テラーノベル
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7話
⚠うりさん泣きます⚠
𝒈𝒐⤵︎ ︎
じゃぱぱが消えてから、数日が経った。
リビングでは、メンバーがじゃぱぱがいたことなど最初から知らなかったかのように、いつもと変わらない日常を送っている。
その光景を見るたびに、うりの心はひび割れていく。
(一人で抱え込もうとしたから、こうなったんだ…)
後悔と自責の念が、彼を深く、暗い淵へと引きずり込んでいく。
夜、誰もいないことを確認して、うりは静かにバスルームへ向かった。
湯船に身を沈めれば、一時的にでもこの体の重さや、胸を締め付ける痛みを忘れられるかもしれない。
服を脱ぎ、鏡の前に立つ。
左肩から背中にかけて、黒い桜の紋様は、さらにその枝を伸ばし、彼の肌を覆い尽くそうとしていた。
まるで、漆黒の絵の具をぶちまけられたかのようだ。
その光景に、うりはもう何も感じなかった。どうせ、消えてしまうのだ。
この世から。
みんなの記憶から。
そう思えば、もう恐怖はなかった。
しかし、ふと、視線が右腹部に止まった。
そこにも、同じ黒い桜の痣があった。
「…なんで…」
うりの瞳に、再び動揺の色が戻る。
左肩とは違う、右腹部。
触れてみると、そこにもうっすらと、しかし確実に、黒い桜の枝が根を下ろしていた。
絶望は、新たな恐怖となってうりに襲いかかった。
(自分の身体が、こんなにも汚されていっている…)
そう思った時、彼は、もうどうしようもないほどの絶望に包まれた。
(俺、もう、助からないのかな…)
誰に聞かせるでもない、ただの独り言が、バスルームに虚しく響いた。
湯船の中で、右腹部にできた新たな黒い桜の紋様を見てしまったうりは、シャワーも浴びずにバスルームを出た。
体が冷えていくのも、もうどうでもよかった。
自室に戻り、扉を閉め、鍵をかける。
外では、他のメンバーの楽しそうな声が聞こえてくる。
「もー、るなそこずるいってー!」
「いや、るなならいいんです!」
「てか、たっつんさん大丈夫だったんですか?」
「ああ、もう平気やで!なんか、一晩寝たら治ったわ!」
たっつんの声が聞こえた瞬間、うりの膝から力が抜けた。
床に座り込み、両手で顔を覆う。
(呪いが伝染したはずなのに、なんで…?)
そうだ。
たっつんは、じゃぱぱとは違う。
じゃぱぱの時は、俺の体に触れた後、すぐに頭痛を訴え始めた。
そして、俺の肩の桜が広がった。
(じゃあ、たっつんの時は…?)
たっつんが呪いに侵されることはなく、俺の右腹部に新たな桜ができた。
つまり、俺の呪いは、もう俺自身を蝕み始めているのかもしれない。
他の誰かを巻き込むまでもなく、俺自身の存在を消し去ろうとしているのかもしれない。
「ぅ、く……っ…」
声が漏れないように、口元を両手で覆う。
肩を震わせ、必死に嗚咽をこらえる。
「う……ぅ、うぁ……」
嗚咽が、喉の奥で詰まる。
「なんで…、なんで俺だけ……っ、みんなと一緒に、笑っていたかっただけなのに……!」
必死に声を殺そうとすればするほど、喉が締め付けられ、うめき声に変わっていく。
「ふ、う、う…っ…」
嗚咽を抑えるために、震える体を丸める。
「もう……っ、もうやだ…、俺、どうすればいいんだよ……!」
静かな部屋に響くのは、誰にも聞かれることのない、うりの悲痛な泣き声だけだった。
🌸𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎
コメント
2件
うりりんとじゃぱぱ助けられないのかな? 続き楽しみに待ってます!