テラーノベル
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6話
𝒈𝒐⤵︎ ︎
「うり…?」
じゃぱぱは、うりの悲痛な叫びと、その表情に驚き、呆然とうりを見つめていた。
うりは、反射的に手を振り払ったことを後悔しながらも、一歩、また一歩と後ずさる。
「じゃぱさん、ごめん…!俺に…俺に触っちゃダメなんだ…!」
震える声で懇願するようにそう言った、その時だった。
じゃぱぱの顔から、みるみるうちに血の気が引いていく。
その表情は、先ほどまでの穏やかなものとは全く違い、苦痛に歪んでいた。
「…っ、あ…、頭が…」
じゃぱぱは、こめかみを押さえ、ふらりと体を揺らした。
その目は、まるで何かに取り憑かれたかのように虚ろになっていく。
「じゃぱさん…!」
うりが手を伸ばそうとするが、彼の体は、まるで何かに阻まれたかのように動かなかった。
触れたら、さらに症状が悪化してしまうかもしれない。
たっつんと同じだ。
リーダーであるじゃぱぱが倒れてしまったら、このグループはどうなってしまう?
『メンバーに害がないなら、自分だけ犠牲になればいい』
その願いが、再び残酷な現実となってうりに突きつけられる。
「…う、り…、ごめ…、ちょっと、もう…」
じゃぱぱは、そう言い残し、ガクン、と膝から崩れ落ちた。
その体は、床に倒れ込む直前、まるで糸が切れた人形のように、うりの前から消えてしまった。
「…え?」
うりは、一瞬何が起きたのか理解できなかった。じゃぱぱがいた場所に、もう誰もいない。
たった今、確かにそこにいたはずの彼の姿が、嘘のように消え失せていたのだ。
そして、その日の夜。
のあが不思議そうな顔で、えとに話しかけていた。
「ねぇ、えとさん。今日、じゃぱぱさん見てないよね?」
「え?じゃっぴ?今日は元々、オフだったんじゃない?」
その言葉を聞いたうりの心臓は、氷のように冷たくなった。
じゃぱぱが砂のように消えた。
その日を境に、メンバーの日常から、じゃぱぱという存在は跡形もなく消え失せた。
「今日のじゃぱぱさん、なんか用事あるのかな?」
「いや、スケジュールは空いてたはずだよ」
「そういえば、じゃっぴ、昨日から見てなくない?」
「…え?昨日は普通にいたじゃん、リビングで一緒に話してたじゃんか」
そんな会話を耳にするたびに、うりの心は粉々に砕け散った。
メンバーの記憶から、じゃぱぱは少しずつ消え去っていた。
もはや彼がいたことすら、誰も覚えていなかった。
あれほど大笑いして、一緒にふざけ合っていたじゃぱぱが、まるで最初から存在しなかったかのように消えていく。
それは、うりが最も恐れていたことだった。
「俺の…俺のせいだ…」
誰にも聞こえない声で、うりはそう呟いた。
「俺が、俺が触れちゃったから…!俺が一人でどうにかしようとしたから…!」
絶望が、うりの心を覆い尽くしていく。
もう、彼の瞳に、かつての光はなかった。
ただただ、深い後悔と悲しみが、その瞳に宿っていた。
そして、その日の夜。
うりは、部屋の鏡の前に立ち尽くした。
左肩の黒い桜の紋様は、明らかに面積を増していた。
まるで、じゃぱぱの存在を吸収したかのように、その色はより深く、より濃い黒へと変わっていた。
『このままでは、皆から忘れられて、消えてしまう』
そう言った神主の言葉が、脳裏をよぎる。
しかし、もはやそんなことはどうでもよかった。
もう、誰かを傷つけるくらいなら、いっそのこと、自分なんか消えてしまえばいい。
そう思い、うりはもう、何もかも諦めていた。
じゃぱぱさん可哀想でごめん
🌸𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎
コメント
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続き楽しみに待ってます!