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『2話』不
朝方の東京駅。朝の東京駅は普段はサラリーマンや通学の学生たちで賑わうはずだが、昨夜のある殺人事件で不穏な空気が朝から漂っていた。丸の内中央地下改札前には警視庁が規制線を引き、鑑識が頻繁に出入りしていた。朝一番に駅の清掃をしていた作業員が立ち入り禁止の通路内に悲惨に倒れる5人の死体を見つけ警察に通報したという。同時に駆けつけた救急隊により5人の死亡が確認され警察が殺人事件として捜査を始めた。不可解なことに、現場には5人の形跡しかなく他の誰かがここに入った証拠は監視カメラを通しても見たからなかった。また、SNSに投稿されいた配信も機材トラブルで抹消され警察は何一つ証拠を掴めずにいた。
同時刻、東京都千代田区、警視庁本部庁舎、刑事課。警視庁本部は朝方から職員が慌ただしく動いていた。なんにせよ証拠不明の殺人事件が起こったからだ。そんな中、刑事課の事務室である男が場違いなほど呑気にテレビを見ながら水入りのカップラーメンを食べていた。テレビのニュースでは朝の事件で持ちきりだった。
『今朝、東京駅丸の内中央地下改札にて清掃中の職員から5人の死体がある、と警視庁に通報がありました。亡くなったのは、千籬有司さん、南条辰也さん、華海美弥さん、山善竜さん、野咲那々さんの5名でいずれも刃物による殺害とされており警視庁は犯人特定のため捜査を続けています。』
ニュースキャスターが記事を読み終えたと同時に一人の女性刑事が事務室に入ってくる。彼女は田野晴海。警部補で若手の刑事である。
「弓馬警部。上層部から刑事課に捜査指示です。」
テレビの前でカップラーメンを食べていた男がその言葉にゆっくり振り向いた。天然水の常温水をそのままカップラーメンに入れて食べているあたり、疑いようのない変人だ。その彼こそが弓馬霞。警部で刑事課に所属する刑事だ。警視庁内ではカップラーメンを常温水でふやかして食べたり、自分の足で逃走車を追いかけたりと変人扱いされている男だ。弓馬は振り向くや否やカップラーメンを机に置きおもむろに足を組んだ。
「証拠0なのに刑事課に?刑事課は初動捜査で得た証拠を手に捜査するものだろ?MIU(機動捜査隊)や鑑識が証拠見つかるまで俺ら動けないでしょ?」
晴海はため息混じりに答えた。
「証拠がなくとも刑事は動けます。それにこれは警視庁では前代未聞の殺人事件です。死体の刺し口が明らかに人間が所持できるような傷ではありませんでした。」
晴海は丁寧に弓馬の目の前に一枚の写真を置いた。それは今朝鑑識が取った有司の死体写真だ。
「これは千籬有司さんの遺体です。見て下さい。腹部を刺されたあとえぐるように胴を切り裂かれています。こんな切り口、普通の刃物ではできません。ましてや人間の力ではここまで酷くえぐることは不可能です。それに遺体の切り口内からは金属跡が確認されていません。つまり、これは金属刃物を使用されていないと言うことです。」
通常、刃物で人の身体を指すと刃物の金属成分が少なくとも体内に残るためそれを調べることで金属製の刃物が使用された事が分かる。しかし、今回の殺人では死体から金属成分が検出されなかった。つまり、晴海の言う通り殺害に金属製の刃物が使用されていないということだ。
「…金属刃物が使用されていない?じゃあ何だ。化け物、幽霊がこの男を殺したと言いたいのか?」
「…一概にそう確定したわけではありませんが、それを連想させるほど今回の殺人事件は不可解な事が多すぎます。SNS上でも今回の殺害事件と例の噂を関連付けたような投稿が多くされています。」
弓馬の言葉に晴海は淡々と答えた。弓馬はまるで警察官(刑事)がオカルトを信じるのか?と聞きたげな顔をしていたがあえて彼は口にしなかった。
「はぁ…刑事にもなって幽霊探しか…」
「カップラーメンを常温水でふやかして食べてるような刑事にはもってこいの捜査だと思いますけどね。」
変な会話をしながら二人は事務室を出た。机には食べ途中のカップラーメンと、有司の遺体写真が放置され窓から差し込む朝日に照らされていた。
コメント
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弓馬警部、常温水でカップラーメンふやかす変人だけど、そのキャラが一気に好きになりました。金属痕のない傷口って…これはただの刑事モノじゃなくて、SNSの噂とリンクするオカルト要素が混ざってきそうな予感。もっと読みたくなる引きのうまさ、序盤の不穏な空気も効いてます。続きが気になります!
#ご本人様とは一切関係ありません
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ちびすけ📺️@🚥拡散希望
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