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私の呼び掛けに絢斗君の指先の動きが止まる。
はぁと大きく深呼吸して、快感を逃すように喋る。
「ね、絢斗君も一緒に気持ちよくなろう……? 一緒がいい」
絢斗君の情欲に潤んだ瞳が刹那、迷いを見せ。
両手で私の頬を柔らかく包み込んだ。
「俺はもっと、真白を可愛いがりたいんだけどな」
そのまま額にキスをされる。激しいキスも素敵だけど、こんな柔らかなキスもキュンとする。
こんなにも可愛いがられちゃうと、体がもたない。
「──分かった。じゃあ、真白……少し腰を浮かしてくれ」
言葉通りに少し腰を浮かすと。
絢斗君は自らスウェットとボクサータイプの下着を下にずらした。
そこにはお臍の下あたりまで立ち昇った、逞しい剛直が反り返っていた。
男の人のアレなんか見たことなくて、目を見張ってしまう。
私の片手では包みきれないサイズ。
しかも雄槍はぴくぴくと筋走り。先端の鈴口からつつっと、溢れる雫がとても生々しくて。綺麗な顔をした絢斗君に似つかわしくないと、思ってしまうほど。
近い将来。この逞しいものをちゃんと、受け入れることが出来るのかと、懐疑的に思ってしまった。
「絢斗君の……私、ちゃんと入るのかな」
思わず呟いてしまうと。
「その為にも今から慣らす。慣れて貰う。今から俺のが真白の中に入るって想像してくれ」
──こんな感じに、と言われると。
ぬちゃりと、私の秘所に絢斗君の剛直を擦り付けられた。熱い体温と堅牢な硬さに、びくりと大きく体を震わす。
「真白、俺にしがみついて」
「う、うん……っ」
絢斗君の背中に手を回すと、秘所にあてがわれた剛直がぬるぬると上下に動きだした。
「あ……っ、んっ、ぬるぬるしてっ、変な気分になる」
「俺もだよ。中に入れてないのに、こんなに濡れていて興奮する」
蜜口が絢斗君を受け入れたいと、剛直を誘うように蜜を溢れさす。
しかし、剛直は中には入らず。ぐちゅぐちゅと潤んだ縦スジを荒々しく犯して、蜜口からの蜜をぬるりと纏う。
いやらしくて、淫らで、どうしようもなく雄々しい。
そのたびに雄々しい傘張りが、花芯をくにゅっと引っ掛けたかと思うと。熱い雄槍の先端が荒々しく花芯を潰す。
「絢斗くんっ、あっ……あんまりっ、いじめないで」
「俺に虐められるのは、いや?」
ほら。こんなふうにと、花芯を肉棒でずちゅずちゅと擦られて。腰が快感で溶けるようだった。
お互いの恥部を淫らに擦り合わせている。
こんなのもう、セックスに何ら違いはないと感じた。
「あ、ぁあ……ッ、い、嫌じゃない。絢斗君に虐められるの、だいすきっ……」
だから、もっと虐めてと。自分から腰を絢斗君の逞しい雄槍に擦り付けた。
「可愛い過ぎだと、言っているのに……っ! 俺をあまり困らせないでくれ」
お腹の奥はキュンキュンして、目の前の雄々しい雄槍を受け入れたがっているのは分かっていた。
しかし、体が浅ましくも外側に受けている花芯への刺激がもっと欲しいと、目の前の刺激から抜け出せなくて。頭がおかしくなりそうだった。
一度イきたい。
絢斗君と一緒にイきたい。
それしか考えられなくて、必死に絢斗君をギュッと抱き締める。
「絢斗君、好きっ。一緒に、イきたい」
「真白しかいらない。愛してる」
直後。腰を掴まれて上下にリズミカルに揺さぶられた。
「あ、んっ!」
「っ、はぁ、気持ちいい」
私達の興奮に反応するように、私と絢斗君の愛液が混ざりあい。恥部同士が擦り上げられ、じゅぶじゅぶと淫らな音を奏でる。
絢斗君が荒い呼吸をしながら、ぎゅっと強く抱きしめてきたかと思うと。
さらに私の昂りを引きずり出すように、顔を私の胸に埋め、激しく乳首にむしゃぶりついた。
肌から珠の汗が流れる。
気持ち良すぎて体ごと蕩けるかと思った。
頭がふわふわしてきた。
「はっ、んっ、あ、絢斗君。いく、もうダメ……っ!」
「俺もだ……っ」
絢斗君は乳首から唇外し。胸元に強く吸い付きながら、一際大きく腰を動かした。
ゾリっと私の中心を削ぐような、強い快感で目の前がふわっと白く広がる。
目眩にも似た感覚。
下半身に力が入らなくて、はしたなくもぷしゅっと秘所から愛液が漏れるのと。
私のお腹あたりに剛直の先からどくりと、熱い液体が放たれた感触は同時で。
絢斗君と一緒に果てたのだった──。
※※※
絢斗君と濃密な時間を過ごして。体にその感触を残しながらも 翌日、いつものように出勤した。
