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今回は、選び取ったヴィランとしての道を歩くナナメちゃんのお話です!
あの脱走から数日後、
『彼女はもう迷っていない』
空気は鉄の匂いと、油の焦げた臭い。
夕日が差し込む廃ビルの屋上で、ナナメは膝を抱えて座っている。
その隣に、トガヒミコがストローでジュースを吸いながら座る。
「ほんとに、迷いとかないの?」
トガの声は、無邪気だけど、どこか鋭い。
ナナメは短く答える。
「あるよ。……まだ、揺れてる。でもさ」
「“まっすぐ進め”って言われるほどに、“曲がってる自分”を肯定したくなるの」
トガが笑う。
「わかる〜。わたしだって、“それは間違ってる”って言われたら、
“間違ってて何が悪いの?”って言いたくなるもん」
ヒーローが配置された夜のビル街。
ナナメはビルの屋上から、それを見下ろす。
――赤い光が走る。デクがいる。
「出久くん、また“まっすぐ”な正義してる」
息を吸い込んで、目を閉じる。
「ごめんね。あたし、やっぱりそっちには戻れないや」
手に持った鉄球を指先で弾く。
空中で“折線”が走る。
鉄球は真下ではなく、あり得ない角度でヒーロー部隊の背後へ飛び込む――!
ドカァン!!
爆発と共に、彼女のヴィランとしての“第二の人生”が、確かに始まった。
あたしは思い出すの。
“曲がってるままでも、生きるしかなかった”あの日を。
だから、もう振り返らないよ。
だって――
これは、あたしが選んだ“生き方”なんだから