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組み敷くように亜佑美を見下ろす朝陽の表情は、いつもの優しい彼とは別人のよう。
(朝陽くんって……こんな顔もするんだ……)
穏やかな笑みは消え、ただ真っ直ぐに亜佑美だけを見つめる瞳。
その熱を帯びた眼差しに亜佑美の心臓は大きく跳ねる。
一方の朝陽も、見下ろした先にいる亜佑美がいつもよりもずっと艶やかで、更にはバスローブの隙間から無防備に覗く白い素肌に胸の鼓動は速まり、大切にしたいという思いは本物なのに亜佑美を前にすると理性が揺らぎ、衝動に飲まれてしまいそうな自分を抑えるのに必死だった。
「……朝陽くん?」
ただ見つめられるだけというのも恥ずかしいらしい亜佑美が朝陽の名前を呼ぶと、朝陽は覚悟を決めたように亜佑美の名前を呼んだ。
「亜佑美さん」
「…………」
そしてそのまま再び唇を重ね合い、キスをする。
キスするだけでも鼓動は騒がしく、ドキドキが止まらない二人。
何度も何度も繰り返される口付けに亜佑美の身体からは力が抜けていく。
(……朝陽くん、キス……上手くなってる……)
そんなことを思いながらも朝陽のペースに飲まれていく亜佑美。
互いの体温が上がっていく中、一旦唇を離した朝陽はゆっくりとバスローブの帯を解いて静かに肩から滑らせた。
露わになったのは鍛え上げられた逞しい身体。
引き締まった胸板、無駄のない筋肉のラインが視界いっぱいに飛び込み、亜佑美は思わず息を呑んだ。
「…………っ」
目を逸らしたいのに逸らせず、鼓動が一気に速まって耳まで熱を帯びていく。
こんなにも男らしい姿を目の当たりにしたのは初めてで、胸の奥は余計に落ち着かない。
けれど次の瞬間、朝陽がどこか落ち着かない様子で視線を彷徨わせていることに亜佑美が気づいた。
「……その、……」
何か言いかけては口を噤み、伸ばしかけた手が途中で止まる。
どうすればいいのか分からず戸惑っているのだと察した亜佑美は熱くなる頬を隠すように視線を伏せ、
「…………」
自らバスローブの帯に手を掛けると、恥ずかしさを押し隠すようにゆっくりと結び目を解いていった。
亜佑美がバスローブの帯を解くと前がゆっくりとはだけて素肌が覗く。
その一瞬、朝陽は息を呑んだ。
そんな朝陽の視線を受け止めながら亜佑美は静かにバスローブを脱いでいく。
そして、お互いに下着姿になった二人は照れ隠しのように視線を合わせては逸らし、どこを見ればいいのか分からず落ち着かない空気が漂う中、先に口を開いたのは亜佑美の方だった。
「……そんなに見ないで……その、恥ずかしいから……」
「す、すみません! でも、その……凄く、綺麗で……」
朝陽のその言葉に頬を赤く染めた亜佑美は照れたように目を伏せるも、少しだけ勇気を振り絞るように朝陽を見つめ返す。
「……っ、あ、ありがとう……。朝陽くんも、身体、凄く引き締まってて、男の子らしくて格好良いよ……」
「あ、ありがとうございます」
お互いに照れながら相手の身体を褒め合うと、ぎこちないやり取りが何だか可笑しくなって顔を見合わせてくすりと笑い合う。
笑い合ったことで少しだけ緊張がほぐれたものの、亜佑美の胸は未だ落ち着かなかった。
普段なら白やピンクといった淡い色の下着を選ぶことが多いけれど、今日は違う。
今日という特別な日の為に何を身につけるべきか悩んだ末、SNSで、「男性は黒い下着に大人っぽさや色気を感じる」という特集を見つけ、少しでも大人の女性に見てもらえたらという思いから思い切って黒い下着を選んだのだ。
だからこそ、朝陽がどう思っているのか気になって仕方がない。
けれど自分から、「どうかな?」と尋ねる勇気はなく、恥ずかしさから言葉を飲み込んでしまう。
そんな沈黙の中、朝陽が遠慮がちに口を開いた。
「……その、こういうこと言っていいのか分からないんですけど……」
一度言葉を区切ると照れたように視線を逸らしながら続ける。
「亜佑美さんのその下着姿……凄く、そそられます……。普段は可愛いイメージだから、その、ギャップがあるっていうか……なんて言うか……」
思いも寄らない言葉に亜佑美の頬は一気に熱を帯びる。
勇気を出して選んだ黒い下着をそんなふうに受け止めてくれたことが嬉しくて、恥ずかしさの中にも小さな喜びが胸いっぱいに広がっていた。
「ありがとう。そう言ってもらえて安心した……朝陽くんに見てもらう為に、選んだから……」
照れくさそうに微笑む亜佑美の言葉に朝陽は目を丸くした。
「……俺の為に?」
「そうだよ。こんな風に下着のことまで気にしたの、朝陽くんが初めてなの……だから」
その一言だけで朝陽の胸はいっぱいになる。
「嬉しいです……俺の為っていうのが、すごく」
素直な喜びを口にすると亜佑美は少しだけ視線を泳がせ、小さく息をついた。
「……本当はね、バスローブの中にブラジャーを着けるか迷ったの。でも、着けてないのも何だか恥ずかしくて……」
そう言って頬を染めると、意を決したように朝陽を見上げ、
「……その、これは朝陽くんが、外してくれる?」
「え!? お、俺が……ですか?」
突然のお願いに朝陽は思わず声を裏返らせた。
コメント
1件
うわあ、第39話読み終えたよ……。もう、二人のドキドキがこっちまで伝わってきて、胸が苦しくなった(笑)。朝陽くんのギャップがすごいね。普段あんなに優しいのに、亜佑美さんへの熱い眼差しがもう……。あと、亜佑美さんが「朝陽くんの為に黒い下着を選んだ」って告白するところ、めちゃくちゃ可愛くて尊かった。二人とも照れながら相手を気遣ってるのが伝わってきて、そのぎこちなさが逆にリアルで大好き。続きがすごく気になる……!
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蒼乃 月
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瑠璃マリコ
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