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2件
いるこさ強すぎる!なんでも止めれるやん
リビング。
静かな夜。
なつは床に座ったまま、顔を伏せている。
さっきまで泣いていた。
呼吸がまだ少し乱れている。
誰もすぐには話さない。
こさめは少し離れたところで心配そうに見ている。
いるまはその横に立っている。
ゆうは、なつの前にしゃがんだ。
「……なつ」
なつはすぐに顔を上げない。
少しして、小さく言う。
「ださいだろ」
かすれた声。
ゆうは首を振る。
「全然」
なつは苦笑する。
「助けられて」
「泣いて」
「こんなの」
「弱いやつじゃん」
ゆうは静かに聞いている。
なつは続ける。
「俺さ」
少し息を吐く。
「今まで」
「守る側だったんだよ」
拳を握る。
「誰かに守られるとか」
「想像したことなかった」
ゆうが言う。
「でも今回は違った」
なつは頷く。
「だから」
小さく笑う。
「自分がすげぇ情けなくて」
「ムカついて」
「怖くて」
声がまた震える。
「どうしていいか分かんなかった」
リビングは静か。
ゆうはゆっくり言う。
「それ」
「普通だ」
なつが少し驚く。
ゆうは続ける。
「俺もそうだった」
すちのこと。
昔の夜。
全部思い出す。
「助けられなかった」
「助けられた」
どっちも怖い。
ゆうが言う。
「でも」
少し笑う。
「ここは」
周りを見る。
「一人で抱える場所じゃない」
らんがソファから言う。
「そーそー」
すちも軽く言う。
「今さら一人で頑張んな」
みことも頷く。
「仲間いるし」
なつの目が少し潤む。
こさめが近づく。
しゃがんで言う。
「なつ」
優しい声。
「助けられるのって」
少し笑う。
「信頼されてるってことだよ」
なつの目が揺れる。
こさめは続ける。
「だって」
「どうでもいい人は助けない」
なつの胸が少し軽くなる。
そのとき。
横で。
いるまが小さく言う。
「それに」
こさめを見る。
「こいつ」
少し笑う。
「放っておけないタイプ」
こさめがびっくりする。
「ちょ、いるま!」
みんなが少し笑う。
さっきまでの重い空気が少し溶ける。
そのとき。
なつがゆっくり立つ。
「……ありがと」
小さな声。
ゆうを見る。
「あと」
少し照れる。
「さっきの」
ゆうが言う。
「気にしてない」
なつは少し笑う。
「そっか」
その夜。
少しだけ。
シェアハウスの空気が戻った。
でも。
そのあと。
廊下。
こさめが一人で歩いている。
すると。
後ろから声。
「こさめ」
いるま。
こさめが振り向く。
「なに?」
いるまは少し迷ってから言う。
「さっき」
「ありがと」
こさめがきょとんとする。
「え?」
いるまは少し照れる。
「なつ止めたとき」
こさめは笑う。
「当たり前だよ」
そのとき。
廊下の電気が少し暗い。
二人の距離が近い。
こさめが言う。
「でも」
少し小さな声。
「ちょっと怖かった」
いるまが聞く。
「なにが」
こさめは笑う。
「みんな壊れそうで」
その瞬間。
いるまがこさめの手を軽く握る。
こさめが驚く。
「……いるま?」
いるまは小さく言う。
「大丈夫」
静かな声。
「俺いる」
こさめの顔が少し赤くなる。
でも。
その手は離さなかった。