彼女は名を「メメント・モリ」というらしい。ここで俺は『バケモノ』にも名前があるということを初めて知った。
「結構かわいい名前…」
そう、思ったことを率直に述べる。
「ありがとうございます。私のことはメメと呼んでください」
これがいわゆる、あだ名というものなのだろう。これも『バケモノ』たちの中で存在するのを初めて知った。
当然、普通は『バケモノ』が『ニンゲン』の言葉を喋れるわけが無いので、知らないのも当然だが。
「メメはなんで『ニンゲン』の言葉が喋れるの?」
当たり前の疑問を口にする。ここで目覚めてからずっと気になっていた事だ。
「私、ああやって今までもたくさん『ニンゲン』の事を助けてきたの」
「だから、しばらくやってる間に聞き慣れて、そのうち少し分かるようになったの」
…と、当たり前のように彼女は口にするが、正直いって俺は今心臓が口から飛び出そうなぐらい驚いている。
そもそも、『バケモノ』が『ニンゲン』を助けている時点でおかしいのだ。いつもは大人数で囲んで、一方的にこちらを蹂躙してくるだけの『バケモノ』が『ニンゲン』を殺さず、なんなら助けるなんて…
「なんでメメは『ニンゲン』を助けてるの?」
その質問を聞いた彼女は、少し考える身振りをした後、口を開こうとした瞬間…
ここを通せ〜!!!!!
俺 たちのいる部屋の外から大声がする。俺は驚くどころか、安心している訳だが
「メテヲ…!」
そう…今ここの外で『バケモノ』たちに囲まれて、騒いでいるのはメテヲなのだ。
声でなんとなく…というだけだが…
「少し待っていてください!」
そう言い、あわててメメは外へ行く。多分メテヲを止めている彼女の仲間の『バケモノ』たちを止めるためだろう。
少し待っていると、疲れ果てた顔の2人が部屋に入ってきた。メテヲはメメに対して死ぬほど警戒しているが…いや、しているつもりなんだろうが…
「なんでそんなことしてるんだよ…」
思わずそう言ってしまいたいような…いや、もうこの際はっきり言おう。メテヲがメメにお姫様抱っこされているのだ。
なぜそうなっているのかは俺が聞きたい。2人して何食わぬ顔でずかずかと入ってきたが本当になにをしているんだと思ってしまう。
「いや〜…メテヲさんが立っているのが辛そうでしたので…」
そう、当たり前のことを言っているかのような顔でメメは言ってくるが…メテヲは今の状態を理解しているのだろうか…?と思っていると、案の定
「えっ…はっ…!?」
そう言い、メテヲが下ろせと言わんばかりにメメの腕の中で暴れ始める。逆にメテヲはなぜこんなことをされているのに気づかないのだろうか…相当居心地が良いのだろうか…?メメの腕の中は…
そう考えていると、思わず俺も抱いてくれと言いたくなってきてしまう今日この頃…
コメント
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「ここを通せ〜」の前の、「メメさんは『バケモノ』を助けてるのか」って聞いてるいえもんさんは、自分が『バケモノ』だと思ってるってこと?(分かりづらかったらごめん)
もうさwww かっわいいなおい!www