後ろから鈍い音がした。
1度、女性から距離を取り、後衛を任せたフミトに目をやる。
「ッ…!?」
無意識に目を見開いてしまう。
だって、フミトが血を流して倒れていたのだから。
その横には目を少しの間離した男性。
その男性はフミトを抱えると女性に話しかけた。
「アルさーん、これどうするの?」
「予定通りに行くなら魔族にするはずだよ、魔力は残ってる?」
「魔法とか使わないから大丈夫」
そう言うと男性はフミトに手をかざす。
魔族にする、それはつまり魔族の魔力を通常の許容範囲以上入れられるとなる。
才能があれば魔族へ、無ければ死。
それだけだった。
阻止しようと走り出すが時すでに遅し。
フミトに男性が大量の魔力を入れた。
「これで時期に仲間になるか死ぬね」
そう言うと男性はこちらを向く。
「後は君だけだね」
そう言ってナイフを作り出して投げてきた。
かすりはしたがまだ動ける。
だが後ろから女性が殴り掛かる。
咄嗟に剣で弾くが剣が遠くに行ってしまった。
「ッ…」
(剣がッ…)
すると後ろにいた女性が声を上げた。
「ぐッ…」
痛がっている声だ。
後ろをふと見るとお腹を抱えている女性と見覚えのない女性。
薄水色髪に黒のメッシュ、ヘッドホンをつけている。
「折角温泉に入ってたのに暴れやがってよぉ…」
そう言っては女性を殴る。
すると敵の女性は転移石を取りだしては砕くと男性の元に飛んだ。
「くっそ…」
転移させてしまったことを女性は悔やんでいる。
「ソラ、引くよ、仮にも…目的は達成、だから」
「把握」
そう言うと男性は女性に触れながら転移石を破壊した。
「逃げられたかぁ…」
そう後ろで呟いた女性。
「貴方、誰?」
そう聞いてみる。
「ん、?自分?自分はねー」
そう言うと少し微笑み
「アオイだよ」
そう答える。
「アオイありがとう、助かったよ」
そう言うとアオイは聞いてきた。
「君達勇者パーティーのメンバーだよね?」
「まぁ、はい」
「こいつ…この男、今のうちに倒すべきだと思うけど」
「なッ…!?」
いきなりの発言に仲間打ちを狙わしている敵かと思い警戒する。
「魔族の魔力を流された以上、死ぬか魔族になると思うよ。まぁ、もしならなかったら神様の加護があるのかもだけど」
「いや…けど…」
「どーする?」
「ラメルに相談しよう、」
そう自分の考えをつぶやく。
アオイはラメルに会わせるべきか、
そう考えるが敵なのならばあのタイミングで助けるはずがない。
そう考え会わせることにする。
魔力を流されたフミトを抱えラメルの元へ向かう。
「アオイ、ついてきて」
そう言うとアオイが後を追ってくれる。
「そーえば勇者パーティーメンバーさんの名前は?」
そうアオイが問いかけてくるので
「リト。で、こいつがフミト」
そう言ってフミトを指さす。
「よろしく」
「リトさんねー!よろしく!」
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「!!おかえ…り…、?」
リト達を見るとフミトは気絶しているためリトが抱え後ろには見覚えのない女性がいた。
「魔族はこっちで暴れてた」
その発言に耳を疑う。
魔族が暴れていたのはダンジョン都市ケルカァだ。
「え、?暴れていたのはダンジョン都市だよ…?」
その言葉を言うとリトは目を見開いた。
「2つで暴れてたってこと…、?」
その言葉なんて信じたくなかった。
思い出したようにリトが言う。
「フミトが…、魔族の魔力を流された、」
そう言ってフミトを下ろす。
魔族の魔力。それを入れられるとどうなるのか、ラメルには分からない。
「魔族になるか…死んでしまう」
そんな発言をしたのはニウ。
そしてその言葉を聞くと息が荒くなる。
(ラメルが2人で向かわせたせいで…、?)
「モク…え、と…魔力を…」
「…取り除く魔法なんてないよ…」
そうラメルが言おうとした言葉を言いながら泣きそうになっているモクがいた。
「魔法にも、モクのスキル、神大魔法にも…そんな魔法、存在しないよッ…」
神大魔法、それがどんなものなのか分からないが、その神大魔法とやらにもやはりそんな魔法は無いようだ、
「モクには魔法を編み出す技術も、ないしッ…」
その言葉に皆、顔色が悪くなる。
1人を除いて。
「今のうちに殺すのが吉だと思うよ」
知らない女性。
リトが連れてきた女性だ。
「貴方…誰」
ニウがそう女性に問いかける。
「自分?自分はアオイ」
そう簡単に答える女性。
何がしたいのか分からない。
「アオイは私を助けてくれたから連れてきたんだよ」
そうリトが言う。
(そ、か…フミトが倒れて1対1とか複数対1人とかだったら魔族相手には基本勝てないんだった…)
アオイ、きっとアオイが居なければリトもきっと、
と思ってしまう。
(魔族の気配もしないし…、安心…かな、)
そう思い口を開く。
「リトを助けてくれてありがとうございます、!あの、良ければ一緒に来ません?」
「「「え、?」」」
3人が口を揃えて驚きの声を上げる。
「フミトが戦闘不能な以上、他の戦力が必要でしょ、?」
「けど…初対面の人を…!?」
「ラメル達だって初対面だったじゃん」
「それは…ッ、そうだけど……」
「だからいーでしょ?」
そういうとリトが口を開く。
「私は賛成、戦力が減っちゃったしあのタイミングで助けるということは少なくとも敵じゃないと思う。」
「モクも賛成!仲間は多い方がいいもん!」
「みんなが言うなら止めないけど…」
そう言って渋々とニウが許可(?)を出してくれる。
「アオイさんどうですか?」
「自分でいいなら是非」
そう言って勇者パーティーにアオイが加わった。
「それと…」
そう言うとフミトのいた方を指さす。
「あのメガネ…フミトさん?がいないけど」
そう言われそちらを見ると言う通りにフミトが消えていた。
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「勇者ってッ…」
森を1人駆け抜ける男性。
「あんなおぞましい気配だったっけッ、?」
おぞましい気配。
どんな気配なのか、と言われたら困るが
見た瞬間殺される、と思ってしまった。
だから逃げた。
仲間達から。
するとひとつの城にたどり着いた。
入ると魔族達がおり快く歓迎してくれた。
その時、理解した、俺はもう
魔族だ。
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・金貨を稼ぐ
・遠くの町へ行く
コメント
2件
遠くの町行く……(´・ω・`) ふみとぉぉ…(´;ω;`)