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あの出来事のあと、俺とまろの間に妙な沈黙があった。
 それを敏感に察したのは、やっぱりメンバーだった。
 
 
 いむがこっそり声をかけてきた。
 「ないちゃん、大丈夫?……昨日のこと、無理に笑わなくてもいいから」
 
 
 しょーちゃんも真剣に。
 「俺ら、変な空気になんのが一番あかんやろ? ちゃんとしんどかったら言ってええねんで」
 
 
 りうらも静かに頷く。
 「俺たち、何より“チーム”なんだから。信頼崩れたら終わりだからさ」
 
 
 その言葉に、俺は少し肩の力が抜けた。
 「……ありがと。まだ気持ち整理できてないけど……大丈夫。お前らのことは信じてるよ。」
 
 
 横で黙っていたまろが、低く呟いた。
 「……ごめんな、ないこ。俺が暴走した」
 
 
 あにきが腕を組みながら一言。
 「せやな。けど、まだ間に合う。お互いちゃんとケジメつけろ。それが仲間や」
 
 
 その言葉に、俺もまろも深く頷いた。
 まだ心はざわついてる。けど、このチームなら――少しずつ戻っていける気がした。
 
 
 
 
 
 
 
 翌日からは普通の収録や配信が始まった。
俺は普段通りを装っていたつもりやけど、ふとした瞬間に――昨日の“熱”が蘇ってしまう。
 歌ってるときに視線が重なっただけで心臓が跳ねる。
「(やば……なんでドキッとするんだよ俺)」
 裏で雑談してるとき、まろが近づきすぎて肩が触れる。
「……っ」
わざと距離を取ろうとしたけど、りうらにニヤニヤしながら指摘される。
「ないくん、まろと距離感おかしくない?」
「べ、別に普通でしょ?!」
必死に否定する俺を見て、メンバー全員が笑った。
 しょーちゃんがからかうように言う。
「ほんまは気になっとんのちゃうん?」
「うっさい!」
顔が熱くなる。
 まろは黙って俺を見てるだけ。
その眼差しにまた胸がざわつく。
催眠は解けてるはずやのに――俺自身が囚われてるみたいだった。