テラーノベル
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※サンプル。んー……なんか説教っぽくなってしまっていくので、ちょい変更。ただ、ダベってるのがいいのだけど……本編絡ますと重くなるしなぁ……どうしよっかなぁ……。
📩 相談
中学二年生・男子(仮名:Yさん)
クラスの子に、ちょっとしたあだ名をつけてました。
でも、ある日その子が学校に来なくなって、先生から「おまえたちのせいかもしれない」と言われました。
自分では、そんなつもりはなくて……「冗談のつもりだった」のに、って、ずっと思ってます。
でも、あれってやっぱり、いじめだったんでしょうか。
蓮司
「……へえ。いいね、それ。
“冗談のつもりだった”って、便利な呪文だよな」
「相手が泣いてようが、黙ってようが、何も聞こえなくなる。ぜんぶ“つもり”のせいにできるから」
(小さく笑う)
「オレもよく使ってた。“悪意はないんで”って、ね」
日下部
「……やめろよ、蓮司」
「……それ、ほんとに……冗談だったのかよ」
蓮司
「さあ。
でも、言った側が“冗談”って決めれば、大抵のことは冗談になる。
少なくとも、“本気で傷つけるつもりはなかった”って言えば勝てるのが、この世界」
「どう思う?遥」
遥
「…………」
「“笑ってくれたから、平気だと思った”……とかも、言われたことある」
「オレが笑ったとき、そいつ、すげぇ安心してた。
“ほらね?だいじょうぶじゃん”って顔で」
(ふ、と息を吐く)
「でも、笑わなかったら……
もっと悪くなるの、知ってたから」
日下部
「……遥」
(声がかすれる)
「……おまえ、あのとき……」
蓮司
「それで、学校に来なくなった子がいる、と」
「ふーん。相談者くん、あれでしょ?“自分だけが悪かったわけじゃない”って、どこかで思ってる」
「“みんなでやってた”“空気だった”――うん、そうだね。
空気のせいにすると楽だよ。
自分の呼吸がどんなに冷たくても、気づかなくてすむ」
日下部
「……でも、それってさ、
ほんとに、“いじめ”だったのかなって、
相談の中に……書いてて……」
「自分で問い返してるってことは……
たぶん、もう……答え、わかってるってことなんじゃないかな」
遥
「わかってるよ。
“わざとじゃない”とか、“そんなつもりじゃなかった”とか、
そんなんで、どんだけのことが壊れるかなんて、
ほんとは、わかってるんだ」
(少し間をあけて)
「でもな……
気づいてからも、
止められないんだよ。
誰も」
蓮司
「止めないほうが楽しいからね。
“冗談”って、笑う側にとっては最高の遊び道具だし」
「……でも。
冗談って、笑えなかった瞬間から、ただの暴力になるってことくらい、
本当は、みんな気づいてる」
日下部
「気づいてても……やめなかった……オレも、さ……」
(俯いたまま、ほとんど聞き取れない声で)
「遥、あのとき……」
遥
「……やめなくていいって思ってたよ、オレも」
「やめさせたら、全部オレのせいになる気がしてたから。
誰かのせいでいるほうが、まだ、よかった」
蓮司
「ね、やっぱ誰も正義じゃない」
「だからさ。
“いじめだったんでしょうか”なんて質問に、答えはないよ」
「ただ、“戻らなかった子がいる”って、それだけが事実。
それが残ってる限り、冗談は冗談にならない」
日下部
「……怖いな。
知らないうちに、誰かの全部、潰してたのかもしれないって」
「オレも、そうだったんだろうなって……思う」
遥
「“つもりだった”って言葉は、
もう、心の中でだけ使えばいい」
「口に出したら、それだけで誰かをもう一回殴ることになる」
蓮司
「……ああ、怖い怖い」
「ちゃんと傷ついた人間の前では、
“冗談”って言葉、ほんと、効かないんだな」
(沈黙が落ちる)
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