いつものようにお花の水揚げをしていると。久々に常連のお客様。喫茶店のママさんが来店した。
ママさんの来店はちょっと日が空いて、二ヶ月ぐらいな気がした。
私も絢斗君と半同棲を始めてそれぐらいかなと、ふと思ってしまった。
ママさんと世間話をしつつ。
前回とは違う、クールじゃないイメージのリクエストを受けてブーケを作る。
今日の花材はモーブピンクの手毬みたいなシャクヤクがメイン。
それを中心に周りには、パステルカラーのピンクとパープルのスィートーピーを添えて。
丸く愛らしいシャクヤクの花のボリュームを引き立てて見た。
出来上がりを見せると。
「まぁまぁ。今日のはとっても可愛いわね。春爛漫と言うか。恋する乙女みたいな。いい人でも出来たのかしら?」
ママさんに、にやっと笑われてしまった。
「恋する乙女に、いい人ですか」
恋する乙女はさておき。いい人と言われ思い出すのは絢斗君で。頬が熱くなる。絢斗君がいい人なのは間違いないけど、ママさんに報告するのはちょっと違うと思い。
「可愛すぎました?」
やんわりと聞かれた内容をそらし、そろりとママさんを見る。
「いーえ。前のとメリハリあって、これぐらい可愛い方がお店で目立つから、ばっちりよ。いつもありがとうね」
ニコニコと笑ってくれてホッとしながら、ブーケを包み。お会計も済ませる。
次もまたよろしくね、と言ってくれたママさんの背中を見送ってからお店に戻ろうとすると、店の前を掃き掃除していた後輩に声を掛けられた。
少し前に入ってきたアルバイトの女の子で明るくて、小動物みたいなクリクリとした瞳が、可愛いらしい女子大生の子だった。
「真白先輩お疲れ様です。さっきのブーケちらっと見ましたけど、先輩にしては甘いティストで可愛かったですね。何かコンペ用の練習とかですか?」
「お疲れ様。掃き掃除ありがとう。あれはコンペに向けてとかじゃなくて、前に作ったブーケと差別化したら、あんな感じになっただけよ」
「へぇ。それでピンク盛り盛りになったんですねぇ。って。うふふ。私わかっているんですからっ」
ニヤリと笑う後輩に、これは何かあると思っていると。
「ズバリ、先輩。彼氏が出来たからでしょっ! 私見たんですからっ」
彼氏と言う言葉にドキリとした。
ママさんも皆、鋭すぎるのか。私が分かりやすいのか。
一瞬、考えてしまい。言葉に詰まっていると怒涛のガールズトークが始まってしまった。
「先輩、時たま黒いバカ高そうな車で送迎されてますよねっ! しかもそれを運転しているのが眼鏡を掛けた、スーツがやたらと似合う超イケメンで! 私、バッチリ目撃しちゃったんですからっ。アレンジメントデザインがその時の彼氏とか環境で、変わるのはデザインあるあるですもんね」
「そ、そんなことは」
「なーに言ってるんですか。最近、先輩の肌艶凄いいいし。それに今まで休憩室でアレンジメントの雑誌ばっかり見ていたのに、急に『デートお出掛け大特集』とかの雑誌を嬉しそうに見ているじゃないですかっ」
こそっと見ていたのにバレていた。
グイグイ来る後輩ちゃんに誤魔化し笑いをする。
「えっーと、恥ずかしいな。別に隠している訳じゃないんだけど」
「バレバレですっ。色んな男性客に言い寄られていても、全く気が付かない難攻不落・不沈艦の真白先輩を攻略した人って、超気になりますよーっ!」
それがあんなイケメンとか、なんかエローい。きゃーっと、はしゃぐ後輩ちゃん。
目をキラキラさせてパタパタと手を動かす様子は可愛い。
けど、不沈艦と言う言葉に首を傾げたくなる。
(そんな風に思われていたのもびっくりだけど。本当に言い寄られていたのかなぁ。優しいお客様が多いとは思っていたぐらいで。絢斗君ぐらいグイグイ来る人なんて居なかったし)
つい絢斗君のことを、ぽわんと思い出してしまう。
少し前に絢斗君と一線は超えなかったものの。手首に柔らかい戒めを受けたりして、濃密な二人の時間を過ごした。
あれが切っ掛けで一緒にお風呂に入るようになったり。一緒のベッドに寝るようになったり。
絢斗君との接触は増えた。
すぐにエッチとかじゃなくてもいい。私達は私達のペースがある。ゆっくりと確実に絆を深めて行ってる自信もある。
それにデートもちゃんとしている。
先日は水族館に行ったし。その前には植物公園でお弁当を持って、のんびりと過ごした。
次の一緒の休みには、ドライブに行こうと約束している。
