滉斗『なんですか……それ、、』
元貴のお父さんーー清宗さんの言葉が蘇る。
ーー元貴の、過去の話。若井くんには、知ってもらいたい。ーー
元貴の過去って、、何か特別なことでもあったか、?いや、元貴の話を聞く限りではそんな大したことはなかったはず。
でも、なんで……
清宗『元貴な……中学生の時、あの子鬱で学校行けてないんだ』
息を呑む。なんで、?元貴が?鬱、?
頭が真っ白になって、何も考えられなくなる。
清宗『妻が亡くなってから、元貴は大人しくなった。亡くなる前は元気で明るくて、、活発で……ピアスなんて開ける子じゃなかった、』
清宗『でも中学に入ってから、、親のことで馬鹿にされることが多くなったみたいで、部屋から一歩も出なくなった』
声が出ない。何か反応しないといけないのに、動揺と不安が喉の奥につかえて言葉が出なくなる。
なんで、なんで先に言ってくれなかった、?
清宗『ご飯も食べないし部屋からも出ない。そんな日が続いて、元貴は高校生になった。元々勉強が出来ない子じゃなかったから、家庭教師のおかげで入れる学校に入れた。』
清宗『正直、高校でも上手くやっていけるか不安だった。でも、あの子が自分から“もう一回学校に行きたい”、“ちゃんと勉強したい”って言ったんだ。』
滉斗『……っ、』
胸が痛い。なんで、先に気づけなかった、?元貴の裏に隠された事実に、なんで気づけなかった、?
清宗『高校の入学式の後、元貴はピアスを開けた。ピアスを開けたいって言われた時は驚いたけど、元貴が“これ以上馬鹿にされたくない”、“弱い人間じゃなくて、強い人間になりたい”って……了承するしかないだろ?笑 そんなん言われたら…』
清宗『時々休みながら高校に通って、1ヶ月が経った頃、元貴に聞いたんだ。高校はどうだ?って……そしたら、“楽しい”って、、“クラスの委員長がうるさい”って、、笑』
清宗さんの目に涙が溜まる。
うるさいってなんだよ…なんで、彼奴は俺に言わなかった、?言いたくなかった、?
俺だったら、彼奴の埋まらない胸の穴だって、胸の痛みだって分かち合えるし、理解できる。
滉斗『……なんで、元貴は俺に言ってくれなかったんですか……』
清宗『……』
滉斗『俺なら元貴の状況だって、気持ちだって……全部、受け止められる。でも、なんで………』
目の奥がじわっと熱くなる。初めから元貴の側に寄り添ってあげられなかった自分が、元貴の埋まらない胸の穴に気づけなかった自分が悔しい。
清宗『………多分、若井くんには知られたくなかったんだろうな……』
滉斗『……知られたくなかったって……なんで、そんな……っ』
声が震える。自分でもどうして泣きそうになっているのか分からない。ただ、胸の奥が焼けるみたいに痛い。
清宗『……元貴は、優しいからな。若井くんに心配かけたくなかったんだと思う、』
滉斗『そんなの……勝手だろ……』
拳を握る。爪が手のひらに食い込むくらい強く。悔しくて、情けなくて、怒りすら湧いてくる。
滉斗『勝手に隠して……勝手に一人で抱え込んで……っ! 俺がどんな気持ちで隣にいたと思ってるんだよ……!』
声が少し上ずって、喉が焼ける。けれど涙だけはどうしても溢したくなかった。
清宗さんが何か言いかけて、結局言葉を飲み込んだ。重たい沈黙が部屋を包む。
滉斗『……俺、彼奴が笑ってるの見て、安心してたんですよ…っ、何も問題ないって、本気で思ってた。……俺、何も知らずに彼奴に……』
口の中が苦い。悔しさと無力感がぐちゃぐちゃに混ざって、息が詰まる。
清宗『……元貴が笑えるようになったのは、若井くんのおかげだと思ってるよ。あの子、本当は……高校に入っても、自分に自信なんて持てなかった。でも、“友達ができた”って嬉しそうに言ってたんだ。』
視界が滲む。
滉斗『もっと早く気づけてたら……もっとちゃんと向き合えてたら……辛かったこと、少しは減らせたのかもしれないのに……』
沈黙。
清宗さんは静かに、俺の言葉を受け止めるように頷いた。
清宗『……きっと、若井くんがいたから、元貴は“もう一度学校に行きたい”って言えたんだと思う。あの子、強がりだけど、本当は人が好きなんだ。』
滉斗『……強がり……』
小さく笑って、すぐに俯く。
滉斗『俺……元貴の知らない一面だって、気付いたって思ってたのに……全然何も分かってなかった、』
手のひらを見る。小さく震えていた。
滉斗『……ちゃんと話したいです、元貴の言葉で、ちゃんと聞きたい。俺がどんな顔しても、どんな言葉を返しても……逃げないで、向き合ってほしい』
清宗『……きっと、元貴もそう思ってる。』
滉斗は目を閉じた。胸の奥に溜まった痛みが、少しずつ熱に変わっていく。
悔しさも、後悔も、全部抱えたままでいい。
元貴の“痛み”に、真正面から触れたい。
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このお話は理解し難そうだなぁ…
若井さんは、元貴さんが何も言わずに隠していた自分の過去(辛かったこと・学校自体がしんどかったこと)を正直に打ち明けてくれなかったこと、元貴さんの痛みに気付けなかったこと、元貴さんの胸に空いた穴を掘り返すような発言(授業に出ろなど)をして(言って)しまったことを後悔し、悔しく思っているのです
次回は若井さんが元貴さんに直接聞くお話になります
皆様にとって予想外のことが起きるのではないかなと私は考えています
ぜひ楽しみに待っていただければ幸いです🙇🏻♀️
きゃあ蜘蛛出た最悪ぅ…(?)
コメント
8件
誰も悪くないんだろうなぁって思います…。言われないと絶対に分からない相手のことなんて少なからずあるし、omrさんがwkiさんのことが大好きという事実からわかるように、本人からしたら全然救われてたんでしょうね…🥹 結局は「向き合う」っていう選択をしたことが大事で、それをしっかりしてくれる子を見抜いたお父さんも素晴らしいですし、もう全ての登場人物に大切な役割がありますね…😭💗
ん…むずかしいねぇ 人って言わないとずっとわかんないからなぁ… わたしも大事な人には強がっちゃうから 大森さんの気持ちわかる…😭 ちゃんと二人で話し合ってほしいなぁとおもいましたわたしは ふふ初コメながすぎですね
初めまして、これまで一気見してきました!大森さんの過去……… 若井さぁんもやっぱ気づくことが出来なかった後悔……… ちゃんと2人で話て自分たちの事をしっかり分かりあって欲しいなぁ~ って思いました!改めて初コメ失礼します!