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コメント
1件
ああ、もう…胸がぎゅっとなりました。日記という形で、戦時の一人の人の内側がじわじわと迫ってくる感じ、すごく好きです。「先輩」「海」「空」っていう呼び方だけで、どんな関係だったのか想像させるところが巧いですね。特に「八月十五日。みんなに会いに行く」の一文、静かなのに重くて、何度も読み返してしまいました。地続きの日常が少しずつ欠けてゆく空虚さが、言葉の少なさで逆に伝わってきて…かぴばらさんの筆致、丁寧で繊細だなあと思いました。また次の話も読ませてくださいね。
長編向いてないから今やってるの終わったらこっちメインになるかも
史実にはあまり沿ってないです
⚠️
戦争賛美の意図はございません
旧国注意
年末なので、大掃除をしていたら、 和室の奥から、随分と古い日記帳を見つけた
見覚えが無いので、先代…日帝の物だろうか
好奇心を抑えられず、ページをひらく
昔の言葉で書いてあるが、勝手に脳内で変換して読み進める
三月二日
先輩に言われ、日記を付けることにした
「一言でいいからその日あったことを書け」
との事なので、少しずつ書いていこうと思う
文章は苦手だから不安ではあるが…
三月三日
先輩、海の三人で話し合いをした
イタ王の席が空いてからは空も参加させていたが、今は生憎、敵地で戦っている
今後の作戦や、新しい兵器についての話し合いだった
三月四日
先輩が、
「我々はあまり長くないだろうな」
と言った。実際そうなので言い返せはしないが、
今は、一日でも長く生きたかった
最悪、先輩達には生きていて欲しい
三月五日
海と喧嘩をした。くだらない事だったが、いつもは止めてくれる空が居ないので、かなり長く続いた
空が戻る前に仲直りしておかなければ
三月六日
空が、戦果を上げて帰って来た
かなり深い傷を負っているので、ゆっくりと回復させる事にする
ま
365
みん
416
#カンヒュイラスト
なぎさ
1
#旧国注意
そこから、他愛の無い内容が続いた。ペラペラとページをめくっていると、ある所が目に留まった
四月二ニ日
空が、特攻隊に選ばれた。前の怪我で思うように動けなくなり、使い物にならないと判断されたようだ
四月二六日
二日前、空が、死んだと報告があった
先輩は慰めてくれた
死体を引き取りに向かっていた海が、口を押さえながら、
「見ない方がいい」
と言った
四月二七日
誰にも座られない席を見ると、嫌でも空達のことを意識する
俺は間違った事をしただろうか
四月二十八日
最近、先輩の様子もおかしい
話しかけても目が合わない時が多くて、虚な目をしている。
俺にしてやれる事は無いのだろうか
四月二十九日
先輩に、
「俺が死んだら悲しむか?」
と聞かれた
勿論、悲しいが、それを答えると先輩は嬉しそうに去っていった
五月二日
先輩はもう居ない。
海と二人きりになった。
いよいよ、死が俺の首に手をかけようとしている
そこから日記は途切れ途切れになった
一週間に一回も無い日だってある
またページを適当にめくっていく
七月八日
朝起きると、隣で寝ているはずの海がいない
家中探し回ると、机に置き手紙があった
「すまない。俺は行かなければならない」
もう、海が戻ってこないと直感した
七月十日
誰もいないので、会議はもう開かない
賑やかだった頃の空気は、今はもう感じられない
七月十五日
戦地に赴き、敵兵を十人余り殺した
前は死体を見る度に顔を顰めていたが、不思議と何も感じなかった
七月十六日
何発か銃弾を喰らっているみたいだ
痛みが無かったので気付かなかった
先輩達がいれば教えてくれただろう…
七月二十日
みんなの声が聞こえる
七月二十一日
昨日聞こえた声は気のせいでは無い
今日も聞こえてくる
何と言っているのか聞き取れないが、間違いなく先輩達の声だ
七月二十四日
頭が痛くなってきた
のたうち回るのも良くない気がしたので、ひたすら耐えた
七月二六日
みんなの声が段々とはっきりしてきた
「おいで 」
「一緒に行こう」
などと言っているようだ
もし逢えるのならば、是非とも行きたいものだ
七月三十日
そういえば、最近全く声を出していない
声を掛けるべき相手がいなくなってしまった
声を出そうとしたが、乾いた自分の息の音が聞こえただけだった
八月三日
どうにかして声を出せるようになった
これでみんなとも話せる
八月五日
そろそろ、自分も死ぬだろう。
早くみんなに会えるのならそれでいい
八月六日
左腕が動かなくなった
肩より上に持ち上げららなくて、 これでは刀も振れない
八月九日
みんながこちらを見ている
いつもこちらからの声には反応してくれない
早く話がしたい
八月十日
耳鳴りが酷い
何故俺だけ生き残っているのか
自分より生きているべき人は沢山いるの に…
八月十一日
やはり自分の後を継ぐ者を探さなければならない
八月十三日
一人、適役を見つけた
後継は彼にするとして、残ったやるべき事を片付けなければならない
八月十四日
思い残す事はもう無い
最後に、大切な人達にだけ挨拶をしに行こう
八月十五日
みんなに会いに行く
僕はそっと日記帳を閉じた
先代との記憶は殆ど無い
思い入れなんて無かったが、この日記帳からは彼が生きていた時のことを鮮明に思い描けた
静かに、引き出しの奥に日記帳を戻した