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『笑っている君が、一番心配だった。』
「頼りすぎたら」
数日後
昼休み
6人はいつものように一緒に昼ご飯を食べていた。
けちゃ「ちぐー!今日のおかず交換しよ!」
ちぐさ「いいよ!」
ぷりっつ「俺も混ぜてー!」
まぜ太「お前は自分の食え。」
ぷりっつ「えー!」
あっと「ふふっ。」
いつもの光景。
ちぐさも楽しそうに笑っていた。
そのとき。
ちぐさ「……あ。」
あっきぃ「どうした?」
ちぐさ「いや……。」
ちぐさは机の横を見る。
そこには昨日壊れた鞄。
まだ完全には直っていない。
ちぐさ「……なんでもない。」
けちゃ「?」
ちぐさは鞄を見ないようにした。
放課後
みんなが帰る準備をしている。
ぷりっつ「今日どっか寄って帰ろうや!」
まぜ太「俺はいい。」
けちゃ「僕行きたい!」
あっと「じゃあ行こうか。」
あっきぃ「ちぐちゃんは?」
ちぐさ「……。」
ちぐさは少し考える。
本当は行きたい。
でも。
今日は少し疲れていた。
ちぐさ「……ごめん。」
けちゃ「え?」
ちぐさ「今日は先に帰るね。」
あっきぃ「そっか。」
ちぐさ「うん。」
ちぐさは鞄を持つ。
――ブチッ。
ちぐさ「……っ。」
持ち手がまた外れかける。
あっきぃ「ちぐちゃん、大丈夫?」
ちぐさ「大丈夫!」
反射的に答える。
あっきぃ「……。」
ちぐさ「じゃあ、また明日!」
ちぐさは一人で教室を出ていった。
廊下
一人になったちぐさは、鞄を見つめる。
ちぐさ(……また。)
ちぐさ(また頼ったら……。)
ちぐさ(みんな、嫌にならないかな。)
以前より頼れるようになった。
お願いもできるようになった。
でも――
そのたびに、心のどこかで思ってしまう。
ちぐさ(頼りすぎたら……。)
ちぐさ(いつか、迷惑って思われるんじゃないか。)
ちぐさは鞄を抱える。
そして小さく笑う。
ちぐさ「……大丈夫。」
誰に言うでもなく。
そう呟いた。
翌日
教室。
けちゃ「ちぐー!おはよ!」
ちぐさ「おはよ!」
けちゃ「昨日どうしたの?」
ちぐさ「え?」
けちゃ「急に帰っちゃったから。」
ちぐさ「あー……ちょっと疲れてただけ!」
けちゃ「そっか!」
けちゃはそれ以上聞かなかった。
そこへ。
ぷりっつ「ちぐー!」
ちぐさ「ん?」
ぷりっつ「昨日、これ落としてたで。」
ぷりっつが小さなキーホルダーを差し出す。
ちぐさ「……あ。」
ちぐさ「ありがとう!」
ぷりっつ「ええよ!」
ちぐさは受け取る。
その瞬間。
胸が少し痛くなる。
ちぐさ(……みんな優しい。)
ちぐさ(だからこそ。)
ちぐさ(迷惑かけたくない。)
昼休み
ちぐさは一人で窓の外を見ていた。
すると。
あっきぃ「ちぐちゃん。」
ちぐさ「……あっきぃ。」
あっきぃ「何してるの?」
ちぐさ「……何も。」
あっきぃは隣に立つ。
何も聞かない。
ただ一緒に窓の外を見る。
しばらくして。
ちぐさ「……あっきぃ。」
あっきぃ「ん?」
ちぐさ「俺さ。」
あっきぃ「うん。」
ちぐさ「……頼りすぎてないかな。」
あっきぃは少し驚く。
あっきぃ「どうして?」
ちぐさ「……。」
ちぐさは答えられない。
でも。
あっきぃは急かさない。
あっきぃ「ちぐちゃん。」
ちぐさ「ん?」
あっきぃ「頼るって、一回だけじゃないよ。」
ちぐさ「……。」
あっきぃ「何回頼ってもいい。」
ちぐさの目が揺れる。
あっきぃ「だって俺たち、友達でしょ?」
ちぐさ「……うん。」
あっきぃ「だから。」
あっきぃは笑う。
あっきぃ「迷惑かけることくらい、普通だよ。」
ちぐさは俯く。
ちぐさ「……そっか。」
そして。
小さく笑った。
ちぐさ「……ありがとう。」
――第22話・終わり。
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