テラーノベル
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30 ◇毎回重装備
「それは大変な目に遭いましたね」
「悔しいんだと思うの」
「もしかして、その女性ってお水系でお仕事されてません?
ホステスとか、キャパ嬢だとか」
「当たってます。彼女クラブでホステスしてるの。
で、今、ちょっとお金に困ってるみたい……かな」
「……にしても、なかなか強引な手管使う人で、一筋縄じゃいかない人の
ようですね。男女逆なら、よくありそうな手口ですが女性が強引にレイプ
のようなことをするとは、驚きました」
「しかも、その人学生時代の私の先輩なの。
んとに、何考えてるんだろうって思うわ」
「加納さん、ただのオイルマッサージだけのためにこちらに来たってわけ
じゃないですよね?
う~んと、例えばですけど少しエッチなことを経験すれば旦那さんを許せ
そうな気がするとか? ってことはないでしょうか?」
「そっか、そうなんだと思います。たぶん」
「にしては、毎回重装備ですよね。
でも今日は上半身の下着を付けていないので少し前進しましたが。
少しエッチなことをして旦那さんに意趣返しをしたい……されど
流石に旦那さんのいる身で生々しいことをすることに対する戸惑いも
隠せない……と、ジレンマを抱えて右往左往ということでしょうか」
「ありがとうございます。そっか、そうですね。
そう、そういうことだったんだわ」
「加納さん、僕のこと信じられますか?
そして、この件お任せいただけますか。
たぶん、ぎりぎりの線で加納さんのお悩みを解決して差し上げられるかと
思うのですが……」
「……」
どうしよう。
私は堀内くんに返事ができなかった。
返事のできない私に対して、一度も下半身の施術を受けたことのない私に、
堀内くんの手が膝の上をゆるゆると撫で始めた。
「はい、初めての場所に触れますが、息を吸って―、はいっ、吐いて―っ。
そうそう、その調子。はい、リラックスして~っ」
31 ◇セラピストとの時間
時間を掛けて丹念に10本の指がじわじわと太腿に向けて這い上がってくる。
『気持ちいい~』
緊張が取れてくるとまた気持ち良い時間に変わっていった。
いたずらに下着の中に指を忍ばせるようなことはしないという彼に対する
信頼があればこその、快感だった。
ちょうどいっそ下着の中も触られてもいいほど気持ちが上がった頃に
突然彼からの指示が出た。
「じゃあ、ちょっとベッドから降りてもらえますか」
その言葉で私がベッドから降りるとまた彼の指示がとんだ。
「はい、壁に向かって立ってみてください。
そう、僕にお尻を向けた格好で立ってみてください」
私が胸を隠していたタオルがそっと彼の手によって剥ぎ取られ、ベッドの上に投げられた。
次、胸に触れますね。
言ってから彼が胸を優しくソフトにやわやわと揉み始める。
「失礼しますね、ちょっと僕のを押し付けちゃいます」
そう言うと私がいいと言ってないのに彼は固くなった分身を押し付けてきて
腰を使い始めた。
「加納さん? リラックして怖がらなくていいから。
相手が僕じゃなくて旦那さんだと思ってリラックスして、
身体に気持ちを乗せてね」
「……」
う~ん、よく分からないんだけど。
結局は私はやられちゃうのかしら?
このまま何だかんだと質問なんかしていたらこの流れは止まり、きっと私の欲っしている
時間はするりとこの腕から零れ落ち、二度と手にすることができなくなるような
気がした。
不思議と彼だと嫌悪感を感じない。
だから、私は肯定もしないけど拒否の言葉も発っしなかった。
32 ◇これで、最後にできますね
時の流れに身をまかすことにした。私があれこれ考えている間にも彼の手や
指は休むことなく私の胸をマッサージしている。
私はなかなか胸で官能を受けることは少ないのだが、今日は夫以外の異性に
触れられいきなりの予期せぬ施術になっていること、道徳にはずれたことを
している少しの罪悪感、いうて、リラックスしているとはいえ多少の緊張感
を伴う……そんな 普段の生活からかけ離れた空間にいることなどで、興奮
度が高まった。
胸と彼の分身の両方に気を取られつい我を忘れ官能の波に飲まれそうに
なったその時……。
『えっ? あっ・・・あぁ~っ。うっうっうっ……』
いきなりの彼の何度もの抽挿に、壁に顔や身体が押し当てられそうになり、
身体の使える筋力全てで踏ん張ったため、快感とは別の声も出てしまい、
立ってするなんて初体験だったため、いろいろと大変だった。
堀内くんが精を吐き出したあとの清掃をタオルやペーパーで
丁寧にふき取ってくれる。
「お疲れ様。いいですか?」
と彼から訊かれ……私は頷いた。
すると、しばらく立ったままでハグをしてくれた。
「これで、最後にできますね。どうでしょう?」
「もう、ここへは来ません」
「それがいいです。僕はあなたの気持ちに添えましたでしょうか」
私は涙目でそっと『ありがとう』と言い、これまでのように身支度を整え、
支払いを済ませたあと、見送ってくれる堀内くんに別れを告げた。
母と娘の待つ家路に向かう電車の中で、何かがひとつ自分の中で
終わったと思った。
この夜の私は悲しんでもなく、また浮かれてもなかった。
ただ、ひとつ分かっていることがあった。
この先、自分はファッションマッサージなどの風俗に行くことは
ないだろうということ。
AI自作イラスト
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