、書類に一段落が着いたため、医務室で眠る彼に会いに行く。
彼はまだ、目を覚まさないのだろうか。
医務室の扉を開けると、しんぺい神が立っていた。
「お、エミさん。お疲れ様」
「お疲れ様です。シャオロンさん、目覚ましましたか?」
そう問いかけると、彼は微笑んだ。
「また眠っちゃったけど、目は覚ましたよ」
その言葉を聞いたエーミールは、どれほど安心したことか。
あの日、冷静に状況を伝えたけれど、心の中では大焦りだった。
しんぺい神たちが、シャオロンとエーミールの所へ到着した時、
エーミールは焦りすぎて、最早そこにいるだけだった。
懐に入れた人間には、とことん甘い。
それはそれは、甘ったるすぎるほど。
この軍の者たちは、表に出さないだけで皆がそう。
それが当たり前でだった。
もちろん、亜麻色の男エーミールも例外ではない。
亜麻色の彼は基本的に、一度仲が良くなった人間には甘く、
怒りの沸点が全く分からないほど、優しすぎる男であった。(※だがモテない)
そんな彼の優しさにも、裏があるのかもしれないけれど。
話を戻し、琥珀色の彼が目を覚ました、という事実だけでも嬉しい限りだろう。
それは良かったです、と満面の笑みと共に告げた。
また眠ってしまったのであれば、彼と話ができそうな時にまた会いに来るとしようか。
琥珀の彼が目覚めてから、基地内は大騒ぎだった。
いろんな人間が、心の底から喜んだ。
琥珀色の彼が目覚めた翌日、亜麻色の彼は、
琥珀の眠っている隣の椅子に座って本を嗜んでいた。
視界の端に、琥珀色が見えた。
目を覚ましたのだろうか。
ウトウトとしている彼の瞳は、ぼんやりと天井を見ていた。
「おはようございます、シャオロンさん」
亜麻色の男の声に気がついたのか、彼は首を声の元へ向けた。
すると、彼は微笑んだ。
けれど、その微笑みは歪なもので、
少しの寂しさともう一つの何らかの感情が笑顔の裏に潜んでいる気がした。
「水、飲みますか?」
彼は小さく頷く。
水を入れたコップとスプーンを持って彼の隣へ戻る。
少しずつ少しずつ、スプーンで水を運び彼に水を飲ませた。
焼けていた喉は調子が戻って、水を飲んだことで喉の乾きが緩和したのか、
ありがと、と声をこぼした。
「こういう時は、お互い様ですよ」
ふわりと微笑む。
いつもなら、何かしら煽りが入っているだろうか。
毒気の抜けた彼に少し、珍しさを感じた。
否、たまに見える優しさが今は全面に出てきているのだろうか。
それからもう少し、水を嚥下させてから、
もういらない、と言われ水を運ぶのをやめた。
少しの沈黙が流れると、その沈黙を破ったのは紛れもない、
琥珀色の彼、シャオロンだった。
「エミさんはさ、つよさってなんやとおもう」
と。
いつもの彼なら、このようなことを人に聞くことはしないだろう。
不意をつかれた、とでも言うべきか。
珍しいですね、なんて返す必要はない。
彼からの問いの答えを返そう。
しばらく考え、思考をまとめてから声を発した。
「割り切ること、とかじゃないでしょうか。もちろん、物理的な強さも必要だと思いますけど、一番は心だと思いますよ。ほら、コネシマさんとかロボロさんみたいな」
「その二人みたいやったら、心無くなってまうで」
笑いながら、彼は言う。
そんな彼にまた、亜麻色の男は続ける。
「案外、あのお二人みたいな考えが、1番いいのかもしれませんね。何か一つの物に執着しなかったり、過去のことは切り捨てたり。受け流す力って言うんでしょうか」
と。
すると、琥珀色の男は何とも言えない表情を浮かべた。
複雑そうな感じの表情を。
少しの間を置き、彼が言う。
「そういうもんかな」
珍しく弱気な彼に、少し張っていた緊張の糸がほぐれる。
「そういうもんですよ、知らんけど」
「なんや、知らへんのか」
ふっ、と笑いを零して彼は続けた。
「そういうもんかぁ………」
そう声を零し、真っ直ぐに天井を見つめる。
その瞳はどこか寂しそうで、怯えているようで。
でも、自信と決意を持っている気がした。
まるで、憑き物が取れたかのような。
どこか、儚い雰囲気を纏っていた。
「…エーミールのくせに」
「なんで!?」
ははっ、と笑ってから彼はそう吐き捨てた。
いたずらっ子のような笑顔は、彼の本質か柔らかい笑顔に。
やはり、彼は彼だ。
紛れもない、W国のシャオロンだ。
先ほどの言葉だって、彼らしい。
だけれど、一言余計ではないだろうか。
まあ、それには目を瞑ってやろう。
どんなことがあっても、彼なのだから。
〖完〗