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注意事項
〇剣の打ち合い、及びそれに伴う暴力表現。
〇戦闘描写の練習で書いたものの、心情描写の方が多いかもです。
〇友情や努力、成長をテーマに戦闘シーンを書きました。
〇他作品とは一切関係ありません。
〇作者の完全オリジナル作品です。実在する人物、団体、歴史とは何ら関係ありません。
〇剣術の模擬戦の光景を描いています。
〇今後戦闘シーンを書く時に作者が参考にする可能性があります。
以上の事をご理解の上、本作品をお楽しみ下さい。
朝露の滴る草原の中、2人は木剣を静かに構えた。
互いの顔を見つめ合いながら、ジリジリと少しずつ距離を縮め合う。
先に睨み合いを辞めたのは朱だ。
右足を少し引いた。
(――これは、朱の攻撃前の癖だ)
俺の読み通り、勢いよく土煙を上げながら音を立てながら踏み込む。その勢いのまま、俺の方へ真っ直ぐに飛び出した。
そんな勢いに、朝露も巻き上がった。
重心は以前の模擬戦よりも低く、安定している。そのおかげか、剣先は一切のブレも迷いも無く、確実に俺の首元を狙っている。
首の近くまで、もう朱の剣先が届いている。
(−−速い)
以前よりも幾分も速くなった朱の動きに少々驚いた。だが、俺よりは遅い。
耳元まで朱が木剣で風を切り裂く音が届く。
だが、そんな朱の木剣が俺に当る事は無い。
俺は膝を曲げ、今まで視界にあった朱の表情は頭上に消えた。
木剣同士がぶつかり合う、鈍い音が草原に響く。
朱の剣は以前よりも重さも増していた。
頭上で朱の木剣に俺の木剣を当てたが、それはなかなかのものだった。
朱はその勢いのまま、木剣を振り下ろし俺から一本取るつもりだろう。だが、俺がそんな事をさせる訳がない。
俺は手首を捻り、靭やかに音もなく木剣を滑らせる。そして、鍔部分を滑らせた勢いを乗せて押した。
(弱点は変わっていないな)
そんな俺の検討は的を射たようで、朱の動作に少しばかりの隙ができた。
俺がそんな隙を見逃す事は無い。
思わず口角が上がった。
(一本、俺が貰う)
持ち前の素早さを生かした、一番得意な突きの攻撃。
驚きで隙のできた手元に胸元周辺。俺は胸、特に心臓のある一点を目指して突きの攻撃の動作を繰り出す。
素早く、俊敏に。
だと言うのに、朱は草を蹴った。そして、俺の突きよりも速く、後ろへと後退した。
「お得意の突きを避けられてやんの〜!」
間合いを置いた奥で、朱が声を上げる。俺を馬鹿にするような、挑発するような、クソ馬鹿野郎の笑みを浮かべて。
「お前こそ、癖も弱点も変わってねぇだろ!」
余りの不快さに、ついつい言い返してしまう。眉間にいくつもシワが寄ったのが自分でもわかる。
(チッ、乗せられた。冷静さを欠くな、蒼!)
自分自身へ叱責し、もう一度朱へと視線を移す。
朱の呼吸は少し荒くなっている。その表情は、馬鹿みたいに楽しげだ。だがそれは、俺にも言える事だ。
(朱と戦うのは楽しくて仕方が無いっ!)
互いに嬉々とした表情を浮かべる。
朱はその表情のまま、愉しげに木剣を構え直した。そして俺は、一呼吸置く。冷静さは取り戻したが、楽しさだけはどうにも拭えない。高揚したままに、俺も木剣を構え直した。
互いに見つめ合い、愉しげに笑みを浮かべる。
朱と俺はほぼ同時に土を蹴る。
砂ぼこりが舞い上がり、朝露が飛び散る。2人が居たはずの場所には残像だけが残り、木剣の強くぶつかる音だけが先に響く。
朱の力が以前より増したせいか、腕に電気が走るようだ。だが、そんなもので俺はこの木剣を手放したりしない。
(次は、木剣を滑らせて胴打ちだ)
一拍思考し、俺は行動に移す。
移すはずだったのに、朱が俺よりも先に動いた。
木剣をハチャメチャに回して、俺の狙い定めていた部位を守っている。
(これだから感覚で動く馬鹿は嫌いなんだ)
朱の計算外の行動に少々ストレスを感じたが、これでこそ俺の親友(ライバル)だ。
これなら俺も、守りを捨てて攻めに向かうしかない。
俺は一番得意な突きの攻撃の構えを取る。
(朱の一瞬のブレを見逃すな)
剣先と朱の喉元が一直線に向かう。
朱は余裕そうな、愉しげな満面の笑みを浮かべたまま、野生的とでも言えるような動きをして守りを固めている。
(今だっ!)
朱の剣先が微かに揺らいだその瞬間、俺を足を動かした。
草原を蹴りあげ、土が凹む。
鋭い木剣の剣先は、見事に朱の剣身の中央辺りに打つかった。
骨が揺れ、ヒビでも入りそうなほどの振動が伝わる。木剣からは微かに火花が散っている。
(もう少し押せばいける)
そう俺が判断した時だった。
小枝が折れたかのように、俺と朱の木剣の中央から先が消えた。
いや、消えたんじゃない。木剣が折れて宙を回転し、背後の草に突き刺さったのだ。
「「あ」」
2人の声が思わず重なる。両者とも、木剣の耐久値など頭の片隅にも無かったのだ。