こんなにも順風満帆だったら肌の色艶も良くなるよねと、我ながら思ってしまったのだった。
それに再開した実家の華道教室に、ご新規様が増えて母もおばあちゃんも活き活きしていた。
そして──あの裏金問題。
沼知議員を始め。九鬼氏など裏金問題に関わっていた関係者はほぼ、書類送検がされた。
今は起訴・不起訴の処分を待っている段階で、相変わらずマスメディアを騒がしていた。
地元でも多くの人がホッとしたとか。今まで高級車を乗り回していたのに、姿を見なくなったとか。そんな話もポツポツと耳に入ってきていた。
その事も含めて母の少額控訴については素人ながらも、近日にはこのまま何事もなく審理が終わると思った。
それに母は松井さんへの協力の話も乗り気で、快諾してくれていた。
何も心配することもなく。
とても心穏やかな日々。
強いて問題を無理矢理あげるなら。
華道教室のお手伝いで最近ちょっと、実家に身を寄せていて。ここ数日は絢斗君に会っていなかった。
そろそろ頃合い的にも学生時代のことを打ち明けるには、丁度良いタイミングかと思っていたけど。中々良いタイミングを掴み切れず。
一人でそわそわした態度を取って、絢斗君に心配されてしまっていた。
切っ掛けとしては、次のドライブデートがベターかなと考えていると。
「先輩どこで知り合ったんですかぁ。あんなレアなイケメン。私にも紹介して下さいよぅー!」
ゆさゆさと腕を引っ張られて、はっとした。
「わっ。えっと。それよりも。ほら、お昼休憩まだだったよね? あとは私がやっておくから、行ってきたらどうかな?」
そう言うと「はっ。確かにお昼まだだった!」と、休憩と言う言葉に意識を取られたようで「じゃ、後はお願いしようかな」と、はにかみながらニコッと笑う彼女はやはり可愛い。
そっと、箒とちりとりを彼女から奪うと「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて休憩行ってきまーすっ」と店内に元気よく戻って行った。
「……ふぅ。この場は誤魔化せたのかな? でもこの様子じゃ皆にもバレていそうかな」
そう思うと、こそばゆい気持ちと。
ちょっぴり絢斗君を自慢したい気持ちにもなり。気持ちがそわっと浮つきそうになったが、今は仕事中。
「集中しなくちゃ。今日は実家に帰るけど、明日は休みで絢斗君の家に久しぶりに泊まる予定だし。お仕事がんばろっ」
よしっと、気合いを入れて残りの掃き掃除をテキパキと終わらすのだった。
そうして営業時間はつつがなく終わり。
お店のクローズ作業を遅番のメンバーとこなして、閉店作業が終わると先にアルバイトの遅番メンバーを帰した。
最後に私が売上報告、お店の退店チェックをして。裏口の施錠をガチャリと掛け、やっと一日が終わったと思った。
そのまま裏口から大通りの道に向かう。
「今日もwebオーダー多かったな。web配送の手配順はメモに残してるから、明日の引継ぎも問題なしっと」
何かあったら連絡が来るだろうと、疲れを外に出すようにうんっと、背伸びをして夜気を肺に入れる。
スマホの時計を見ると21時半を過ぎたところ。
空はすっかり暗いがここはオフィス街で、飲み屋街も多いから、夜でも明るい雰囲気がある。
街を行き交う人や車の喧騒が夜風に乗って、耳に届いていた。
「今日、寝る前に絢斗君に明日は夕方頃に、お家に行くって連絡しなくちゃ。絢斗君はお仕事って言ってたから、夕飯のリクエストも聞かないと」
別に外で待ち合わせして、食べてもいいのだけども。なんて言うか。家でイチャイチャする時間が減るのが惜しかった。
明日はまた一緒にお風呂に入れたらいいなとか、思ってしまう。
駅を目指しながらいい香りの入浴剤を買おうとか。
道に並ぶ飲食店から香ばしい香りを嗅ぎ取り。
今日はおばあちゃんが夕ご飯を用意してくれていて、筑前煮があるから早く食べたいなとか。
つらつらと取り留めもない事を考えていると。
「おねぇさん、一人? 僕と遊ばない?」
「!」
後ろから突然声を掛けられて、びくっとした。ナンパかと思い、振り返ると。その顔を見て足を止めてしまった。
人懐っこい顔に、飄々とした空気を纏った好青年。黒の襟なしジャケットスタイルがとても似合っていた。それは九鬼氏と対面したとき、ホテルに乱入してきた人物と瓜二つで。
「えっ、あ……ま、松井さん?」
「正解。覚えていてくれて嬉しいよ。真白ちゃん。いやぁ、元気してた?」
明るく笑う松井さんに、目をぱちくりとするのだった。