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ある朝のこと。
ピンポーン
ドンドンドン!
「な、何!?」
家の扉を強く叩く音。何度もなるインターホンの音。
モニターを見ると、知らない女の人。
お母さんが慌てて玄関に行った。
私はその様子をこっそりと見る。
「夢城咲いる?」「あ、あの、どちら様ですか?」「夢城咲いるの?いないの?答えて。」「どちら様ですか?警察呼びますよ?」「警察はこっちが呼ぶ方じゃないの!?夢城咲はルナを盗んだの!最低よ!」
母さんが顔に冷や汗を流してるすぐ先で、知らない女の人が声を荒げている。夢城咲は、おばあちゃんの名前だ。
「夢城咲は、ルナを勝手に盗んで、この家でのほほんと世話してんでしょ!夢城咲がいないならルナを返して!ルナを返して!返して!」
どういうこと?意味がわからない。ルナっていうのは誰のこと?
女の人が荒げた声を出して「ルナを返せ!」と暴れて家の中に入ろうとするのを、お母さんがなんとかおさえている。お母さんの体は今にも震えそうだ。
「夢城咲は、母さんは、今体調を崩して入院しています。帰ってもらえますか。」
お母さんはきっぱりとした声で言った。
「は…?じゃあ夢城明希は!?」
背筋が凍る。
「あの!帰ってください!」「」なんの騒ぎです?」
見ると、警察の人が立っていた。
あとから聞いたのだが、近所の人が迷惑な騒ぎになっていたので、警察に連絡したのだという。
女の人は交番に連れて行かれた。
ぎろりとこの家を睨みつけたまま。
何がなんだか分からなくて…どういう事だったのか分からなくて。朝ごはんはほとんど食べることができなかった。
「明希ちゃん?おーい聞こえる?」「うわびっくりしたー!天音どうしたの?」「どうしたのって…放送の時間じゃない?」
天音に時計を指さされる。
「うわっ、やばいそうじゃん!行ってくる~!」「……どうしたのかな?」
家に帰ると、お母さんがため息をつきながらぽつりとつぶやいた。
「それにしても、朝のは何だったのかしら……」「怖いよね〜。」「ルナってのも意味わからないし………」「ミャ〜オ」
ナグが鳴き声をあげてやってきた。
「よしよ〜し。……あっ。」「どうしたの?」「……あのさ、今日の朝来た人って…。」
その時はほんのちいさな思いつきだったけど。
私は思わず家を飛び出した。
「どこ行くの!?」「交番!帰るとき連絡するから!」私は走って市役所に行った。
なんだか自首しに行くみたいな感じだったけど、勇気を出して交番の中に入った。
「どうしましたか?」「あの…今朝、こちらに通報があったと思うんですけど……合ってます?」「はい。確かに通報がありました。」「その時に連れて行かれた女の人って、どこにいるかわかりました?」「すみません、目的は?」「夢城家のものです。朝我が家に訪ねた女の人とお話をしたいんです。」
なぜか話はするりと通り、朝の人を交番に呼んでもらい、話をすることにした。
ちょっと緊張。