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♪〜〜〜
美しい歌声が、静かな海から響いた
なぜだろう、わからないが
運命だと思った
だから、僕は、海へと走り出した
声の主を知るために
「はぁっ、はっ」
しばらく走ると、海辺の岩に座る女性の姿が見えた
背中ほどの緑がかった灰色の癖毛
「あのっ」
驚いたように振り向いた彼女は、アメジストのような瞳を見開き、海へ潜った
「え、待っ」
今は冬
海なんて入ったら死んでしまう
しかも彼女は服を着ていないようだった
急いで海の底を覗き込むと
下半身が魚のようになった彼女らしき姿が見えた
「…ハハ」
自然と笑みが溢れた
最初は、ただこの歌声の正体が知りたかった
だからここに来た
それなのに、僕が見たものはなんだ
上半身が人間で、下半身が魚だった
…なんて面白い
彼女1人だけなんてことはないはずだ
きっと仲間がいる
どうやって交配をする?
主食はなんだ?
彼女は海で、どういった存在なんだ
今まで一度も聞いたことがない
彼女も言葉を使えるのだろうか
疑問が次々と出てくる
知りたい
上半身が人で、下半身が魚
僕は彼女に
『人魚』という種族名を与えた
これから
人魚の研究謙
彼女を追う旅を始めようと思う