テラーノベル
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6話
𝒈𝒐⤵︎ ︎
「うり…?」
次の瞬間、じゃぱぱの顔が青ざめた。
「あ…っ、頭が…」
頭を抱え、うずくまるじゃぱぱ。
その顔は、たっつんが体調を崩した時と同じように真っ白だった。
俺のせいで。また、俺のせいで……。
「う、うり……? なんか、身体が…」
じゃぱぱの身体が、まるで砂のように、さらさらと崩れ始めた。
「嘘…っ、じゃぱさん…!」
俺は叫び、必死に手を伸ばす。
しかし、触れることさえできない。
触れれば、また同じことが起こる。
目の前で、じゃぱぱの身体が少しずつ、少しずつ消えていく。
「やだ…っ! 行かないで…っ!」
じゃぱぱさんは、痛みに耐えながら、俺に微笑みかけた。
声はもう出ていなかった。
でも、その口の形が、はっきりと俺に語りかけていた。
『だいじょうぶ』
最後まで、俺を心配してくれた。
最後まで、俺の心を気遣ってくれた。
リーダーとして、仲間として、いつでも俺たちを支えてくれたじゃぱぱが、俺の目の前で、完全に消えてしまった。
じゃぱぱがいた場所には、何も残っていなかった。
俺は、その場にへたり込み、地面に座り込む。
目からとめどなく涙が溢れ、床を濡らしていく。
「なんで…っ、なんでよ…!」
声が震えて、うまく言葉にならない。
「なんで……っ、俺の事、心配すんの……」
俺が、俺が悪いのに。
俺がこの呪いを隠したせいで。
俺がこの呪いにかかったせいで。
優しすぎるリーダーを、俺は自分の手で消してしまった。
誰にも言えない秘密を抱え、一人きりになった俺は、じゃぱぱが消えた場所で、ただただ泣き崩れることしかできなかった。
そして、その日の夜。
のあが不思議そうな顔で、えとに話しかけていた。
「ねぇ、えとさん。今日、じゃぱぱさん見てないよね?」
「え?じゃっぴ?今日は元々、オフだったんじゃない?」
その言葉を聞いたうりの心臓は、氷のように冷たくなった。
じゃぱぱが砂のように消えた。
その日を境に、メンバーの日常から、じゃぱぱという存在は跡形もなく消え失せた。
「今日のじゃぱぱさん、なんか用事あるのかな?」
「いや、スケジュールは空いてたはずだよ」
「そういえば、じゃっぴ、昨日から見てなくない?」
「…え?昨日は普通にいたじゃん、リビングで一緒に話してたじゃんか」
そんな会話を耳にするたびに、うりの心は粉々に砕け散った。
メンバーの記憶から、じゃぱぱは少しずつ消え去っていた。
もはや彼がいたことすら、誰も覚えていなかった。
あれほど大笑いして、一緒にふざけ合っていたじゃぱぱが、まるで最初から存在しなかったかのように消えていく。
それは、うりが最も恐れていたことだった。
「俺の…俺のせいだ…」
誰にも聞こえない声で、うりはそう呟いた。
「俺が、俺が触れちゃったから…!俺が一人でどうにかしようとしたから…!」
絶望が、うりの心を覆い尽くしていく。
もう、彼の瞳に、かつての光はなかった。
ただただ、深い後悔と悲しみが、その瞳に宿っていた。
そして、その日の夜。
うりは、部屋の鏡の前に立ち尽くした。
左肩の黒い桜の紋様は、明らかに面積を増していた。
まるで、じゃぱぱの存在を吸収したかのように、その色はより深く、より濃い黒へと変わっていた。
『このままでは、皆から忘れられて、消えてしまう』
そう言った神主の言葉が、脳裏をよぎる。
しかし、もはやそんなことはどうでもよかった。
もう、誰かを傷つけるくらいなら、いっそのこと、自分なんか消えてしまえばいい。
そう思い、うりはもう、何もかも諦めていた。
じゃぱぱさん可哀想でごめん
🌸𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎
コメント
2件
続き楽しみに待ってます!