悶々と悩みながら図書館から帰っている最中、
先程からずっと誰かの視線を感じる。
「さっきから誰なの!?誰か居るなら出てきてよ!」
私は痺れを切らしてそう叫んだ。
すると電柱の影から真っ黒なズボン、
真っ黒な帽子、真っ黒な服の
男性が近づいてきた。
いかにも “ 不審者 ” って感じだ。
「流花ちゃん、僕のお家に来ない?」
「流花ちゃん、ずっと探してたんだ」
私が目を丸くしている間も
ずっと私に話しかける男性。
なんで、私の名前を知ってるの?
どこかで会ったことあるのかな?
というかこの人、私のこと見えてるよね?
頭の中で多数の疑問が爆発寸前になった時、
男性は
「流花…君は誰に殺されちゃったんだ?」
と小さく呟いた。
まるで何もかも諦めてしまっているような
小さく、か細い声で。
「流花、こんな道端で話し込んですまない」
「もし、君が良いなら僕の…僕に着いてきてくれるかい?」
男性は眉を下げながら申し訳なさそうに
私に問う。
その瞬間、何となく懐かしい雰囲気がした。
「…分かった」
私は何となく着いていくことにした。
「ただいま〜」
男性の家に着くと、
男性は先程のような暗い声とは一変して
明るい声で帰りを告げた。
「父さん、どこ行ってたんだよ」
「早く夕飯作っ…..は..?」
リビングの奥からこの男性の息子であるような人が出てきた。
だが、私の姿を見た瞬間驚いた声を零した。
「流花…なんで..」
なんでこの人も私の名前を知っているの?
それとも、私が忘れてるだけなのかな?
そんな考えをしつつ、
私はリビングのソファに案内された。
「流花、分からないと思うけど…」
「僕は君のパパなんだ」
「え…?」
どういうこと?
私の親はママとあとお姉ちゃんと….
あれ?パパって居たっけ?
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