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#さのじん
自分夢の中
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コメント
1件
うわ、このエピソード、めっちゃ切ないですね…。同じ空を見上げてるのに、電話越しでしか本音を話せない距離感がリアルすぎて胸が締め付けられました。特に勇人の「仁人が離れて行ってる気がする」って言葉、あそこ核心ついてますよね。仁人の方も「核心には気づかれたくない」って思ってるのがまた——。互いに求め合ってるのにすれ違うもどかしさ、すごく丁寧に書かれてて、読み終わったあとも余韻が残りました。続き、すごく気になります。
〜想い〜 second
勇斗ver
『ほんとうはふたりでいっしょにいたい』
そう自覚してからだって俺たちの関係は変われない。ドラマの撮影が終わって、帰りの車の中。FMラジオから流れてくるのは聞き慣れたイントロ。こうして、M!LKの曲が生活している中でも聞こえてくるようになったのは、つい最近のこと。これまでのグループの活動の日々が脳裏に浮かんでくる。ここまで来れたのは5人がいたから。俺自身もM!LKのためだからこそ、ここまで頑張ってこれたのだと。
「次会えるのは3日後の撮影か…」
個人の仕事も増えて、スケジュールを合わせるのさえ難しくなってきた。メンバーに会えた時にだって、できる限りのM!LKの仕事を詰め込むので、たわいもない話も、取り止めなの無いじゃれ合いも、以前のように気軽に出来なくなってきていると実感している。それ以上に大人になった自分たちの生活が変わりつつあることもあるのかもしれない。
「俺、何もしらねぇな」
喉が渇いたような、枯れた呟き。最近1人になると、ふと、仁人が何をしているのか、何を考えているのか、気になって仕方がないことが増えた。きっと今までは、何となく知っていた彼の私生活も、本当に触れられなくなっているのだ。
「あー、ここで
ありがとう御座います」
ドアを開け、車から降りたら、心地よい風が吹きこんだ。ふっと、迷いが溶けそうな、そんな瞬間。空を見上げると都会の景色と混ざる夜空。綺麗だな、と思った。それと同時に感傷的になっていた。思わず、スマホの画面を見る。それと同時に彼に電話を掛けていた。
仁人ver
ラジオの収録が終わり、自宅にも近い距離であったこともあり、少し外の空気を吸おうと思って歩き始めた。今日は一段と過ごしやすい夜であると感じる。風が心地よく、空を見上げれば都会の中にも、明るい星空がよく見えている。
ここ数ヶ月の間にどんどん忙しくなったことで、勇斗との距離の取り方が分からなくなってしまった。以前から近いと思ってた距離が、急に怖くなった。甘い悪ふざけも、もうどうやって返せばいいのか分からなくなった。
でも、ひとつだけ言えるのは、M!LKという存在、佐野勇斗という存在が、もう自分の中からは消せないという事実。それだけ、支えられて、与えてもらっていたのだと。
少しして、響いたバイブ音。
こんな夜中にかけてくるのは、マネージャーではない。だとしたら…
「勇斗…?」
『あ、仁人…?』
求めていた声にびっくりするほど冷静に応える自分がいる。耳に響く低音は、くすぐったさを感じて、思わず肩をすくめた。まさか、勇斗のこと考えてた時に連絡くるなんて。
「…どうした?」
自分の動揺は見せたくなかった。こんな揺るぎを隠したかった。
『空見ててさ』
「空…」
勇斗の声にもう一度夜空を見上げる。この空を彼も見ているのか、と。そうしたら、急にまた胸が掴まれたような苦しさと、それと同時に共有できるものがある嬉しさで、気持ちが掻き乱されている。
『綺麗だなって』
「……たよ」
『え?』
「俺も……見てたよ、空」
思っていたより、掠れた声だった。電話越しの勇斗も、少し驚いた様子だった。同じことを考えてたのだと。そう考えたら、ちょっと擽ったい空気が流れた。
『ドラマ終わって、車で帰ってたとこ
降りたらさ…綺麗だったんだよ』
「俺も仕事終わって歩いてたよ
…同じこと思ってた」
電話での声のトーンがまた一つ下がった気がした。それは、耳に響く、勇斗の仕事では見せない、いつもの穏やかな呟き。ああ、そうだ。この声が好きなんだ。
『忙しくてさ…
仁人がさ…離れて行ってる気がしてる』
ドクンとまたひとつ鼓動が高鳴る。やっぱり、勇斗はこういう時にだって、芯の強さが滲み出る。俺にはできない、俺には言えない、俺自身が認められない。そんな言葉をすぐに口にする。
「何言ってるの、いつも通りだよ」
俺は隠せているのか。勇斗のこの言葉は、俺を昔からの仲間として、大好きなM!LKのリーダーとして、気にかけているだけなのだと。
『次の撮影の後さ、ちょっと話さねぇ?』
「…分かった」
勇斗が何を気にしているのか、何を俺に問うのかは、分からない。ただ自分の核心には絶対に気づかれたくない。勇斗の気遣いは、俺が求めている願いとは違うのだと。そう言い聞かせて、静かに通話を切ることしかできなかった。