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第12話「救いの意味」
───結翔side
俺は自分の部屋の机に頬杖をつきながら、スマホの画面を眺めていた。
結翔「……黒帳……聞いたことないな。」
結翔「なんかのグループかなんかか?」
画面をスクロールする。
結翔「……!」
そこに表示された文字を見て、目を見開いた。
結翔「コロシ屋グループの組織です……?」
結翔「コロシ屋……」
その言葉を見た瞬間、蓮の顔が浮かんだ。
───『コロシ屋は仕事でやってる』
結翔「……蓮が言ってた。」
結翔「コロシ屋は仕事って……。」
結翔「まさか……」
結翔「ここで働いてんのか……?」
しばらく画面を見つめる。
結翔「…………。」
結翔「まぁ、アイツに限ってそんなこと……」
言いかけて、口を閉じる。
結翔「……いや。」
結翔「……それは…蓮じゃなきゃ分からねぇだろ……」
あの日、月の下で見た蓮の姿を思い出す。
寂しそうで。
何かを諦めたような顔。
なのに、目だけは妙に優しかった。
結翔「…………。」
結翔「……やっぱ、何か隠してるよな。」
時計を見る。
結翔「……って、うわ」
結翔「もう朝じゃねぇか……!」
結翔「一睡も出来なかった……」
結翔「学校は……行かねぇと行けないよな……」
結翔は重い身体を起こし、家を出た。
───
朝の街。
結翔「………頭ぼーっとするな……」
歩く。
結翔「……ねみぃ……。」
欠伸をする。
結翔「…………。」
───ドンッ!!
結翔「痛ってぇぇぇ!!」
電柱に思い切りでこをぶつけた。
結翔「…………。」
結翔「……朝から何やってんだよ〜……俺……」
尻もちをついたまま、額を押さえる。
結翔「……痛ぇ…」
その時。
??「……あの、大丈夫ですか?」
結翔「……?」
顔を上げる。
そこには、一人の女性が立っていた。
柔らかな雰囲気の女性。
??「すごい音がしましたけど……おでこ打ちましたよね?」
結翔「あー……まぁ。」
結翔「でも大丈夫。ちょっとフラフラするだけだから。」
??「それ、大丈夫じゃないですよ。」
結翔「え……」
女性はしゃがみ込み、結翔の顔を覗き込む。
??「少しおでこを見せてもらってもいいですか?」
結翔「……こうか?」
??「はい。」
女性は結翔のおでこに手を当て確認する。
??「…ちょっと赤いですけど…腫れたりはしてないようですね……それなら湿布を貼れば大丈夫かと……」
結翔「……もしかして、医者?」
??「まあ、そんなところです」
結翔「そんなところって……。」
??「細かいことは気にしないでください。」
女性は立ち上がり、結翔に手を差し出す。
??「ほら。立てますか?」
結翔「……ああ。」
手を借りて立ち上がる。
??「腫れてないとはいえやっぱ油断は禁物です少し休んだ方がいいですね」
結翔「いや、学校行かないと……。」
??「学校?」
結翔「遅刻はしてはいけないからな……」
??「それにしては、随分早いですね。」
結翔「…………。」
結翔「今日、早く行きたくなって。(流石に寝るために早めに行くっては言えないよな……)」
女性は少し考える。
??「……学校、まだ開いていない時間ですよ?」
結翔「…………。」
結翔「……あー、そうだな。まだ先生も来てない時間だしな……!」
??「ふふ。」
結翔「どうかしたか?」
女性「いえ、わかりやすい方だと思いまして…笑笑」
結翔「………(え、もしかしてぜんぶバレてんのか!??)」
女性は小さく笑った。
??「学校で仮眠でも取ろうとしていました?」
結翔「…………。=(´□`)⇒グサッ!!(図星)」
結翔「……なんで分かるんだよ…」
??「目の下、」
結翔「……目の下?(寝不足のヤツによく出るやつ……クマだよな…?俺今出てんだ…そんなはっきり見えてんのか!?)」
女性は鞄の中から飲み物を取り出す。
