「もー!つーくんったらぁ!笑」
🌟「あ、あぁ、」
中学校での中庭。確か中学2年生の頃だったか。オレはなぜか高校2年生の女子高生に付きまとわれていた。
🌟「す、すみません。だれ、ですか。」
「えぇ!やめてよ〜!覚えてないの〜?ハンカチ拾ってくれたじゃんかぁ!」
道端に落ちているハンカチを拾い届けたのがきっかけに過ぎなかった。それを彼女は勘違いし、オレを彼氏だと思い込んでいるらしい。…馬鹿な話だ。
「神城瑠奈!忘れたとか言わないでよ〜!あなたの彼女〜!♡」
鬱陶しくて仕方なかった。承諾も得なければ面識も話したことすらない。
🌟「ボク、教室戻ります」
「ええ〜なんでよ〜。もっとお話しよ?」
気味が悪い。後日聞いた話によれば彼女は障害持ちだったらしい。今のご時世、障害のせいにするのは悪いが、したくなる理由も分からなくなかった。
🌟「ついてこないでくださいッッ!!」
「えぇ、もーう!ツンデレなんだから〜」
何度も何度も付きまとわれ、流石に引くレベルだった。時間が経てばなんとかなると思っていたが、そうはいかなかったのだ。
むしろ、酷くなっている。
「ほらほら、つーくん。どっかいこうよ」
🌟「家に帰らせてくださいッッ!!」
「じゃあ一緒に帰ろ!」
どこに住んでいるのかも、そもそもどこの高校かさえも分からない。
🌟「帰りますからッッ!!!」
「うん!一緒におうちに帰ろ〜」
何度言っても聞きやしない。そもそも、聞こえてるのかすら怪しい。
🌟「ッッッッッッッッッッ!!」
最終的には無理やり全速力で逃げるように走った。後ろから追いかけてきている気がしたが、逃げるのに必死で。
家に着く頃にはどこかに消えていた。
家までは別ルートや遠回りをし、バレないように最新の注意を払った。それでもエスカレートしている。
「なぁ、天馬。お前の下駄箱から変な臭いするぞ、」
🌟「へ?」
突然見知らぬクラスメイトから話しかけられた。仲がいいわけでも話したこともあまりない。
🌟「ありがとう。み、見てくるね、」
人と関わるのがあまり得意では無かったので初めて会話する人とは上手くいかない。たじたじになりながらも、下駄箱へと急ぐ。
🌟「ッッッッッッッッッッッッ、」
下駄箱につくなり、異臭がする。凄まじい臭いで生ゴミか腐った何かの臭いがする。周りは集まりヒソヒソと話していた。
何故か注目されている。
「あいつの下駄箱だろ笑」
「うわ、きたきた」
注目されるのが嫌いだ。はっきり言うと。視線が痛くて仕方なくて。半ば無理やり開けた。
🌟「は、へ、ッッッッッッッッッッッッ!?」
「ひっっっ、」
「きゃああああああああああ!!」
ボトボトと何かが落ちる、。悲鳴が聞こえ、オレも気絶寸前だった。
🌟「………………む、……し、」
言葉も出なかった。虫の頭が切断されていたり、潰されていたり。それもぎゅうぎゅうに入っていた。
大量の虫の中には1つの置き手紙。
『喜んでくれた?ちょっとしたプレゼント』
🌟「………………ぁ、………あ、」
声すら出ずに胃酸が込み上げてきて。あまりの光景に気が動転する。
このことがあり、オレは未だに虫が嫌いだ。
🌟「やめて、くれませんか。正直言うと迷惑です。」
勇気をだして発したのに震える。夜の帰り道、響く足音と声。
瑠奈さんは段々止まらなくなっており、酷くなっていった。エスカレートしている。2ヶ月経ってようやく勇気を振り絞ったのだ。
「どうして?」
毎回のように付きまとわれ、ストーカーされ。下駄箱の中の次は机の中だった。荒らされ、虫だらけ。…頼むからやめてほしい。その一心だった。
🌟「……ボクたち付き合ってもないし、親しくもないですよね、。しかも、大量の虫。嫌がらせとしか考えられません、。」
「……」
🌟「人違いだろうと流石に迷惑です。気味が悪くって。」
言葉は選んだつもりだ。自分なりの考えで…、。
「…どうして分かってくれないの」
