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キーンコーンカーンコーン。
「やっと終わったぁ〜!」
私は大きく伸びをした。
今日は授業中も、花音に言われたことが頭から離れなかった。
『美希と湊先輩って、本当に血が繋がってるんだよね?』
……何考えてるんだろ、私。
顔が似ていないからって、そんなことあるわけないじゃん。
「美希ー! 帰ろ!」
「あっ、うん!」
花音の声で我に返り、私は慌てて帰り支度をした。
「そういえば、今日って湊先輩、帰り遅いんだっけ?」
「うん。生徒会があるって」
「そっか! じゃあ、また明日ね!」
「うん! また明日!」
花音と別れ、私は一人で家に向かった。
*****
「ただいまー!」
返事はない。
お父さんもお母さんも、まだ仕事みたい。
湊も帰ってきていない。
……静かだな。
私はリビングのソファに座り、スマホを取り出した。
すると、ふと棚の上に置かれた写真立てが目に入った。
そこには、幼い私と湊、そして両親が写っている。
「懐かしいな……」
写真の中の私は、湊に抱きついて満面の笑みを浮かべていた。
湊は少し照れくさそうに笑っている。
昔から、私は湊が大好きだった。
もちろん、当時は恋愛感情なんてなかったけれど。
「……湊」
小さく名前を呼んだ、そのとき。
ふと、写真立ての裏側に何かが挟まっていることに気づいた。
「……ん?」
写真立てを持ち上げ、裏側を確認する。
そこには、古びた封筒が挟まっていた。
表には、母の字でこう書かれていた。
『美希へ』
「……え?」
私宛て?
こんな手紙、見たことない。
開けていいのかな……。
少し迷ったけれど、どうしても気になってしまった。
私はそっと封筒を開けた。
中には、折りたたまれた一枚の紙が入っていた。
そこに書かれていたのは、短い文章だった。
『美希が大きくなったら、いつか本当のことを話さなければならない。』
「…………え?」
本当のこと?
何、それ。
私は何度もその文章を読み返した。
手が、少し震えていた。
そのとき――。
ガチャッ。
「ただいまー」
玄関から声が聞こえた。
「美希? 帰ってるのか?」
湊の声だ。
「っ!」
私は慌てて手紙を封筒に戻した。
「お、おかえり!」
「……何してんの?」
リビングに入ってきた湊が、私の顔を覗き込んだ。
「な、何も!」
「……ふーん?」
湊は不思議そうに首を傾げたあと、私の頭をぽんっと撫でた。
「変なやつ(笑)」
「なっ……!」
まただ。
そんなことされたら、好きな気持ちが大きくなっちゃうじゃん……。
「……湊」
「ん?」
「……私のこと、好き?」
口に出してから、ハッとした。
ち、違う!
そういう意味じゃなくて……!
「……は?」
湊は目を丸くした。
「いや、家族としてって意味!」
慌てて言い直すと、湊はふっと笑った。
「当たり前だろ。大事な妹なんだから」
「…………そっか」
胸が、チクリと痛んだ。
やっぱり、湊にとって私は妹なんだ。
それ以上でも、それ以下でもない。
「……お風呂入ってくるわ」
湊はそう言って、リビングを出ていった。
一人になった私は、さっきの封筒を見つめた。
『本当のことを話さなければならない。』
……お母さん。
私には、何か秘密があるの?
そして、その秘密は――湊と関係があるの?
まだ何もわからない。
でも、確かなことが一つだけあった。
私の知らない何かが、この家には隠されている。
そして、その秘密を知ったとき。
私と湊の関係は、大きく変わることになる。