??「これ、よかったらどうぞ。」
結翔「……何だこれ?」
??「睡眠をサポートする飲み物です。」
結翔「薬とかじゃねぇよな?」
??「違いますよ。」
??「ただ、少しでも休めるようにと思いまして」
結翔「おーそうなんだな…(ちょっと気になるかも…)今日試しに使ってみるわ」
??「はい!効くといいんですが…」
女性は優しく笑う。
??「私、無理をしている人を見ると、どうしても放っておけなくて。」
結翔「……へぇ、いい事じゃん。俺もよく街で困ってる人いたら、助けっからさ」
??「…私達、似たもの同士ですね笑」
結翔「……!(今のこの感覚……なんだ??蓮のあの時……と同じ感覚……何かが心に絡んでる……)」
女性「?」
結翔「あの……名前。」
女性「名前?」
結翔「まだ聞いてなかったから、聞きたいんだけど……ダメか?」
女性は少しだけ目を細めて笑った。
??「ダメじゃないですよ笑私は神代雫です。」
雫「年齢は18歳です。」
雫「それで……貴方のお名前は?」
結翔「俺?」
結翔「結翔だけど……」
雫「結翔さん…いい名前ですね笑笑」
雫「覚えました。」
結翔「…!(また、まただ……雫さんの笑顔を見たら…なんでこんな……感覚になるんだ……??)」
雫「……笑笑」
───その時の雫の目はあの時の蓮と似たような目をしてした───
何かを諦めたような目。だけれど雫の目はちょっと違った気もした。
結翔「あの、雫さん……俺に助けられたし…何かお礼がしたいんだけど……なんかあったらあんま頼りないかもだけど………その…言って欲しい。」
雫「!ありがとうございます。じゃあいつか、気が向いたらでいいので…私の病院まで来て欲しいです。そしたら、少しだけ、話を聞いていただけたら。」
結翔「分かった。必ず行く。恩は返さないとだしな!笑」
雫「……いい志ですね。」
雫は立ち上がる。
雫「では、私はこれで。」
結翔「……まだちゃんとしたお礼言えてなかった……ありがとうな。今度は恩を返すからな!」
雫「どういたしまして。」
雫は少しだけ笑う。
雫「結翔くん。もし、何か一人ではどうしようもないことがあったら……ここに来てください。」
結翔「……。」
雫「また私にできることがあれば、サポートしますから。」
雫「気軽に来ていただいて大丈夫ですからね。」
結翔「……ああ。」
雫「それでは。」
雫「学校、頑張ってくださいね。結翔さん。」
結翔「おう!」
雫は小さく手を振り、その場を去っていった。
結翔「…………。」
少しだけ笑う。
結翔「……でも、いい人だったな。」
結翔は空を見上げる。
結翔「……よし。」
結翔「学校行くか……」
───
その頃。
雫は一人で歩いていた。
さっきまでの穏やかな表情は、もうない。
スマートフォンを見る。
そこには一件のメッセージ。
雫「…………。」
しばらく画面を見つめる。
雫「……また、ですか。」
小さく息を吐く。
雫「…………。」
そして、誰にも聞こえない声で呟いた。
雫「……本当に」
雫「いつまで、人を救ったつもりでいるんでしょうね」
その瞳には、先ほどまでの優しさとは違う色が宿っていた。
───結翔はまだ知らない。
今日出会った女性が、
ただ優しいだけの人ではないことを。
そして彼女が言った、
「救う」という言葉の意味を。
コメント
1件
第12話めっちゃ良かったです…!😭💕 結翔が徹夜で調べた「黒帳」と「コロシ屋」の繋がり、そして蓮の過去がちらっと見えてきた感じがたまらなく気になりますね…! それにしても、新キャラの神代雫さん、めっちゃ優しいけど最後の呟きがもう…何か隠してる…?!「救う」って言葉の裏が怖すぎる〜!! 蓮も雫も、結翔の前では優しい顔してるのに、それぞれ闇抱えてそうで続きが気になって仕方ないです…次の話も楽しみにしてますっ🌸✨
一ノ瀬ルナ
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