帰り際、凌先輩の姿を探したけれど、どこにも見当たらなかった。
小谷先生が「あいつは先に駐車場に行ったぞ。……察してやれ」と少しだけ声を落として教えてくれた。
今日は、遥と一緒に帰ろう。
でも、凌先輩から逃げたままにはしたくない。
(……凌先輩には、ちゃんと別の日に伝えよう。私の今の気持ちを)
数日後。
私は、放課後の誰もいない教室に凌先輩を呼び出した。
窓から差し込む夕日が、オレンジ色に室内を染めている。
「……わざわざ呼び出してくれるなんて、ちょっと期待しちゃうな」
扉を開けて入ってきた凌先輩は、あの日と変わらない、完璧な「光」の微笑みを浮かべていた。
でも、私はもう、その光に目を細めるだけの女の子じゃない。
「凌先輩。……お返事を、しに来ました」






