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しかし、現実はそうではなかった。
周回軌道を高速で進む衛星からは、常に中にいるライカの生体反応が地球に送られていた。うちげられた直後は、カプセル中の酸素濃度からライカの血圧に至るまで、すべての数値は正常で、誰もがこのミッションの成功を確信した。
しかし、 打ち上げられて、地球を3周してから届いたデータには、重大な問題が起こっていることを示すものだった。カプセル内の温度が跳ね上がり、40度に達していた。センサーは、中でライカが激しく動いていることを示していた。急激な温度変化と暑さでパニックに陥っていたのだ。
しかし、ライカがいる場所は地上から250km以上離れた宇宙空間。地上の人間は、ただ見守る以外どうすることもできない。
そして1時間後、衛星が再びソ連上空を訪れ、データが送られてきた。
そこに映るライカの生体データは、すべてが0を示していた。
それから約5ヶ月後、アメリカ上空で、他のものよりも明るい流星が目撃された。それは想像を絶する速度で飛行し、明るく輝き、夜空へ消えていった。ライカの遺体と、それを乗せた衛星の最期だった。