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「…お前のレベル、一体いつ上がるんだ?」
フードを被った白髪の男性、「D」が口を開く
「そうだな、俺等はとっくにレベル20なのにな。」
澄んだ青い眼をした男子、「B」も言う。
俺のスキルは、「零”~ZERO~”」。一見どっかのチート能力みたいな気がするが、そんな事はない。
それは、武器レベルやマスタリーレベルを含む自身のレベルを「0」に固定するという、外れスキルだ。
この世界にはREVERSEという、スキルを引き直す機能もあるが、それにはマスタリーレベルが20以上でなければならない。
つまり、このスキルを持ってしまったが最後、人生負け組なんだ。
…そういう不幸が重なり…。
「…Z。お前もういいよ。」
「は?」
余にも唐突過ぎる発言だった。
そして、その日のうちに俺はメンバーを脱退した。
数年後…
俺は所謂ホームレスになった。
手元にあるのは、紙屑と20円程度の銅貨。
其れで、俺はガムを買うことにした。
久々に食べたガムは、とても美味しかった。
…依然として、俺のステータスは0で埋まってる。
HP以外は0か1。
HPも10しかない。
この世界で生きていくのは、不可能だろう。
そう思った矢先。
ー「スキル『零』。MASTER『壱』。」ー
機械的な音声が聞こえた。
周りにはそのような音声を聞いたものは居ない。
まさかとは思うが…。
そうして、俺はとある事をやって見ることにした。
「№1」
そう唱えると、一瞬にして力が湧いてくる。
ステータスを見てみると、HPを除く全ての値が1に代わっていた。
初めて、レベルが上がった。
其れだけで、嬉しかった。