テラーノベル
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一限目、魔法史。
エースはほとんどノートを取っていなかった。黒板を見ることもなく、
ずっと頭を押さえている。
時々、指に力を込める仕草が見えた。
頭痛が強いときの、我慢する動きだ。
「……っはぁ、いっ、た…」
たまにうめき声が聞こえる。
それでもエースは席を立たなかった。
終わりの鐘が鳴ったとき、デュースはほっとした。
少なくとも、一限目は耐え切った。
だが、その安堵はすぐに消える。
次は、体力育成だった。
更衣室へ向かう廊下。
エースの歩き方は、明らかにおかしかった。真っ直ぐ歩いているつもりなのに、体が微妙に左右に揺れている。
顔は青白く、唇の色も薄い。
デュースは無言で、エースの荷物を全部持った。さりげなく、肩に手を回す。
「……今日は見学でいいだろ」
「やだ」
即答だった。
「今からでも保健室行け」
「やだっつってんでしょ、
二限目も受ける。」
強がりだと分かっている。
それでも、エースの目には引かない意志があった。
着替えの最中、デュースは気づく。
エースの運動着は、きっちりと着られていた。
いつものように崩していない。
余裕がないんだな。
それだけで、今日の状態がどれほど悪いかが分かった。
「……」
声を掛けようとして、やめた。
だってここで言っても、エースは聞かない
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