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27 ◇施術を受ける
1週間後の水曜日も仕事先に無理を言って休ませてもらい
堀内の待つTanTanシークレット・ベースの店舗へと向かう。
場所が場所だけに終わるのが深夜になるのは避けたかった。
自分でもヘタレだなとは思うけれど、旦那持ちの子持ちなのよ一応、私。
やっぱりね、そこは危ない橋は渡りたくないのでどうしても
慎重になってしまうのだ。
私は念のため、2日前から堀内くんでと予約を入れておいた。
店舗に着くとすぐに堀内くんが応対してくれた。
「加納さま、こちらへどうぞ」
部屋に入ると私は服を脱ぎ、服の下に家を出る時から身に着けていた
スポーツブラとスパッツ姿になった。
「今日も下着付けたままでお願いします。後は前回と同じ施術で……」
私は今回も1時間コースでお願いしていた。
堀内くんと話しているうちに彼がここの店に入店した経緯なども
聞くことができた。
大学を卒業した後、普通に就職したらしいけれどブラックだったのと
周囲の人間関係に疲れて1年持たなかったのだとか。
何か温和そうで、周囲とは上手くいきそうな雰囲気の人なので意外に思えた。
インターネットで募集しているのを見て応募したらしい。
「お給料とか、やっぱりいいんですか?」
「指名数が多ければ多いほど……って感じですかね。
50~80万円くらいなら軽くいきますね」
人気セラピストでガッツリ1か月働くと500万円前後はいけますね。
僕はそこまで詰めて働いたことはありませんが。腕が相当疲労しますし」
「黄金の腕と指? というところですか?」
「まぁ、そうですね」
「お給料はいいけど、やっぱり疲れますよね?」
「いえ、そこは大丈夫ですから」
「でも、本音では……」
「はい、疲れます」
「「ふふっ」」
28 ◇2度目の施術──セラピストからの説明
「参考までにこちらで施術する一般的なコースの内容を教えてもらっても
いいですか?」
「胸周りですが、最初は肘から触れて徐々に胸に移動させて
最後に同意があれば乳首まで触れます」
『彼はソフトな言い方で-触れます-と言ってるけど、もしかして揉みしだく
のでは? という疑問が私の頭を過った。でも訊けないわぁ~』
「下半身ですが……」
私が妄想逞しくしている間も彼は丁寧な説明を続けてくれる。
「唇を円の形で陰部を囲って舐めたり吸ったりします」
「……」
何て反応すればいいのか悩ましく、私はただ沈黙。
「そして引き続き下半身には手マンと言って指1本でやさしい触れ方で
何度も秘所を抜き差しして、興奮と快感を引き出します。
この場合最初のアプローチは膝から触れて徐々に焦らしながら秘所まで、
というところでしょうか。
今ご説明した施術はファンタジーマッサージと呼んでいます」
「もっと分かりやすく言うと……」
「究極の前戯で、性感マッサージということになります」
「あのう、私のようなリクエストをするお客さんって過去にいました?」
「僕は経験ありませんが、創業時からだとどうでしょうか。
いらっしゃったかもしれませんが、まぁ、聞いたことはないですね」
「実は私、チェックが不十分で勘違いして来店したみたいです。
今日はちゃんと分かった上で来ましたけど」
「そうでしたか」
「でも堀内くんは安心してお任せできるので来週も予約しますね」
「ありがとうございます。じゃあ、今日と同じ時間帯でご予約取らせていた
だいてよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
リラックスしてマッサージされ、会話をゆるゆると交わしているうちに、
あっという間にリラクゼーションタイムは終わりを告げていた。
こうして私の2度目の施術が終わった。
29 ◇胸の内を語る
そして更に翌週の水曜日、私は堀内くんを指名してマッサージを
受けに行った。
「こんにちは」
「ありがとうございます。お待ちしてました、さっどうぞ」
今回私は上半身は他の人と同じように半裸で、そして下は短パン型の
ショーツで臨んだ。まずうつぶせ寝になる。
少しオイルを垂らし滑りよく首や肩から順に凝りをほぐしてもらう。
「気持ちいいです」
「そうですか。そう言っていただけると施術のし甲斐があるというものです。
今回も頑張らせていただきますね」
気持ち良さに時々、吐息を吐きながら私は堀内くんに話し掛ける。
「堀内くん、私のこと変なヤツだと思ってるよね?
分かんないヤツって思ってると思うんだけど……。
私ね、考えなしでここに来ているわけじゃないの。
じゃあそれを言語化しろと言われれば、途端に朧気なものになり
雲散霧消してしまうのよね」
「僕、心理学を少しかじっているので、じゃあ、こうしましょう。
切り口はどこからでもいいので、施術中に話せそうな部分から話して
みてください。胸の内にある吐き出したいことを……。
加納さんが言語化できるようお手伝いします」
「私の知り合いが男性用とか女性用とか分けてるわけではないみたいなんだけど、
副業として自宅を開放してアロママッサージのサロンを始めたの。
私自身にも声が掛かってたんだけど……いつの間にか私が自宅に居ない日を
見計らうようにして夫を別の用事で部屋に呼びつけて、そのまま上手い具合に
マッサージする流れを作って施術した……っていうか、強引に夫と合体したの。
夫に彼女と合体する意思などなかったわけで、そのあとは極力彼女との接触を
避けてたらしいんだけど、後日、凝りもせずまた彼女が夫を誘ってきたみたいで。
それで少しも気持ちのない夫が即効断ると、合体したことを私にばらすと
脅してきたらしくて。
それならと、流石にその女性から私に話をされるより自分からちゃんと正確な情報として
私に話しておかなくちゃってことで、夫からその日起きた一部始終を話されて……。
夫としては、彼女からの二度目の強引な誘いがなければ、その日起きたことは
私には知らせず、墓場まで持っていくつもりだったと言われたわ。
夫は嵌めたられただけで、自分の意志は微塵も入っていないから悪くないって
頭では分かってるんだけど、心? っていうか、気持ちが追い付いていかないの。
で、ずっとモヤモヤした気持ちがなくならなくてどうすればって考えてたら、
兎に角私もアロママッサ―ジ受けてみようって考えるようになってたの」
AI自作イラスト
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