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AMPTAKでは問題が一つ起きていた。
問題の動画が投稿されたのは、いつも通りの夜だった。
【アンプタックカラーズ 実写企画】
メンバー全員で外ロケ。
わちゃわちゃして、笑って、いつもの空気。
――の、はずだった。
プレミア公開中のコメント欄が、数分で様子を変える。
・あっきぃくんとぷりっつくん近くない?
・距離感どうなってる??
・肩、ずっと触れてない?
・みんなも寄ってきてて草
・あっきぃくん囲まれてるの何???
切り抜きも回り始める。
・歩く時、自然にあっきぃくんの横にいるぷりっつくん
・立ち止まると、必ず誰かが半径1m以内
・あっきぃくんが黙ると、全員が一瞬見る
・無意識に背中に手を添えられてるシーン
言い逃れ不可。
楽屋。
スマホを見た瞬間、あっきぃが固まる。
【あき】「……え、なにこれ!?!?」
「俺、こんな守られ方してた?」
【あと】「してたな」
【ちぐ】「してたね」
【けち】「普通に映ってたよ」
ぷーのすけは、画面を見て言った。
【ぷり】「カメラ優秀やん」
【あき】「ねぇ!冷静でいることじゃないよ!!」
あっきぃが頭を抱える。
【あき】「リスナーちゃん、絶対変に思うでしょ」
「仲悪いよりはいいけどさ!」
「急な距離感バグ集団じゃん!」
俺はスマホを見ながら言う。
【まぜ】「もう手遅れ」
【ちぐ】「“公式に距離近いグループ”って認識されてる!」
【あと】「今さら修正無理」
ぷーのすけは、あっきぃをちらっと見て、低く言う。
【ぷり】「嫌やった?」
一瞬、間が空く。
あっきぃは正直に答えた。
【あき】「……嫌じゃないよ?」
「でも、見える形になると、ちょっと怖い」
【ぷり】「何が?」
【あき】「俺だけ特別扱いされてるって思われるのが」
その言葉に、俺らはすぐ返す。
【まぜ】「特別扱いだよ」
【ちぐ】「でも“あっきぃだから”じゃない」
【あと】「“一人で抱え込むタイプだから”だ」
【ぷり】「守ってるんやない」
「見失わない位置にいるだけ」
【あき】「それ、ファンに伝わるかな……」
ぷーのすけは少し考えてから、肩をすくめた。
【ぷり】「伝わんなくてもいい」
「嘘は映ってないへんし」
その夜、リスナーの間では結論が出ていた。
・距離近いの、作ってない
・あっきぃくん中心に自然に集まってる
・信頼の塊みたいで逆に安心
・アンプ、仲良すぎでは?
翌日。
あっきぃは動画のコメントを見て、小さく息を吐いた。
【あき】「……怒られてなくて、よかった」
【ちぐ】「むしろ好評だね!」
【けち】「“優しい空気伝わる”って言われてるよ!」
ぷーのすけが、いつもの距離で言う。
【ぷり】「ほらな」
「隠す必要なかっただろ」
あっきぃは、少し照れたように笑った。
【あき】「……じゃあさ//」
「これからも、映っていい距離ってことで」
【ぷり】「最初からそのつもり」
俺らが一斉に言う。
【あと】「修正する気ない」
【まぜ】「むしろ堂々と行く」
【ちぐ】「公式距離感でね!」
あっきぃは、諦めたみたいに笑った。
カメラに残ったのは、
演出でも、サービスでもない。
“あっきぃを一人にしない”っていう、
AMPTAKの癖だった。
それを見抜いたリスナーは、
もう誰も突っ込むのをやめていた。
――むしろ、
「これがアンプだよね」と、笑っていた。
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