特殊刑事課はFREEである。
いつ出勤してもいい、ロケランなんていつものこと。C4での強盗対応に上司を殴って殺したり。
《特殊刑事課だから許される》
皆、そう思っている。もちろん特殊刑事課つぼ浦匠もそう思っている。
しかし、特殊刑事課も人間である。悲しかったり、辛かったり、楽しかったり。色々なことが起きるだろう。
そう、人間だから…………
(確定だな、ちくしょう)
この俺、つぼ浦匠は風邪を引いたらしい。普通は風邪の場合は出勤なんてしないはず。
だが、俺は特殊刑事課。普通じゃない、つまりはエリート。
エリートだから風邪でも出勤しようと思う。別に咳なんて出てないし、ただだるいだけだからイケるだろう。
「ん゛んっ」
『特殊刑事課つぼ浦匠、ON DUTY!!!!』
『おはようつぼつぼ!』
『ナイスデューティー』
警察はどうやら少ないらしい。
(キャップに署長、イサセンか)
バレたら色々と面倒なことになるだろう。特に署長なんて「何で出勤したんだ」と圧をかけてくるに違いない。
とりあえず風邪薬は飲んだし、ちゃんとご飯も水分もとれている。
あ、コーラはさすがにダメだからちゃんと水を飲んでるぞ。
「つぼつぼ、おはよう!」
「おはようございますキャップ」
「これをあげよう。ロケランの弾だ、色々あって署長に貰った」
「ありがとうございます」
そう言うと、キャップは首を傾げて何やら考え事をしているようだ。
「つぼつぼ、体調でも悪いのか?」
「何でですか、元気ですよ」
「いつもなら「どうやって署長から貰ったんですか」って言うだろう?」
「過去の俺より今の俺の方が成長してますから、そんな子供みたいなこと言いませんよ」
「子供ではないと思うが、100点だ」
ありがとうございます、と一言言ってスマッシュに向かう。
「バレるところだったぜ、」
するとコンビニ強盗の通知。
「……向かう、かァ」
『このコンビニ強盗向かいます』
『つぼつぼ、私も向かうぞ』
署長か、そういえば今日会ってないや。
『わかりました』
少し冷や汗をたらしながら、パトカーに乗り込む。正直頭も痛いしからだが怠いが…。
「犯人いるか?」
「いるぞー」
どうやら署長が先に着いて、犯人と話しているようだった。
はぁ、はぁと息が切れる。汗をアロハシャツで拭い、2人の会話に乱入する。
「署長、犯人誰でした?」
「おお、つぼつぼおはよう。犯人はハクナツメだ」
「つぼ浦じゃねぇか!」
あからさまに嫌そう。そりゃいつもハクナツメとは強盗で会うけどよ。
「解放条件は?」
「んー、じゃあ1分間アタック禁止!」
「わかった!」
(きつ、)
心臓の音が聞こえる。どく、どくとはやい鼓動を鳴らして。
「30分からアタOK!」
「待て~ハクナツメー!」
「署長!事故らせますよー?」
「もうお前の署長じゃない!」
「…確かに……」
(頭に響くなぁ…)
「…つぼつぼ?」
「へ、」
何故か署長に声をかけられた。
今は運転、チェイス中だと言うのに。何故だろうか?もしかしたら、バレたのだろうか。
「あー、そのな…変、だぞ?」
「へん、?」
「…後で話す」
こりゃバレたか、ちくしょう。できるだけ返事もしてたはずなんだが。
『アタックOK!』
「うわぁ゛あ!!やばい!!」
「つぼつぼ!ニトロ__ッ」
(苦しい…痛い…………、!!!!)
強い頭の痛み。からだの怠さ。そして、風邪特有の不快感。
このトリプルパンチはさすがにキツかった。
「ッ、くそ…!!つぼつぼ!」
「っ、大丈夫です」
「今はいい。本署に戻るぞ」
ああ、迷惑かけちゃったな。俺のせいでハクナツメも逃がしたし。しかも心配をかけてしまった。
「俺のパトカーは押収したから、つぼつぼのパトカー借りるぞ」
姫抱きをされ、パトカーに乗せられる。署長は酷く焦っていた。いつもは一人称が私のはずなのに、俺になっているしな。
まるでお父さんのように、「えーと」と何回も呟いている。
__意識が覚醒する。気付かぬうちに寝落ちしていたようだ。
「つぼつぼ、額触るぞ」
ひや、
「つめた、」
「あっつ…!?」
『ロスサントスの太陽、出勤!』
『沈めー』
『おはよう!』
あれ、今何時だ?てかここどこだ…?
「いま、何時ですか…?どこ、…?」
「ん?まだ10分しかたっていないぞ。ここは本署のお前の家だな。実は今医療崩壊中らしくて、病院には行けないんだ。ごめんな 」
「…迷惑かけてすみません。もう大丈夫なので」
「つぼつぼ」
(つらい、痛い)
「迷惑なんかじゃないぞ?お前だって人間なんだから風邪だって引くだろう」
(弱くない、俺は強い、)
「……つぼつぼ、たまには弱音吐いたっていいんだからな?」
(弱く、ない)
「俺らは、つぼ浦匠が必要だ」
ふと署長の顔を見ると、少し涙をうかべていた。
「……ちょ、っと…寝てもいいですか」
「!ああ!」
「ありがとうございます…、」
「おやすみ、つぼつぼ」
「お、起きた。つぼ浦おはよ」
「おはよう!つぼ浦」
「皇帝先輩、アオセン?」
「うん、そうだよ~。はい薬」
そう言ってアオセンに薬を渡される。
時計を見ると、今は9時。一時間ほど経っていた。
「…っす」
薬を飲んで、ふぅ…と声を漏らす。
「つぼ浦、無理してない?」
「してたかもっすね」
「…素直だねぇ?ごめんけどユニオンだから行くね」
「はい、すみません」
「休めよ!つぼ浦」
「うっす」
そうだよな、みんな忙しい。 俺なんかに構ってる時間なんてないんだ。
「あとつぼーら。めっちゃ心配してくれてた人来るよ」
「はい…?」
誰だろう、署長か?
「__つぼつぼ」
「キャップ、お疲れ様です」
キャップだった。めっちゃ心配した?一番しなさそうだけど。
(あたまいたいな、)
「…無理、したのか」
「まぁ、そうっすね」
「0点だ」
「………はい」
それは、失望したという意味なのだろうか。少し水を飲み、キャップの目を見る。
「心配したんだぞ」
「何で泣きそうなんですか?」
「お前は必要なんだ。無理されちゃ困るんだ」
「……そうなんすね」
「知らないのか、お前は愛されている」
「ここな何てお前のことをヒーローだと言っていた」
「らだおくんだって、大型のときに強盗を対応してくれて助かっていると」
「明るいヒーローなんだ、お前は」
「特殊刑事課の方針は何だ」
「自由、っすよね」
「____100点だ、つぼつぼ」
「わー!綺麗な花だな!オルカこれ好きだ!」
「白いダリアだな、誰が咲かせたんだろう」
「え?署長じゃないのか?」
「ああ、違う 」
「キャップ、おはようございます」
「おはようつぼつぼ。外にある白いダリアやったのお前だよな?」
「まぁ、そうっすけど。お洒落っすよね」
「……ああ、そうだな」
「何にやついてるんすか」
「いや、綺麗だなぁと…w」
「何すか!!!」
白いダリアの花言葉:感謝、豊かな愛情
コメント
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神作品!!
え、、、最高なんですけど‼️