🌟「…え?」
「ねぇ、私の事なんだと思ってるの??」
🌟「赤の他人、ですか?」
「違うでしょッッッッッッッッ!!」
手首を掴まれ、思いっきり引っ張られよろける。抵抗できずにされるがままだった。
「私、こんなにも貴方のこと愛してるのにッッッッ!!」
🌟「し、知らないですよ!人違いです!」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い
はっきり言うと恐怖で呑み込まれていた。何をしでかすか分からない、この状況。
「いーわ。私が分からせてあげる」
されるがまま、気づけば細い裏路地にいた。この人は何を考えてるか分からない。考えるのすら怖くって。
「つーくんはさ、痛いのと気持ちいいのどっちが良い〜?♡」
🌟「は、?」
「え〜、うんうん。痛いのにしよっか♡」
路地裏の壁に叩きつけられ、手首を掴まれる。
「大丈夫!どんな、つーくんでも愛すよ♡」
ポケットからキラリと光る、何かが出てくる。……ほう、ちょう、??
「殺したりなんかしないから♡」
🌟「いや………やだ……ッッッッ、」
「あぁ、可愛い。」
包丁が段々と手首に近づいてくる。
嫌だッッッッッッッッ、やめてッッッッッッッッ
「痛みは一瞬だよ?脈は避けるからさ、」
🌟「や……、や、だッッッッッッ」
「せーのっ♡♡♡♡♡♡」
🌟「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッッッ!!」
容赦なく手首に刃物が突き刺さってきた。貫通してる、。骨が当たって、
「まだまだ〜、これからだよ、??♡♡」
叫ぶことしか出来ない。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
まだ、?これがずっと、?
「分かってくれるまで永遠に♡♡」
終わりが見えずに気が、…..遠くなる、。
🌟「……ぁ、…………ぁ、」
「わー、結構派手にやっちゃったね笑」
手首の感覚が全くない。痛みを段々感じなくなってきて。膝から崩れ落ちる。
「あれ、大丈夫?」
返事すらできない。絶望。この言葉が相応しい。歯がガタガタと震える。
「うーん、」
もう、げんかい、だ
「よしっ!次は」
🌟「………は、、、?」
「その綺麗な、」
次?まだ、まだあるのか、?
「トパーズの瞳がほしいな♡♡」
聞いた瞬間、血の気が引いた。顔が青ざめていく。こいつは、いま、なんていった、?
「すごく綺麗だよね、つーくんの瞳。ずっと欲しかったんだ。ね、くれるよね?」
🌟「………や、…………」
「え、どうして?私の彼氏ならなんでも聞いてくれるでしょ?♡♡」
目元まで包丁が迫ってくる。背筋が凍り、震えが止まらない。……こいつは本気、だ。
「ねぇ、はやく。つーくんのとったら交換で私のあげるからさ、」
🌟「ッッッッ………や………ッッ、……だッッ」
「は?」
呼吸が荒くなって、。この後の痛みを考えると恐ろしすぎて。考えたくもなかった。
「逃げないで」
左手で首をもたれる。逃げ場が…、
「痛みは一瞬だから安心して。これで1つになれるねッッ♡♡♡♡♡」
刃先が目まで近づいてくる。
あぁ、さいていげんのいたみはちいさくしてほしいな、。 視界が潤んで何も見えな……、
ガタンッッッッ!!!
突然近くでけたたましい音が響く。
「え?」
🌟「はぁッッッッッッッッッッ、はぁッッッッッッッッッッ」
刃先までは残り数ミリ。首元が緩む。いま、だ、。
「い”ッッッッッッッッッッ」
オレはこいつの腹あたりを思いっきり蹴り、無我夢中で走り出した。遠くへ、遠くへッッ。
「まってッッッッッッ!逃がさないからッッッッッッ!」
途中で転けそうになりながらも、人混みの方へ走っていった。
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つ、!!司!!